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相続登記は自宅の近く?不動産の近く?司法書士の選び方【横浜市青葉区・青葉台】
相続した不動産の名義変更をしようとしたとき、どこの司法書士に相談すればよいのか迷う方は少なくありません。例えば、ご自身は横浜市青葉区や青葉台周辺に住んでいるものの、相続した実家や土地は北海道、東北、関西、九州など遠方にあるというケースです。このような場合、「不動産の近くの司法書士に頼むべきか」「自宅近くの司法書士でも県外の相続登記を依頼できるのか」と疑問に思われるでしょう。
結論から申し上げると、一般的な相続登記であれば、不動産の近くにある司法書士へ依頼する必要はありません。多くの場合は、相続手続きを進める方の自宅から近く、相談しやすい司法書士を選ぶ方が便利です。
本記事では、相続登記を依頼する司法書士は自宅の近くと不動産の近くのどちらで探すのがよいのか、司法書士が解説します。
1.基本的には自宅近くの信頼できる司法書士がおすすめ
相続登記の申請先は、不動産の所在地を管轄する法務局です。ただし、申請先の法務局が遠方にあるからといって、依頼する司法書士まで不動産の近くにいる必要はありません。司法書士はオンラインで登記申請を行うことができるため、遠方にある不動産の相続登記にも対応できます。
一方、相続手続きでは、家族関係や遺産の内容を説明したり、戸籍、固定資産税の納税通知書、遺言書などの資料を確認してもらったりする必要があります。委任状への署名・押印や、登記完了後の書類の受け取りなど、司法書士事務所との間で何度かやり取りが生じることもあります。そのため、相続手続きを主に進める方の自宅から近く、必要なときに相談しやすい司法書士へ依頼する方が、手続きの負担を抑えやすくなります。
もちろん、単に近いだけでなく、相続手続きに慣れていること、説明や費用が分かりやすいこと、安心して家族や財産の事情を話せることも大切です。
2.不動産の近くの司法書士でなくてもよい理由
相続登記は、登記申請、必要書類の取得、相続人との書類のやり取りの多くを、現地へ出向かずに進めることができます。司法書士が代理人として申請する場合、通常はオンラインで不動産所在地を管轄する法務局へ登記申請を行います。依頼者本人が現地の法務局へ行く必要も、通常はありません。
戸籍謄本や住民票などは、司法書士が依頼を受けた業務に必要な範囲で取得できる場合があります。また、固定資産評価証明書などについても、郵送による請求や、相続人からの委任を受けた司法書士による取得が可能な場合があります。
相続人がそれぞれ異なる地域にお住まいの場合でも、必ずしも全員が司法書士事務所へ出向く必要はありません。遺産分割協議書や委任状は郵送でやり取りでき、手続きに関する確認も電話やメールなどで進めることができます。そのため、例えば青葉台にお住まいの方が県外のご実家を相続した場合でも、ご自宅近くの横浜市青葉区の司法書士を窓口として、遠方に住むほかの相続人とも連絡を取りながら、相続登記を進めることが可能です。
3.自宅近くの司法書士を選ぶメリット
自宅近くの司法書士を選ぶ最大のメリットは、相談や書類の受け渡しがしやすいことです。
相続手続きでは、最初の相談時には分からなかった財産が後から見つかったり、追加の書類が必要になったりすることがあります。近隣の事務所であれば、戸籍や納税通知書、遺言書などを持参し、必要に応じて再度説明を受けやすくなります。相続人の中に高齢の方がいる場合や、オンライン面談やメールに慣れていない方がいる場合も、対面で相談できる身近な司法書士の方が安心でしょう。
また、相続が発生した際に必要となるのは、不動産の名義変更だけとは限りません。戸籍の収集、法定相続情報一覧図や遺産分割協議書の作成、預貯金の相続手続き、遺言書の確認、相続放棄、不動産売却など、別の手続きが必要になることもあります。
自宅近くの司法書士であれば、今回の家族関係や財産状況を把握したうえで、継続して相談できます。必要に応じて税理士、弁護士、土地家屋調査士、不動産会社など、地域の専門家につないでもらえることもあります。
4.不動産の近くの司法書士が適しているケース
案件によっては、不動産の所在地に近い司法書士へ依頼した方が進めやすい場合もあります。例えば、相続後すぐに不動産を売却することが決まっており、すでに現地の不動産会社へ相談している場合です。売却日程が決まっていると、不動産会社、買主側の司法書士、金融機関などとの調整が必要になるため、現地の関係者と連携しやすい司法書士が適していることがあります。
また、未登記建物、土地の境界、農地や山林、数世代前の名義のままの不動産など、現地確認や土地家屋調査士との連携が必要な場合も、現地の司法書士に利点があります。相続人の多くが不動産所在地の近くに住み、その方々が書類を取りまとめる場合も、現地で依頼する方が便利でしょう。
ただし、こうしたケースでも、まず自宅近くの司法書士に相談し、必要に応じて現地の専門家と連携してもらう方法があります。
5.相続手続きを依頼する司法書士の選び方
司法書士を選ぶ際は、距離や費用だけでなく、次の点を確認しましょう。
まず、相続登記や戸籍収集、遺産分割協議書の作成など、相続手続きを継続的に取り扱っているかが重要です。長期間相続登記がされていない不動産や、相続人が多い案件では、相続関係の整理に経験が求められます。
次に、司法書士本人が家族関係や財産状況を丁寧に聞き、専門用語を使いすぎずに説明してくれるかを確認します。費用についても、司法書士報酬だけでなく、登録免許税、戸籍取得費、郵送費などの実費を分けて示してもらえると安心です。問い合わせへの返信や進捗の連絡が適切か、必要な場合に税理士や弁護士などと連携できるかも確認したいところです。
最終的には、「この人なら家族や財産の事情を話せる」と感じられるかも大切な判断基準になります。
6.よくある質問
県外の不動産でも青葉台の司法書士に依頼できますか?
はい。相続登記の申請先は不動産所在地を管轄する法務局ですが、司法書士がその近くにいる必要はありません。
本人が現地の法務局へ行く必要はありますか?
司法書士へ依頼する場合、依頼者本人が現地の法務局へ行く必要は通常ありません。
相続人が別々の地域に住んでいる場合はどう選びますか?
相続手続きを中心となって進める方や、司法書士と主に連絡を取る方の自宅近くを基準にするとよいでしょう。
7.不動産の所在地より相談しやすさを大切に
相続登記は不動産所在地を管轄する法務局に申請しますが、依頼する司法書士まで不動産の近くにいる必要はありません。
一般的な相続登記であれば、オンライン申請や郵送による書類のやり取りによって、遠方の不動産についても手続きを進められます。そのため、基本的には、自宅から近く、相続手続きに詳しい信頼できる司法書士を選ぶことをおすすめします。
高野司法書士事務所では、横浜市青葉区・青葉台周辺の方を中心に、相続登記や戸籍収集、遺産分割協議書の作成、預貯金等の相続手続きについてご相談をお受けしています。県外にある土地や建物の相続についても、お気軽にご相談ください。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
【横浜市青葉区・50代男性】迅速で丁寧な対応に安心できたとのお声をいただきました
お名前: S.T様
年代・性別: 50代・男性
お住まい: 横浜市青葉区榎が丘
ご相談内容:不動産登記(売買、贈与、財産分与など)
・当事務所をお知りになったきっかけは何ですか。該当するものに☑をつけてください。
☑ホームページ
・今回、どのようなお手続きをご利用いただきましたか。該当するものに☑をつけてください。(複数選択可)
☑不動産登記(売買、贈与、財産分与など)
・当事務所にご依頼いただいた決め手をお聞かせください。
ホームページから相談させていただき返信が早かったのが印象的でその後のフォローも丁寧で信頼感を感じたため
・実際にサービスを受けられていかがでしたか。ご感想をお聞かせください。
思った通りの対応で心配なくお願いすることができた。
・お客様のアンケートを当事務所のホームページに掲載させていただいてもよろしいでしょうか。
☑イニシャルなら可

当事務所からのコメント
S.T様、このたびは不動産登記のお手続きをご依頼いただき、誠にありがとうございました。
ホームページのお問い合わせフォームからご連絡をいただいて以来、できるだけご不安を残さないよう、早めのご返信と分かりやすいご案内を心がけてまいりました。その点について、「返信が早く、丁寧にフォローしてもらえた」とのお言葉をいただき、大変うれしく思っております。
不動産の名義変更や登記手続きは、普段あまり馴染みがなく、手続きの途中で分からないことやご不安を感じることも多いかと思います。今回、「思っていたとおりの対応で、心配なくお願いできた」と伺い、私も安心いたしました。
当事務所では、横浜市青葉区を中心に、地域の皆様が不動産や相続について困ったときに、気軽に相談できる事務所でありたいと考えています。これからも、一つひとつのご相談に丁寧かつ迅速に対応してまいります。
S.T様、このたびはアンケートにご協力いただき、ありがとうございました。また何かございましたら、お気軽にご相談ください。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
【不動産の仮登記とは?】本登記との違いやメリット・デメリット、登記簿に見つけた際の注意点を分かりやすく解説!
不動産の購入を検討したり、親から土地や建物を引き継ぐ「相続」の手続きを進めたりしていると、登記簿謄本に「仮登記(かりとうき)」という言葉が記載されているのを目にすることがあります。 日常では馴染みのない言葉ですが、仮登記の仕組みを正しく理解していないと、最悪の場合、手に入れた不動産の所有権を失ってしまうといった重大なトラブルに巻き込まれるおそれもあります。
本記事では、仮登記の基本的な意味や本登記との違い、知っておくべきメリット・デメリット、登記簿に仮登記を見つけた際の注意点まで、分かりやすく解説します。
1.仮登記とは?その基本的な意味と役割
不動産登記は、土地や建物の持ち主やどのような権利が設定されているかを公に示すための制度です。その中で「仮登記」とは、将来行われる予定の本登記(正式な登記)の順位をあらかじめ確保しておくための予備的な登記手続きを指します。
登記の鉄則は「早い者勝ち」
日本の不動産登記制度には、「先に登記をした者が、その後に登記をした者に優先する」というルールがあります。 例えば、ある土地の売主が、同じ土地を二人の買主に二重に売却してしまった場合、実際にその土地を自分のものだと主張できるのは、先に法務局で登記手続きを完了させた人になります。
しかし、実際の取引では、売買契約から引き渡しまでに時間が空いたり、必要な書類がすぐに揃わなかったりすることがあります。この「本登記をしたくても、今すぐには手続きができない期間」に、他人に先を越されてしまうリスクを防ぐために用意されたのが仮登記です。
最大の効果は「順位をキープすること」
仮登記自体には、第三者に自分の権利を直接主張できるような強い効力(対抗力)はありません。 しかし、仮登記をしておけば、後日無事に本登記へ移行した際に、その本登記の効力が発生する順位が、「仮登記を行った時点」にまで遡って認められるという強力な効果が得られます。これを、仮登記の「順位保全の効力(順位保全効)」と呼びます。
2.仮登記と本登記の決定的な違い
仮登記と本登記の主な違いを整理しました。
- 目的と役割
- 仮登記: 将来行う本登記の順位をあらかじめキープする
- 本登記: 不動産の権利関係の変動を最終的に確定させ、公に示す
- 申請の条件
- 仮登記: 本登記に必要な書類や要件が一部不足していても申請可能
- 本登記: すべての法律上の要件を満たし、証明書類が完全に揃っていることが必須
- 第三者への対抗力
- 仮登記: なし(自分が所有者だと他人に主張できない)
- 本登記: あり(自分が正当な権利者であることを誰に対しても主張できる)
- 順位保全の効力
- 仮登記: あり(本登記へ移行した際に、仮登記の日付が優先順位の基準になる)
- 本登記: なし
- 登録免許税
- 仮登記: 本登記に比べて非常に安く抑えられている
- 本登記: 法律で定められた本登記の税率が適用される
このように、仮登記はあくまで「本登記を行うための準備・キープ」の位置づけであり、所有権などの権利を他人に完全に主張するためには、最終的に必ず本登記へ移行させる必要があります
3. 仮登記には2つの種類がある!「1号」と「2号」の違い
仮登記は、その原因や申請する理由によって、法律上「1号仮登記」と「2号仮登記」の2つに分類されます。
① 1号仮登記(手続き上の不備を補うもの)
すでに当事者間で「所有権が移転した」「抵当権を設定した」といった実体的な権利の動きが生じているにもかかわらず、登記申請に必要な書類が不足している場合に行う登記です。 例えば、登記に必要な権利証(登記識別情報)を紛失してしまった場合などが該当します。契約そのものは完了しているけれど、提出書類が足りないという場合に、とりあえず順位を確保するために利用します。
② 2号仮登記(将来の請求権を保全するもの)
現時点ではまだ権利の動きそのものは発生していないものの、将来的にその権利を動かすことを請求できる権利(請求権)が発生している場合に行う登記です。 代表例は「売買の予約」です。「将来、ある条件を満たしたらこの不動産を買い取ります」という予約契約を交わした際、将来的に買い取る権利が他人に横取りされないよう、あらかじめ仮登記をつけておきます。
4.どのような場面で仮登記が必要になる?
実務において、仮登記はどのようなシーンでよく活用されるのでしょうか。代表的なケースを紹介します。
① 農地を売買するとき(農地法の規制対策)
農地は、所有権移転に農業委員会や都道府県知事などの「許可」を得なければならず、許可が下りるまでは正式な売買の効力が発生しません。 この「許可待ち」の期間中に売主が別の第三者に二重で農地を売ってしまうリスクを防ぐため、「将来、許可が得られたら所有権を移転する」という条件付きの契約を交わし、2号仮登記をしておく手法がよく用いられます。
② 建築中のマンションや建売住宅を購入するとき
新築の分譲マンションや建売住宅の契約を結ぶ場合、建物が完成していない段階では、所有権を移転する本登記をすることはできません。この契約成立から完成・引き渡しまでの期間、売主の倒産や二重譲渡のリスクから買主の権利を守るために活用されます。
③ 金銭の貸し借りで「抵当権」を設定するとき
お金を貸す際、担保として不動産に「抵当権(ていとうけん)」を設定することが一般的です。しかし、とりあえず担保の順位だけを最優先でキープしておきたいといったケースでは、本登記ではなく「抵当権設定仮登記」が行われることがあります。
④ 登録免許税を節約したいとき
不動産の登記を申請する際には、国に「登録免許税(とうろくめんきょぜい)」という税金を納める必要があります。本登記と仮登記では、この登録免許税の額に大きな差があります。
例えば、売買による所有権移転の登記を行う場合、本登記では不動産の固定資産税評価額の2.0%(軽減措置がある場合は1.5%)が課税されるのに対し、仮登記であれば1.0%(本登記の半分、またはそれ以下)で済みます。 さらに、抵当権を設定する場合、本登記では債権金額の0.4%(例えば1,000万円の借り入れなら4万円)の税金がかかりますが、仮登記であれば不動産1個につきわずか1,000円で済みます。
このように、実質的な担保や取引の確保は行いつつ、コストを大幅に節約するための手段として、あえて仮登記のまま留めておくという選択がなされることもあります。
5.仮登記のメリット・デメリット
不動産取引で仮登記を利用する際の、メリットとデメリットを整理しておきましょう。
メリット
- 少ない負担で将来の優先順位をキープできる 登録免許税が本登記に比べて非常に安いため、低コストで安全な権利保全措置を講じることができます。
- 要件が未整備でも迅速に登記できる 「書類が足りない」「国の許可待ち」といった不安定な状態であっても、すぐに登記簿に自分の名前や請求権を記載することができ、不測の事態から身を守ることができます。
- 相手が協力しない場合に単独で申請できる場合もある 売主の承諾書や裁判所の命令(仮処分命令)などを得られれば、買主が単独で迅速に申請手続きを進められます 。
デメリット
- 第三者に対する対抗力がない 仮登記はあくまで「予約」に過ぎないため、仮登記のまま放置している状態では、第三者に対して「私が所有者です」と対抗することはできません。
- 本登記へ移行する際に「第三者の承諾」が必要になる 仮登記の後、正式に本登記へ移行しようとしたとき、その間に別の第三者が登記簿に入り込んでいる場合があります 。この場合、本登記を申請するためには、その第三者の承諾を得なければならないという非常に高いハードルがあります。 当然、第三者が素直に承諾してくれることは滅多にないため、その場合は承諾を求めるための裁判(訴訟)を起こして勝訴判決を得る必要があり、膨大な手間と時間、費用が発生してしまいます。
- 最終的な費用負担が二重になる 仮登記を申請するときに登録免許税や司法書士の報酬を支払い、さらに後日、本登記へ移行させる際にも、再び本登記用の登録免許税や手続き費用が発生するため、トータルの出費が二重に重なることになります。
6. 不動産の取引・相続で「仮登記」を見つけた際の注意点
もし、購入を検討している物件や、親から引き継いだ実家などの土地・建物の登記簿を調べたときに、知らない誰かの「所有権移転仮登記」や「抵当権設定仮登記」が入っていたら、どのような点に注意すればよいでしょうか。
仮登記付きの不動産を購入するのは極めて危険!
登記簿に「仮登記」が残っている不動産を購入し、自分名義の所有権移転(本登記)を完了させたとしても、決して安心はできません。 仮に、大昔にその仮登記を入れた人が突然現れて「仮登記に基づき本登記にする手続き」を行った場合、後からされたあなたの本登記は、法務局の判断によって職権で完全に抹消されてしまいます。
つまり、購入した不動産も、支払ったお金も戻ってこないという最悪の結末を迎えるおそれがあるのです。 そのため、仮登記が残った状態の不動産は、銀行も融資をしてくれませんし、一般的には取引されることはありません。必ず売主に依頼して、「契約前に仮登記を完全に抹消してもらう」ことが絶対の条件となります。
相続した不動産に大昔の仮登記が残っている場合
「親が亡くなって実家の土地を相続したところ、昭和の時代に設定された、全く知らない個人の仮登記が入ったまま放置されていた」というトラブル相談が、実は非常に多く寄せられています。
借金を完済したにもかかわらず、手続きを忘れてそのまま何十年も放置されていたり、売買の予約をしたけれど途中で話が立ち消えになり、登記だけが残ってしまったりするケースです。 仮登記は放置していても勝手に消えることはありません。また、仮登記を消すためには、登記義務者(仮登記の名義人)の協力が必要になります。
しかし、大昔の登記の場合、その名義人がすでに亡くなっていたり、行方が分からなくなっていたりすることがほとんどです。その場合、名義人の相続人を一人ずつ調べ上げて協力を求めるか、あるいは「10年の時効(予約完結権や債権の時効消滅)」を理由に、裁判手続き(訴訟)を通じて強制的に抹消登記を行う必要があります。
こうした手続きは極めて複雑で、戸籍の収集から訴状の作成、裁判所への申し立てなど、一般の方がご自身で進めるのはほぼ不可能です。
7.不動産の相続手続きは「高野司法書士事務所」へ
不動産を相続した際には、亡くなった方から相続人への名義変更だけでなく、登記簿の内容を確認し、今後の売却や活用に支障となる事項がないかを確認することも大切です。
長年にわたり名義変更がされていなかった不動産では、相続関係が複雑になっていたり、すでに返済を終えた抵当権や古い仮登記などが残っていたりすることがあります。こうした登記がある場合には、相続登記とあわせて、その内容や今後必要となる手続きを整理しておくことで、不動産を次の世代へ円滑に引き継ぐことができます。
高野司法書士事務所では、戸籍の収集、相続人の確認、遺産分割協議書の作成、相続登記の申請まで、不動産の相続に必要な手続きを一貫してサポートしています。また、相続する不動産の登記簿に古い抵当権や仮登記などが残っている場合には、相続手続きとの関係を確認したうえで、必要に応じて対応方法をご案内いたします。
- 「実家の名義が何代も前のままになっている」
- 「相続した不動産を売却したいが、何から始めればよいか分からない」
- 「預貯金なども含め、相続手続きをまとめて相談したい」
このような場合には、どうぞ高野司法書士事務所までご相談ください。ご家族の状況や今後のご希望を丁寧にお伺いし、大切な不動産を安心して引き継ぐための手続きをサポートいたします。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
親が亡くなったとき、年金の手続きは「まず何から」?
ご家族が亡くなられたとき、悲しみの中で進めなければならないのが様々な手続きです。 中でも、多くの方が最初に迷われるのが「年金の手続き」ではないでしょうか。
「いつまでに、どこへ連絡すればいいの?」 「まだ振り込まれていない年金(未支給年金)はどうなるの?」 「親の預金口座が凍結されたら、年金は引き出せなくなる?」
実は、年金の手続きには「時間との勝負」になるものがいくつかあります。少しでも手続きが遅れると「不正受給として後から返金しなくてはならなくなる」ことや、逆に「もらえるはずの年金をもらい損ねてしまう」こともあります。
この記事では、一般の方には少し分かりにくい年金の相続手続きについて、やるべきことを3つのステップに分けてスッキリ解説します。これから手続きを始められる方は、ぜひチェックリスト代わりに参考にしてください。
1.親が亡くなったらやるべき年金の「3つの基本手続き」
ご家族が亡くなられた際の年金手続きは、大きく分けると以下の3つだけです。これらを整理して覚えておくと、焦らずに進められます。
【年金手続きの3ステップ】
① 年金を「止める」手続き ─── 受給権者死亡届(10日〜14日以内)
② 未払いの年金を「もらう」手続き ─── 未支給年金の請求(5年以内)
③ 今後の生活を「支える」手続き ─── 遺族年金などの請求(5年以内)
① 年金を「止める」手続き(受給権者死亡届)
年金を受け取っている方(受給権者)が亡くなった場合、まずは年金の支払いを止める手続きが必要です。手続きを忘れて年金を多く受け取りすぎてしまうと、あとで国に一括返還しなければならなくなるため、最初に行いましょう。
期限:
- 国民年金のみを受給していた方:亡くなってから14日以内
- 厚生年金・共済年金を受給していた方:亡くなってから10日以内
提出先: 市役所の保険年金課や年金事務所(故人が受給していた年金の種類により、提出先や窓口が異なります。)
💡【重要】手続きが「不要」になるケース 亡くなられた方の「日本年金機構に登録されているマイナンバー」と「死亡届(市区町村の役場へ提出したもの)」が連携されている場合は、原則として受給権者死亡届の提出は省略可能です。年金事務所へ電話で「マイナンバーで死亡連携されているか」を確認するのが一番確実で時短になります。
② 未払いの年金を「もらう」手続き(未支給年金)
ここが一番のポイントです。年金は「後払い(偶数月の15日に前月・前々月分が支払われる)」のルールになっています。 たとえば、8月20日に亡くなられた場合、8月分までの年金をもらう権利がありますが、その支払日は「10月15日」です。つまり、亡くなられた時点で「まだ受け取っていない年金」が必ず発生します。
これを「未支給年金(みしきゅうねんきん)」と呼び、亡くなられた方と「生計を同じくしていた遺族」が代わりに請求して受け取ることができます。
受け取れる遺族の順位(優先度): ①配偶者 → ②子 → ③父母 → ④孫 → ⑤祖父母 → ⑥兄弟姉妹 → ⑦その他・3親等内の親族 (※上の順位の人がいる場合、下の順位の人は請求できません)
期限:本来年金が支払われるはずだった日の翌月1日から5年以内
③ 今後の生活を「支える」手続き(遺族年金など)
亡くなられた方に生計を支えられていたご家族(配偶者や子など)がいる場合、一定の要件を満たせば「遺族基礎年金」や「遺族厚生年金」を継続して受け取ることができます。
- 手続き先: 年金事務所(遺族基礎年金のみの場合は市区町村の役場窓口でも可)
- 期限: 亡くなられた日の翌日から5年以内 (※ただし、支給は亡くなった月の翌月分からなので、早めの請求をおすすめします)
2.年金と「相続・遺産分け」の意外な関係
実務上、私たち司法書士の元には「銀行口座が凍結された」「借金が多くて相続放棄したいが、年金はどうなる?」といった深いご相談がたくさん寄せられます。
ここでは、よくある3つの疑問について見ていきます。
疑問1:「未支給年金」は遺産分割協議書に書く必要があるの?
👉 結論:書かなくてOKです!親の「遺産(相続財産)」には含まれません。
ここを誤解されている方が非常に多いのですが、未支給年金は、亡くなった親の財産ではなく、「請求した遺族ご本人の固有の権利(財産)」として法律上扱われます(最高裁判所の判例でも確定しています)。
そのため、不動産や預貯金のように「相続人全員で分け方を話し合ったり、遺産分割協議書を作ったりする」必要は全くありません。最優先順位の遺族(たとえばお母様)が自分自身の権利として100%受け取って良いお金です。
疑問2:親に借金があって「相続放棄」をしたら、年金はもらえない?
👉 結論:相続放棄をしても、「未支給年金」や「遺族年金」は問題なく受け取れます!
「親に多額の借金があったから家庭裁判所で『相続放棄』の手続きをした。だから、まだ振り込まれていない年金(未支給年金)も受け取っちゃいけないよね…?」と諦めてしまう方がいらっしゃいますが、それは非常にもったいない誤解です!
先ほど解説した通り、未支給年金や遺族年金は民法上の「相続財産」ではありません。したがって、相続放棄をして「最初から相続人ではなくなった」場合であっても、年金の受給要件(生計同一など)さえ満たしていれば、正当に受け取ることができるのです。
💡【ここだけ注意!】相続税の対象外だけど「所得税」には注意 未支給年金は「遺産」ではないため、相続税の対象にはなりません。ただし、受け取った遺族ご本人の「一時所得」として扱われるため、その年の他の所得と合わせて確定申告が必要になる場合(※他の50万円の控除枠を超えた場合など)がありますので覚えておきましょう。
疑問3:年金が振り込まれる前に銀行口座が「凍結」されたらどうなる?
👉 結論:年金事務所の窓口で、請求者(あなた)の口座へ振込先を変更してもらえます。
金融機関は、口座名義人の死亡を知った時点で口座を「凍結(出入金ストップ)」します。 「まだ年金が振り込まれるはずだったのに、口座が凍結されて引き出せない!」とパニックになる方がいらっしゃいますが、ご安心ください。
未支給年金の請求手続きを行う際に、「年金を受け取る口座を指定する欄」があります。ここに請求者(たとえば喪主を務めるお子様)自身の銀行口座を記入すれば、凍結された亡き親の口座を介さずに、あなた自身の口座へ直接未支給年金が振り込まれます。
3.年金手続きでよくあるQ&A
お客様からよくご質問をいただくポイントをまとめました。
Q. 親と別居していましたが、未支給年金は受け取れますか?
A. 「仕送り」や「頻繁な連絡・訪問」があれば受け取れる可能性が高いです。 法律上の要件は「生計を同じくしていたこと」ですが、同居が絶対条件ではありません。別居していても、住民票上の「生計同一関係に関する申立書」(第三者の証明などが必要)を提出することで受け取れるケースが数多くあります。諦めずに年金事務所へ相談してみましょう。
Q. 親が「どの種類の年金」をもらっていたか分かりません…
A. 「年金証書」や「預金通帳の印字」で確認できます。 遺品の中から青い手帳や「年金証書」を探してみましょう。もし見つからない場合は、親が生前使っていた銀行通帳の入金履歴を確認してください。「ニホンネンキンキコウ」「コウセイネンキン」「キョウサイ」といった振込名義から確認することができます。
4.年金手続きが終わったら、次は「不動産と遺産」の手続きへ
親御様が亡くなられた際、まず最初に行うべき「年金の手続き(停止と未支給年金の請求)」は、生活を守るための大切な一歩です。
そして、年金の手続きが落ち着いたら、本格的に向き合わなければならないのが「銀行口座の解約」や「実家など不動産の相続登記(名義変更)」です。
特に不動産の相続登記は、2024年4月から義務化され、放置すると罰則のリスクや、次の世代への負の遺産となってしまう問題があります。「戸籍を集めるだけで何週間もかかって疲れてしまった」「誰に何から相談していいか分からない…」という方は、一人で悩まずに専門家へ頼ってみませんか?
神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所は、相続・遺言・登記手続きを専門とする地域密着の司法書士事務所です。 難しい法律用語をなるべく使わず、お客様の状況に合わせて親身にわかりやすくサポートいたします。
当事務所では、ご面談を「事務所での対面」はもちろん、遠方に住まわれている方や、お仕事・介護等で時間が取れない方のために、「Zoomを使ったオンライン面談」にも対応しております。 また、オンライン登記申請システムに対応しているため、横浜市周辺はもちろん、「北海道から沖縄まで、全国どこの不動産の名義変更」でもご相談・お手伝いが可能です。
まずはお気軽に初回無料相談をご利用ください。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
【平塚市・60代女性】長期にわたり相続手続きをお手伝いしたお客様のご感想
お名前: T.M様
年代・性別: 60代・女性
お住まい: 平塚市
ご相談内容:相続登記(不動産の相続) 銀行・株式等の相続、相続放棄、不動産登記(売買、贈与、財産分与など)、抵当権抹消登記
・当事務所をお知りになったきっかけは何ですか。該当するものに☑をつけてください。
☑ホームページ
・今回、どのようなお手続きをご利用いただきましたか。該当するものに☑をつけてください。(複数選択可)
☑相続登記(不動産の相続)、☑銀行・株式等の相続、☑相続放棄、☑不動産登記(売買、贈与、財産分与など)、☑抵当権抹消登記
・当事務所にご依頼いただいた決め手をお聞かせください。
1.大手の事務所よりも個人事務所の方が相談しやすく、信頼できるのではないか、ということで、個人事務所から探していたこと。
2.手続きの内容が充実していたこと。
3.自宅からのアクセス。
・実際にサービスを受けられていかがでしたか。ご感想をお聞かせください。
1.私どもの意向を確認していただきながら、依頼内容のすべてに対応していただきました。
2.電話・メールでの対応が早くていねいで安心いたしておりました。
・お客様のアンケートを当事務所のホームページに掲載させていただいてもよろしいでしょうか。
☑イニシャルなら可

当事務所からのコメント
T.M様から初めてご相談をいただいてから、気がつけば2年以上が経ちました。数ある事務所の中から、ホームページをきっかけに当事務所を見つけていただき、これまで相続登記や銀行手続き、各種不動産登記など、節目ごとの大切なお手続きをお任せいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
「大手の事務所よりも個人事務所の方が相談しやすい」と感じてご相談いただいたとのことでしたので、T.M様のお考えやご意向をその都度確認しながら、できる限り安心してお手続きを進めていただけるよう心がけてまいりました。
今回、「安心できた」とのお言葉をいただき、私自身も大変ありがたく感じております。
当事務所では、個人事務所ならではの相談しやすさや、状況に応じた丁寧な対応を大切にしております。今後も、暮らしの中でお困りごとやご相談がございましたら、どうぞお気軽にお声がけください。
このたびは、温かいご感想をお寄せいただき、誠にありがとうございました。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
【横浜市旭区・60代女性】「自宅に来てもらえて助かった」と安心できた相続登記のご感想
お名前: 匿名希望
年代・性別: 60代・女性
お住まい: 横浜市旭区上川井町
ご相談内容:相続登記(不動産の相続)
・当事務所をお知りになったきっかけは何ですか。該当するものに☑をつけてください。
☑ご紹介
・今回、どのようなお手続きをご利用いただきましたか。該当するものに☑をつけてください。(複数選択可)
☑相続登記(不動産の相続)
・当事務所にご依頼いただいた決め手をお聞かせください。
知人の紹介で
・実際にサービスを受けられていかがでしたか。ご感想をお聞かせください。
自宅に足を運んでいただいて相談出来た事を母も私も大変ありがたかったです。お話しも私たちにわかりやすい様に説明していただき手続の対応も早かったです。おかげ様で無事に相続登記も終了し、また何かありましたら是非よろしくお願いします。
・お客様のアンケートを当事務所のホームページに掲載させていただいてもよろしいでしょうか。
☑匿名なら可

当事務所からのコメント
この度は、相続登記のお手続きをご依頼いただき、誠にありがとうございました。
また、お知り合いの方からのご紹介をきっかけに当事務所をお選びいただきましたこと、心より御礼申し上げます。
ご高齢のお母様がいらっしゃる場合など、事務所までお越しいただくことが難しいケースも少なくありません。そのため、今回のようにご自宅へお伺いし、ご家族の皆様がリラックスできる環境でお話をお聞きできたことは、私どもにとっても良かったと感じております。
無事に相続登記が完了し、ご安心いただけたとのこと、大変嬉しく思います。
当事務所では、横浜市青葉区を中心に出張相談にも対応しております。相続手続きに限らず、遺言や生前対策など、将来に向けて気になることがございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
この度は温かいお言葉をいただき、誠にありがとうございました。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
【令和7年度税制改正】相続登記の登録免許税が0円に!?知っておきたい「2つの免税措置」
2024年(令和6年)4月より「相続登記の申請義務化」が開始され、不動産の大小に関わらず、名義変更の手続きを進められている方が増えています。 「義務化されたため対応しなければならないが、費用がいくらかかるか不安である」 「長年名義変更をしていなかった土地があるが、税金が高額になるのではないか」
このように、手続きに伴う費用面でご不安を抱えられている方も少なくありません。
実は、相続登記の際にかかる税金(登録免許税)には、特定の条件を満たすことで「免除(0円)」となる国の特例措置が用意されていることをご存知でしょうか。
この免税措置は、当初2025年(令和7年)3月31日までの時限措置とされていましたが、令和7年度の税制改正により、2027年(令和9年)3月31日までさらに2年間延長されることとなりました。
対象となる土地をお持ちの場合、この特例を利用するか否かで、負担する費用に大きな差が生まれます。
今回は、法務局が規定している「2種類の登録免許税の免税措置」について、具体的な事例を交えながら解説いたします。
1.そもそも「相続登記の登録免許税」とは?
具体的な免税措置の解説に入る前に、まずは前提となる「登録免許税」の基本について確認しておきましょう。
登録免許税(とうろくめんきょぜい)とは、不動産(土地や建物)の名義を変更(登記)する際に、国(法務局)に対して納める税金のことです。
相続を原因とする登記の場合、税額は法に則り以下のように算出されます。
【登録免許税の計算式】 不動産の固定資産税評価額 × 0.4% (※100円未満切り捨て。算出された額が1,000円未満の場合は一律1,000円)
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地を相続する場合、登録免許税は4万円となります。 これが、複数世代にわたり名義変更が放置されていたり、多数の土地を同時に相続したりする場合、税額だけで数十万円にのぼるケースも珍しくありません。
国は、所有者不明土地の発生を抑制するために相続登記を義務化する一方で、「手続きを行う方の経済的負担を軽減し、登記を促進する」という目的から、これからご紹介する2つの免税措置を設けています。
2.免税措置①:相続人が登記をしないまま亡くなった場合(数次相続)
1つ目は、「最初の相続人が名義変更をしないまま逝去し、次の相続が発生してしまったケース」に適用される免税措置です。実務上は「数次相続(すうじそうぞく)における中間相続人の免税措置」と呼ばれています。
本来であれば2回分の登記手続きと税金が必要となる場面において、「途中で亡くなられた方の分の税金を免除する」という合理的な制度です。
【具体例】祖父名義の土地を、孫であるご自身が引き継ぐケース
関係性を分かりやすくするため、具体的な家族の例を挙げてご説明します。
- 家族構成の例:
- 祖父(Aさん): 土地の本来の所有者。10年前に逝去。
- 父(Bさん): Aさんの長男。土地を相続する予定だったが、名義変更未了のまま昨年逝去。
- ご自身(Cさん): Bさんの長男(Aさんの孫)。今回、土地の名義をご自身に変更したい。
祖父(Aさん)が亡くなった際、遺産分割によって父(Bさん)が土地を取得することになっていましたが、登記を行わないまま年月が経過してしまいました。その後、父(Bさん)も亡くなり、最終的に孫であるご自身(Cさん)がその土地を引き継ぐことになったケースです。
この場合、原則としては法務局に対して以下の2段階の手続き(2回の登記)を行う必要があります。
- 第1段階: 祖父(Aさん)から、父(Bさん)への名義変更(※ここで登録免許税が1回発生)
- 第2段階: 父(Bさん)から、ご自身(Cさん)への名義変更(※ここでも登録免許税が1回発生)
つまり、通常であれば2回分の税金を納めなければなりません。
しかし、この免税措置を適用することで、「第1段階(祖父から父への名義変更)」にかかる登録免許税が「免除(0円)」となります。
結果として、ご自身が負担するのは「第2段階(父からご自身への名義変更)」の分の税金(0.4%)のみで済むことになります。
制度が新設された背景
過去に発生した相続の登記が未了のまま放置されていると、相続人が年々増加し、いざ名義変更をしようとした際の税負担が過大になってしまうという問題がありました。国はこうした過去の不備を解消し、現在の正しい所有者へ名義を移しやすくするためにこの特例を設けています。
💡知っておくべき注意点
- 対象は「土地」に限られます: この免税措置は土地にのみ適用されます。「建物(一戸建ての家屋やマンションの専有部分)」は対象外となるため、建物の登録免許税は通常通り発生します。
- 中間相続人が「単独取得」している必要があります: 遺産分割協議などにより、途中で亡くなられたお父様(Bさん)が、その土地を1人ですべて取得することが確定している必要があります。
3.免税措置②:不動産の価額が「100万円以下」の少額な土地の場合
2つ目は、「固定資産税評価額が100万円以下である、比較的少額な土地」を相続する場合の免税措置です。
かつては「市街化区域外の特定の土地」という地理的な制限がありましたが、法改正を経て、現在は「日本全国すべての土地」が対象へと拡大されています。こちらも、期間が2027年(令和9年)3月31日まで延長されています。
土地の固定資産税評価額が100万円以下であれば、その土地の相続登記にかかる登録免許税は「0円」となります。
【具体例】地方の山林や、住宅地における共有の「私道」を相続するケース
「100万円以下の土地など本当にあるのだろうか」と思われるかもしれませんが、実務上、以下のようなケースで非常に多く活用されています。
- 事例1:地方に存在する、実家の裏山の山林や田畑 地方の山林や農地などは、面積が広大であっても固定資産税評価額が数万円から数十万円程度に留まることが多々あります。例えば、評価額が「30万円」の山林であれば、100万円以下に該当するため登録免許税は発生しません。
- 事例2:分譲住宅地などにある「私道(しどう)」の持分 戸建て住宅にお住まいの場合、ご自宅の前面道路(私道)を近隣住民の方々と共有(例えば10世帯で10分の1ずつ持ち合うなど)しているケースがあります。この免税措置は「ご自身の持分に応じた価額」で判定されます。そのため、仮に私道全体の評価額が数百万円あったとしても、ご自身の持分で計算(全体の評価額×持分)すると結果的に100万円以下に収まり、免税の対象となるケースが非常に多いのが典型例です。
「100万円以下」の判定基準
この「100万円以下」の判定は、土地1筆(いっぴつ:登記簿上の土地の単位)ごと、かつ相続人1人あたりの持分の価額で計算を行います。
具体的な判定例は以下の通りです。
【ケースA】評価額50万円の土地を、ご自身が1人で相続する場合 土地全体の価額(50万円) ≦ 100万円 = 【免税対象】
【ケースB】評価額300万円の土地を、兄弟3人で「3分の1ずつ(各100万円)」共有で相続する場合 自身の持分に応じた価額(300万円 × 1/3 = 100万円) ≦ 100万円 = 【免税対象】
このように、共有で相続する場合などは「ご自身の持分に相当する金額」が100万円以下であれば免税が認められます。「都市部に住んでいるから関係ない」と決めつけず、固定資産税の課税明細書に記載されている私道や不整形地などの評価額を確認してみる価値は十分にあります。
💡知っておくべき注意点
- こちらも「土地」のみが対象です: 免税措置①と同様に、対象は土地に限られます。例えば、評価額が50万円の古い空き家(建物)があったとしても、建物部分の登録免許税は免除されません。
- 100万円を「1円でも超えると」全額課税: あくまで100万円「以下」が条件です。100万1円になった場合は、超えた分だけでなく、全体の価額に対して0.4%の税金が課されます(一部免税という制度ではありません)。
4.重要:免税措置を適用させるための「申請上の注意点」
ここまで免税措置の条件について解説してきましたが、ご自身で手続きをされる際に、最も注意しなければならない実務上のポイントがあります。
それは、「登記申請書を提出する際、免税の根拠となる条文を自ら明記しなければ、通常の税金を請求される」という点です。
法務局の審査官は、提出された不動産の評価額を見て自動的に免税処理を行ってくれるわけではありません。申請者側から「この特例を利用します」という意思表示を申請書に記載しなければ、免税は適用されません。
さらに重大な点として、一度免税の記載を失念したまま通常の税金を納付し、登記が完了してしまった場合、後から「実は免税対象だったから返金してほしい」と申し出ても、原則として還付(返金)は受けられません。
登記申請書への記載例
ご自身で登記申請書を作成される場合は、登録免許税の金額を記載する欄の近くに、以下のような「免税の根拠」を必ず記載してください。
- 免税措置①(数次相続)を適用する場合:
租税特別措置法第84条の2の2第1項により非課税 - 免税措置②(100万円以下の土地)を適用する場合:
租税特別措置法第84条の2の2第2項により非課税
5.登録免許税の免税措置に関するまとめ
| 免税措置の名称 | 適用要件 | 具体的な想定事例 | 主な注意点 |
| ① 数次相続の免税 | 相続人が名義変更をしないまま逝去し、次の相続が発生した場合 | 祖父名義の土地を、亡き父を経由して孫(ご自身)が引き継ぐケース | ・土地のみ対象 ・中間相続人が単独で取得していること |
| ② 100万円以下の免税 | 土地の評価額(または持分価額)が100万円以下である場合 | 地方の実家の山林・農地、住宅地にある共有の私道など | ・土地のみ対象 ・建物は価額に関わらず課税対象 |
【共通する重要事項】
- 適用期限は2027年(令和9年)3月31日まで(2年間の延長が決定)。
- 登記申請書に「免税の根拠条文」を正確に記載しなければ適用されない。
6.相続登記の手続きは、高野司法書士事務所へご相談ください
相続登記の義務化に伴い、期限内に正しく、かつ最も費用負担の少ない方法で手続きを完了させるためには、専門知識を持つ司法書士のサポートを活用することが確実な道です。
特に今回ご紹介した免税措置は、「制度を正しく把握し、申請書に反映できるか」によって、数万円から数十万円の費用の差が生まれる重要なポイントです。当事務所では、ご相談者様の状況を詳細に伺い、利用可能な特例や免税措置を最大限に活用して、不必要な出費を抑えるための最適な手続きをご提案いたします。
免税措置の期限が延長されているこの機会に、ぜひ確実な名義変更を進めてみてはいかがでしょうか。 まずは一度、高野司法書士事務所までお気軽にお問い合わせください。皆様の身近な法律の専門家として、誠心誠意サポートさせていただきます。
(法務省公式案内ページ:相続登記の登録免許税の免税措置について)

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
1ヶ月かかる法務局も?新制度「所有不動産記録証明制度」を実際に使ってわかったこと
2026年2月にスタートした、相続手続きにおける注目の新制度「所有不動産記録証明制度」。特定の人が所有している全国の不動産(土地・建物)の一覧を、法務局で証明書として発行してもらえる画期的な仕組みです。
当事務所でも、ご依頼いただいた相続手続きの一環として、すでに何度かこの証明書を請求・取得いたしました。今回は、ニュースや概要だけではわからない、「実務で実際に使ってみてわかったリアルな感想」と、利用する際の注意点・落とし穴について、専門家の視点から詳しくお伝えします。
1.最大のメリットは「全国の物件を網羅できる安心感」
これまで、亡くなった方の不動産を調べるには、市区町村ごとに「名寄帳(なよせちょう)」を取得する必要がありました。しかし、これでは「他の市町村にある見知らぬ不動産」を見落としてしまうリスクがありました。
この証明書の最大のメリットは、やはり「全国の法務局データから一括でリストアップされる安心感」です。 絶対に物件を漏らしたくない、または亡くなった方がどこに不動産を持っていたか全く見当がつかないといったケースでは、非常に強力なツールであることは間違いありません。
2.実際に使って驚いた「3つの意外な事実」
しかし、実際に手続きを進めてみると、想定とは違った「意外な事実」やハードルがいくつも見えてきました。
① 窓口が違う!?発行までに「1ヶ月」かかったケースも
一番驚いたのは、対応する法務局の窓口です。 通常の登記事項証明書(登記簿謄本)のように「証明書発行窓口」ですぐに出してもらえるものだと思いがちですが、実は「不動産登記部門(登記の審査などを行う部署)」が対応窓口となっています。
つまり、権利の登記申請(名義変更など)と同じくらいの審査時間がかかる場合もあるということです。当事務所から郵送請求を行いましたが、ある法務局では発行までに1ヶ月ほどかかったケースもありました。
実はこの証明書、いつもの癖で証明対象の物件を管轄する法務局に請求してしまいがちですが、全国どこの法務局に請求しても構いません。 つまり、お急ぎの場合は、法務局のホームページで各局の「登記完了予定日」を確認し、空いていて処理が早い法務局を選んで請求するのが、早く取得するためのコツになりそうです。
② 相続人の「印鑑証明書」が必要(しかも原本は返ってこない!)
プライバシーに関わる重大な個人情報であるため、審査は極めて厳格です。 相続人が請求する場合、請求する相続人の「印鑑登録証明書(原本)」の提出まで求められます。
さらに厄介なのが、通常の相続登記などでは手続きが終われば戻ってくる(原本還付される)はずの印鑑証明書が、この証明書の請求においては「原本還付できない(使い捨てになる)」という点です。他の銀行の手続き等で印鑑証明書を使い回そうと考えている方は、この手続き用に余分に1通取得しておく必要があります。
③ 取得コストはやや高め。やみくもな申請は不要?
法務局への手数料(書面申請で1件1,600円、検索条件が増えるごとに手数料加算)を考えると、それなりのコストがかかります。 遺産の内容が明白な場合には無理に取る必要はなく、「親と疎遠で財産がわからない」「遠方にも不動産を持っていたはず」といった費用をかけてでも物件を漏らしたくないケースに絞って活用するのが賢明だと感じました。
3.証明書に「載ってこない」物件、または「他人の物件」がある!?
注意しなければならないのが、「この証明書を取れば、すべての調査が完了するわけではない」という事実です。法務局が公表している「システムの検索仕様」を読み解くと、以下のような限界があることがわかります。
- そもそも登記されていない物件 未登記の古い家屋や、「表題登記(建物の種類や面積の登録)」のみで所有者の権利(保存登記)が登録されていない物件、ごく稀にある昔の紙の登記簿のままの物件は検索されません。
- 住所の履歴が繋がらない物件 システムは、「氏名」と「住所(市区町村まで、または末尾5文字)」をセットで検索します。もし亡くなった方が何度も引っ越しをしていて、昔の住所のまま登記されている物件があった場合、戸籍の附票などで住所の繋がりを正確に証明できないとリストから漏れてしまいます。
- 旧字体・異体字のワナ システムは「高」と「髙(はしごだか)」などをある程度同じ文字として認識しますが、法務局自身も「全ての異体字が変換されるわけではない」としており、珍しい漢字で登記されていると検索から漏れるリスクが残っています。
- 同姓同名の「赤の他人」の物件が混ざる 固有のID番号ではなく「氏名と住所の文字」だけで検索する仕組みのため、たまたま同じ市区町村に住む同姓同名(同名異人)の物件が、誤ってリストに抽出されてしまう可能性がないとは言い切れません。
このように、「証明書に載っていないから財産はこれだけだ」と安心するのも、「リストに載っているから全て親のものだ」と鵜呑みにするのも危険です。
【財産を完全に把握するための対策】 証明書には「そもそも登記されていない物件は載らない」という大前提があるため、新制度だけに頼るのではなく、必要に応じて以下のような調査を組み合わせる必要があります。
- 市区町村で「名寄帳(なよせちょう)」を取得し、未登記の家屋がないか確認する。
- ご自宅に残されている「登記済権利証」の内容と、証明書のリストを照らし合わせる。
- 証明書で判明した物件の登記事項証明書や公図を取得し、それをもとに周辺の道路(共有私道など)に持ち分がないか調査する。
4.面倒な不動産調査・相続手続きは丸ごとお任せください
「所有不動産記録証明制度」は、間違いなく相続手続きの助けとなる素晴らしい制度です。
高野司法書士事務所では、この「所有不動産記録証明書」の取得代行からその後の相続登記(名義変更)までをワンストップでサポートしております。
「親の不動産の全貌がわからなくて不安」 「法務局での面倒な手続きや、1ヶ月も待つようなやり取りを自分でやる自信がない」
そんな時は、ぜひ当事務所にご相談ください。 皆様の大切な財産をしっかりと次世代へ引き継ぐお手伝いをいたします。
初回のご相談は無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください!

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
不要な相続土地を手放す!「相続土地国庫帰属制度」の費用・申請方法と処分戦略
近年、親から実家や土地を相続したものの、「遠方に住んでいて管理ができない」「利用する予定がないのに固定資産税や草刈りの費用ばかりがかさむ」といった理由で、土地を手放したいと悩む方が急増しています。かつては大切な資産として扱われた不動産が、今や管理コストと税金だけを生み出す「負動産」となってしまっているケースは少なくありません。
こうした深刻な「所有者不明土地問題」を解消するため、2024年(令和6年)の相続登記義務化と並行してスタートしたのが「相続土地国庫帰属制度」です。これは、一定の厳しい条件を満たし、費用を納めることで、不要になった土地の所有権を国に引き取ってもらえる画期的な仕組みです。
しかし、制度開始から3年が経過した2026年(令和8年)現在、利用件数は増加傾向にあるものの、一般の方の認知度はまだ1割程度に留まっているという調査結果もあります。また、「国がどんな土地でも無条件で引き取ってくれるわけではない」という制度の厳しさも、利用を難しくしている要因の一つです。
本記事では、2026年現在の最新の運用データに基づき、審査の実態や費用の仕組み、手続きのハードル、そして制度を使えなかった場合の代替手段まで、専門家の視点から解説します。
1.国はどんな土地を引き取っているのか?
法務省が公表した令和8年3月末の最新統計データを見ると、この制度がどのように利用されているのか、そのリアルな実態が浮かび上がってきます。
地目による「承認率」の大きな違い
申請された土地の地目(種類)を見ると、「田・畑」が最も多く、次いで「宅地」「山林」と続きます。しかし、審査を通過して国庫に帰属した(引き取られた)件数を見ると、明確な差が出ています。宅地は申請の半数以上が承認に至っているのに対し、山林の承認数は極端に少ない水準に留まっています。これは、後述する「追加の整備が必要な森林」として不承認になってしまうケースが多発しているためです。
「事前相談」で9割が断念している現実
本制度を利用するためには、まず法務局へ事前相談を行うのが一般的です。しかし、過去のデータを含めて推察すると、相談者のうち実際に申請手続きへと進むのはわずか1割未満と言われています。「建物が建っている」「境界がわからない」といった明らかなNG条件に該当することがわかったり、手続きにかかる数十万円単位の費用を試算して経済的合理性がないと判断し、申請を諦める方が多数を占めているのです。
申請の「取下げ」がもたらす意外なメリット
注目すべきは、申請を取り下げた理由です。統計によると、「有効活用の見込みが生じた」という理由だけで500件以上の申請が取り下げられています。 これは、国庫帰属に向けて測量や隣地との境界確認といったアクションを起こしたことがきっかけとなり、これまで動かなかった隣人が「それならうちの土地にくっつけて引き取りたい」と申し出たり、自治体や農業委員会が活用に向けて動き出したりしたケースが多数あることを示しています。制度の利用に向けて動くこと自体が、地域の土地問題を解決する強力なきっかけになっているのです。
2.制度利用にかかる「3つの費用」の詳細
不要な土地を手放し、将来の不安を取り除くためには、相応の費用負担が必要です。大きく分けて「審査手数料」「負担金」「専門家報酬」の3つがかかります。
① 審査手数料(申請時の費用)
手続きの第一歩として、申請時に土地1筆あたり14,000円の審査手数料を国に納めます(収入印紙で納付)。ここで注意が必要なのは、仮に審査の結果「不承認」となったり、途中で申請を取り下げたりしても、一度納めた手数料は一切返金されないという厳しいルールがある点です。
② 負担金(承認後の費用)
無事に審査を通過し、国に引き取ってもらう際に納める最も大きな費用です。これは「国がその土地を10年間管理するための費用」として計算されます。
- 原則(定額制):多くの宅地、田・畑、雑種地などは原則として一律20万円です。
- 例外(面積比例算定制):市街化区域の宅地や農地、そしてすべての「山林」は、面積に応じて計算されます。例えば、市街地の宅地200㎡であれば約80万円、山林3,000㎡であれば約30万円といった具合です。
③ 専門家報酬
自力で手続きすることも法的には可能ですが、公図や測量図の読み込み、法務局との高度なやり取りが必要となるため、司法書士や行政書士などの専門家に依頼するのが実務上のスタンダードです。 相場としては、事前調査費用と申請書作成報酬を合わせて20万円〜50万円程度が一般的です。(※現地測量や境界確定が必要な場合は、土地家屋調査士への費用が別途数十万円かかります)。
3.手続きの流れと「国が拒絶する土地」の条件
手続きは、「事前相談(ウェブ予約やオンライン相談も可能)」→「申請書の提出」→「現地調査」→「承認」→「負担金の納付」という厳格なステップで進みます。 ここで最大の関門となるのが、負担金の納付期限が「通知の翌日から30日以内」と極めて短いことです。期限内に数十万円を納付できなければ承認は失効し、最初から手続きをやり直すという重いペナルティが課されます。
また、国は税金を使って管理を行うため、少しでもトラブルのリスクがある土地は徹底して拒絶します。
- 入り口で却下される土地 「境界がわからない土地」は、将来隣人とのトラブルに発展する可能性が高いため即却下されます。また、現に私道として使われている土地、建物が残っている土地、住宅ローンの担保がついている土地なども受け付けてもらえません。
- 現地調査で不承認になる土地 書類上は問題なくても、現地に行って「放置車両」「産業廃棄物」「建物のコンクリート基礎(地下埋設物)」などが見つかれば、撤去費用がかかるため不承認となります。また、山林において「追加の間伐など整備が必要な荒廃した森林」や「崖崩れの危険がある土地」も、国に損害賠償リスクが及ぶため厳格に弾かれます。
4.国庫帰属制度が使えない場合の「4つの代替処分戦略」
もし、国が引き取ってくれない土地だった場合、どのように処分すればよいのでしょうか。
① 相続放棄
「相続放棄をすれば管理責任もなくなる」と考える方が多いですが、2023年(令和5年)の民法改正によりルールが厳格化されました。相続放棄をした時点で現にその不動産を占有していた場合、次の相続人や清算人に引き渡すまでの間、建物の倒壊防止などの「保存義務」が残ります。 さらに空き家対策特措法の改正により、放置して自治体から「管理不全空き家」に指定されると、固定資産税の特例が解除され税負担が最大約6倍に跳ね上がるリスクもあります。相続放棄をして放置するという戦略は、現在では極めて危険です。
② 自治体への寄附
土地のある市区町村へ寄附する方法ですが、道路や公園といった「明確な公共の使い道」がない限り、自治体も維持管理費の不良債権を抱えることになるため、原則として受け取りを拒否されます。
③ 民間の「不動産引取業者」の活用
近年、数十万円〜数百万円の手数料を支払うことで、建物がある土地や境界不明の土地でも引き取ってくれる民間業者が増えています。国の審査基準がないため迅速に手放せるメリットはありますが、費用が高額になりやすく、また悪質な業者(不法投棄の温床にするなど)に渡してしまう社会的リスクもあるため、業者の信用調査が不可欠です。
④ 隣人や地元企業への譲渡・売却
最も健全な解決策です。前述した「取下げデータ」が示すように、国庫帰属の準備を進め、専門家が入って境界確認などを行うことで、隣地の方が「それならタダで自分の土地として引き取りたい」と態度を軟化させるケースは非常に多いのです。
5.次世代に「負動産」を残さないために
相続土地国庫帰属制度は、どんな土地でも捨てられる魔法の制度ではありません。正しく要件を整え、相続土地国庫帰属制度は、どんな土地でも自由に手放せる「万能な制度」ではありません。一定の要件を満たし、適切な手続きを経てはじめて、土地の維持管理責任から合法的に離れることができる制度です。
そのため、不要な土地を抱えている場合には、問題が大きくなる前に現状を整理し、早めに方向性を検討しておくことが大切です。
特に、
- 境界や管理状況の確認
- 建物・越境物・工作物の有無の整理
- 固定資産税や維持費の把握
- 売却・譲渡・国庫帰属など複数の選択肢の比較
といった点は、早い段階で確認しておくことで、将来の相続人の負担軽減につながります。
また、土地の状況によっては、相続土地国庫帰属制度以外の方法が現実的な解決策となるケースも少なくありません。制度の内容を正しく理解したうえで、それぞれの土地に合った対応を検討することが重要といえるでしょう。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
成年後見は「一生やめられない」から解放へ!親の認知症に備える家族の新ルール
高齢のご両親を持つ世代の方々から、「もし親が認知症になってしまったら、実家の管理や預金口座の凍結はどうやって対処すればいいのか」という切実なご相談を数多くいただきます。その際の解決策として「成年後見制度」がありますが、世間では「一度使い始めると一生やめられない」「専門家に毎月高い費用を払い続けなければならない」といったネガティブなイメージが強く、利用をためらってしまうご家族が少なくありませんでした。
しかし、2026年4月、政府は成年後見制度の抜本的な見直しと、新時代の「デジタル遺言」の創設を柱とする民法等の一部改正案を閣議決定しました。順調に進めば、2028年度中にもこの新しいルールが実運用される見込みです。
この法改正は、超高齢社会の日本において、個人の尊厳を守りながら、より柔軟で使いやすい財産管理の仕組みを作る「歴史的な大転換」となります。今回は、この法改正によってご家族の負担がどう軽くなるのか、そして今からどのような準備をしておくべきかを、わかりやすく解説いたします。
1.なぜ今の成年後見制度は「使いにくい」のか?
現在、日本の認知症高齢者は約600万人に達すると言われていますが、成年後見制度の利用者は約24万人(約4%)と非常に低迷しています。なぜこれほどまでに利用率が低いのでしょうか。それには、現在の制度が抱える「3つの大きな壁」があります。
① 一度始めると一生やめられない(終身制の縛り)
現在、最も高いハードルとなっているのがこのルールです。例えば、「親の銀行口座が凍結されたから解約したい」「介護費用を作るために空き家になった実家を売却したい」といった、ただ一つの目的のために後見人を立てたとしても、その手続きが終わったからといって途中で制度をやめることはできません。本人の判断能力が回復しない限り、亡くなるまでずっと後見が続くことになります。
② 専門職への毎月の報酬負担
制度が一生続くということは、費用の負担も一生続くことを意味します。現在、後見人の約8割以上は親族ではなく、弁護士や司法書士などの専門職が選任されています。専門職が就くと、毎月2万円〜6万円程度の報酬を、親の財産から亡くなるまで支払い続けなければならず、これがご家族にとって重い負担となっています。
③ 権限が強すぎることによる「不自由さ」
現行の制度は、判断能力に応じて「後見・保佐・補助」の3つに分かれています。特に一番重い「後見」になると、後見人がすべての財産管理を行うため、本人が自分で決められること(自己決定権)が大きく奪われ、保護が行き過ぎてかえって不自由になるという国際的な批判もありました。
2.改正で成年後見はどう変わる?(3つの大改革)
こうした「使いにくさ」を解消するため、今回の改正案では以下のような画期的な見直しが行われます。
改革①:「必要な時だけ」のスポット利用が可能に!
最大のポイントは、「終身制の廃止」です。 実家の売却や遺産分割協議など、特定の目的のために制度を利用した場合、その手続きが完了して財産管理の必要性が低くなったと家庭裁判所が認めれば、途中で制度を終わらせることができるようになります。あらかじめ期間を定めた利用も検討されており、「一生の縛り」から解放され、ライフステージに合わせて必要な期間だけ利用することができるようになります。
改革②:オーダーメイド型の「補助」に一本化
これまでの「後見・保佐・補助」という硬直化した3つの枠組みが廃止され、本人の意思を最も尊重できる「補助」という仕組みに一本化されます。 一律にすべての権限を取り上げるのではなく、「この不動産の売買の手続きだけ手伝う」というように、本人の能力や生活状況に合わせて、必要な範囲にだけ限定して権限を設定する方式に変わります。これにより、ご本人が自分でできることはそのままに、本当に必要な部分だけをサポートする「真のオーダーメイド型支援」が実現します。
改革③:後見人の交代がスムーズに
これまでは、後見人に不正がない限り途中で交代させることは困難でした。しかし改正後は、状況の変化に応じて柔軟に交代できるようになります。 例えば、「最初の複雑な法的手続き(不動産売却など)は司法書士に任せ、それが終わって日常的な生活支援が中心になれば、ご家族や福祉関係者にバトンタッチする」といった合理的なリレーが可能になります。
3.もう一つの目玉「デジタル遺言」の誕生
成年後見の改革と並んで大きな話題となっているのが、「デジタル遺言(保管証書遺言)」の創設です。
これまで、自分で書く遺言(自筆証書遺言)は、財産目録などを除き原則として全文を手書きしなければならず、ご高齢の方には大きな身体的負担でした。一方、公証役場で作る遺言は確実ですが、費用や手間がかかります。
新設されるデジタル遺言は、パソコンやスマートフォンを使って電子データとして遺言を作成できます。さらに素晴らしいのは、公証役場へ出向くのが難しい方のために、ウェブ会議(ビデオ通話)を使って本人確認や内容確認ができるようになる点です。画面越しにマイナンバーカード等を提示し、遺言を読み上げることで、ご自宅にいながら安全に法的な遺言を残すことができます。データは公証役場で厳重に保管されるため、紛失や一部の相続人による改ざんのリスクも完全に防ぐことができます。
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4.AIの進化で近未来の「家族の役割」はどう変わるのか?
成年後見制度を利用する際、「月に数回専門家が来るだけで、親の本当の気持ちがわかるのだろうか?」と不安に思う方も多いかもしれません。しかし近い将来、「AIアバターによる24時間見守り」が制度を強力にサポートする時代がやってきます。
ご自宅や施設にいるAIが、毎日の何気ない会話からご本人の体調やストレス、認知機能の微妙な変化を察知します。私たち専門家は、そのデータをもとに「本当は自宅に住み続けたい」といったご本人の真の願いをより正確に汲み取れるようになり、専門家が離れている期間もAIが切れ目のない安全網(セーフティネット)として機能します。
さらに、法改正で「必要な時だけのスポット利用」が可能になることで、ご家族の役割も根本から変わります。 不動産売却や複雑な遺産分割など、高度な法律知識が必要な時だけ司法書士に任せ、それ以外の期間はAIのサポートを受けながらご家族が見守るという「上手な分業」ができるようになるのです。
これまでご家族を苦しめてきた「複雑な財産管理」や「裁判所への定期報告」という重圧から解放され、ご家族は本来の最も大切な役割である「精神的な寄り添い」や「日々の暮らしのサポート」に専念できるようになります。テクノロジーと新制度の融合が、ご家族の負担を減らし、より温かい関係を築く手助けをしてくれるはずです。
5. 将来の安心は「今」の相談から
制度が「必要な時だけ使える」ように柔軟になり、デジタル遺言が導入されたとしても、目前に発生する遺産分割協議、戸籍の収集、銀行口座の解約、そして2024年に義務化された不動産の相続登記といった「面倒な法的手続き」そのものがなくなるわけではありません。
むしろ、制度がオーダーメイド化し選択肢が増えるからこそ、「今の我が家の状況にとって、どのタイミングで、どの制度を利用するのが最適か」という戦略的な判断がこれまで以上に重要になります。
2026年の民法改正案は、「成年後見は一生やめられない」という呪縛からご家族を解放し、必要な支援をオーダーメイドで組み上げることができる希望の光です。
しかし、法改正を待つ間にも時間は過ぎていきます。大切なのは、制度の大きな転換点をきっかけに、「今のうちから最適な対策を専門家と話し合っておくこと」です。
将来の不安を先送りせず、複雑で面倒な相続手続きや、ご両親の財産管理に関するお悩みは、地域に深く根差し親身になってサポートする高野司法書士事務所へぜひお任せください。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
