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相続人が海外在住の場合の相続手続きと注意点

2025-07-16

近年、仕事や結婚、留学などで海外に居住する日本人が増加しており、それに伴い、相続人の中に海外在住の方が含まれるケースも珍しくなくなってきました。相続が発生した際、海外に居住する相続人であっても、被相続人の財産を相続することは可能です。

しかし、日本に居住している相続人が行う手続きとは異なる点や、特有の注意点が存在します。本記事では、海外在住の相続人がいる場合の相続手続きの進め方、必要書類、そして特に留意すべき点について詳しく解説します。

1.相続手続きの基本的な流れ

被相続人が亡くなり相続が開始された際、遺言書が存在しない場合、被相続人の遺産を相続する権利を持つすべての相続人が集まり、遺産の分割方法について話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。この協議は、相続人全員の参加と内容への同意が大前提であり、たとえ一人でも参加しない相続人がいた場合、その協議は無効とされてしまうため注意が必要です。

遺産分割協議が無事にまとまったら、後々のトラブルを防ぐために、遺産の分割方法を明記した「遺産分割協議書」という書面を作成し、相続人全員が署名し実印を押印するのが一般的です。

2.海外在住の相続人における遺産分割時の必要書類と取得方法

相続人の中に海外居住者がいる場合でも、相続手続きの基本的な流れに大きな違いはありませんが、日本に住所登録をしておらず海外に居住している相続人には、実印と印鑑証明書がないという点が大きな相違点となります。そのため、これらの書類に代わる証明書を準備する必要があります。

署名証明書(サイン証明書)

日本の印鑑証明書に代わるものとして、本人の署名および拇印が確かに領事の面前でなされたことを証明する「署名証明書」を、現地の日本大使館や領事館などの在外公館で発行してもらう必要があります。多くの場合、遺産分割協議書を直接在外公館に持参し、領事の目の前で署名することで、その署名が本人のものであると証明してもらいます。一時的に日本に帰国している場合は、日本の公証役場で同様のサイン証明書を取得することも可能です。このサイン証明は、日本における印鑑証明書と同様の公的な証明書類として扱われます。署名証明書には2種類あるため、事前に金融機関や法務局など、提出先でどちらの形式が必要か確認しておくと良いでしょう。また、遺産分割協議書以外にも署名押印が必要な書類がある場合、別途署名証明書が必要になる可能性もあります。

在留証明書

遺産分割協議の結果、不動産を相続する場合には住民票が必要になりますが、海外在住者には住民票が発行されない国が大半です。そのため、住民票に代わる「在留証明書」の発行が必要となります。在留証明書は、署名証明書と同様に現地の在外公館で発行されます。発行には、日本国籍を有していること、現地に既に3か月以上滞在し住所が公文書などで明らかになっていること、そして発行手数料の支払いが必要です。パスポートに加え、賃貸契約書や公共料金の請求書など、滞在期間と居住地がわかる書類を持参する必要があります。不動産の相続登記手続きを行う際には住所を証明する書面が必要となるため、日本に一時帰国する前に、海外の居住地における在外公館で「在留証明書」を予め取得しておくことが望ましいとされています.

相続証明書(海外の国籍を有する場合)

相続人の中に、日本の国籍を放棄し、外国籍を取得した方がいる場合、日本の戸籍謄本を取得することができません。この場合、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書など、その国の公的な証明書が日本の戸籍謄本の代わりとして「相続証明書」に該当することがあります。被相続人が日本国籍であれば、たとえ相続人が外国籍であっても日本の法律(民法)に基づいて相続手続きが行われます。

3.海外在住者の遺産分割・相続手続きにおける注意点

相続人の中に海外在住の方がいる場合、遺産分割や相続手続きを進める上でいくつかの注意点があります。

書類の準備とやりとりに時間がかかる

海外在住者との相続手続きでは、書類のやり取りが郵送を中心に行われるため、国内相続人同士の手続きよりも時間がかかる傾向にあります。遺産分割協議書の署名・証明書の取得・送付、場合によっては追加書類の取り寄せなど、1往復に1〜2週間以上かかることも珍しくありません。
また、書類の不備や翻訳の問題があれば、再送や補足説明が求められることもあります。速達や国際宅配便を利用しても、現地の郵便事情や通関手続きの影響で遅延するリスクがあるため、早めの準備と余裕のあるスケジュール設定が重要です。
特に不動産の相続登記や金融機関の手続きなどでは、書類の提出期限が設けられることがあるため、司法書士など専門家に相談しながら確実に進めることが望まれます。

翻訳や認証が必要なケースがある

海外で発行された書類(例:サイン証明、公証書、戸籍に準ずる書類など)を日本の法務局や金融機関に提出する場合、原則として日本語訳を添付する必要があります。この翻訳は、一般的には本人または第三者(司法書士・翻訳会社など)が行い、内容の正確性を保証するため署名を添えるのが通常です。
さらに、現地の公証制度による文書を使用する場合は、アポスティーユ認証または日本領事館による領事認証が必要になるケースも多く、事前の確認が欠かせません。国によってはアポスティーユ制度に加盟しておらず、手続きが煩雑になることもあります。
翻訳や認証が不十分な場合、手続きが差し戻されたり、受理されなかったりする恐れがあるため、手続きに不慣れな方が独力で進めることはリスクが大きいと言えるでしょう。専門家のチェックを受けながら進めることで、スムーズかつ確実な対応が可能になります。

日本の相続税申告が必要となる

日本の被相続人から遺産を受け取った場合、海外に在住している相続人であっても日本の相続税が課税され、税務申告が必要となります。原則として、被相続人が保有していた財産は、日本国内の財産だけでなく、海外の財産も課税対象となります。ただし、被相続人と相続人の双方が10年以上海外に在住している場合、被相続人の日本国内の財産のみが課税対象となり、海外の財産は対象外となります。

4.専門家への相談の勧め

相続人に海外在住者が含まれている場合、相続手続きは国内のケースと比べて煩雑になりやすく、書類の準備や各種手続きに時間がかかることも少なくありません。法的な要件の確認や相続人同士の調整には、専門的な知識と経験が必要です。

こうした状況でも、相続に詳しい専門家に相談することで、必要な手続きを的確かつ円滑に進めることができます。当事務所では、ご相談者様のご事情を丁寧に伺い、最適な方法をご提案するとともに、必要に応じて税理士や弁護士など他の専門家と連携しながら、安心して相続手続きを進められるよう総合的にサポートしています。

横浜市青葉区をはじめ、緑区・都筑区・町田市など周辺エリアで相続に関するお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。初回相談も承っております。

相続人に行方不明者がいる場合の相続手続き

2025-07-15

相続手続きにおいて、法定相続人の中に「行方不明者」がいる場合、手続きは非常に複雑になります。なぜなら、相続は原則として相続人全員の同意に基づいて進めなければならず、一人でも協議に参加できない相続人がいると、遺産分割協議が成立しないためです。このような状況を放置しておくと、不動産の名義変更ができない、預貯金が引き出せないなど、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。この記事では、行方不明者が相続人にいる場合の具体的な対応策について、わかりやすく解説します。

1. 行方不明の相続人がいる場合の基本的な対応方針

相続人の一人が行方不明である場合、まずその所在を調査することが基本です。住民票の履歴や戸籍の附票を確認し、過去の住所地をたどることで手がかりが得られる場合もあります。できる限りの調査を尽くしてもなお、行方不明の相続人の居場所が判明しない場合や、連絡が取れない状態が続く場合には、法的な手続きを検討する必要があります。

・不在者財産管理人の選任
・失踪宣告の申立て

2. 不在者財産管理人の選任による解決方法

行方不明者が現実には生存している可能性がある場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申立てることが一般的です。これは民法第25条に基づき、不在者(所在が知れず、長期間音信不通の者)の財産を管理する者を裁判所が選任する制度です。この制度を利用すると、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加し、代理人として同意することが可能となります。ただし、不在者財産管理人が財産を処分する場合(遺産分割などを含む)は、家庭裁判所の許可を得る必要があるため、申立ての際には具体的な分割案を用意しておくとスムーズです。

3. 失踪宣告による対応(特別失踪・普通失踪)

行方不明の期間が長期にわたり、生死さえ不明な場合には、「失踪宣告」を検討することになります。失踪宣告には「普通失踪」と「特別失踪」の2種類があります。

・普通失踪:音信不通の状態が7年以上続いた場合に申立て可能。
・特別失踪:戦争、震災、事故などの危難に遭遇してから1年以上経過した場合に申立て可能。

失踪宣告が認められると、その人は法律上「死亡した」とみなされるため、その方の相続手続きも行うことが可能になります。ただし、後に生存が判明した場合には法的な影響も大きく、慎重な判断が求められます。

失踪宣告がされた場合、いつ死亡したとみなされるか

  • 普通失踪の場合:家庭裁判所が失踪宣告をした日ではなく、音信不通の状態が始まってから7年が経過した日に死亡したとみなされます。
  • 特別失踪の場合:災害や事故などの危難が去った時に死亡したとみなされます。

たとえば、大規模な地震発生後に所在不明となり、1年以上経って特別失踪の宣告が出された場合、その地震が発生した日が「死亡日」として扱われます。これにより、相続開始時点が特定され、相続分の確定や遺産分割の基準にも大きく関係してきます。

4. 行方不明者の相続分を除いた遺産分割はできる?

行方不明の相続人を除いて他の相続人だけで遺産分割を進めることは原則として認められません。全員の同意が必要だからです。

しかし、不在者財産管理人を選任し、家庭裁判所の許可を得て協議を行えば、行方不明者に代わって協議に参加することができます。

また、失踪宣告が出れば、その人は死亡したと見なされるため、相続人としての地位を失い、代わりに次順位の相続人が登場することになります。

5. ケース別で見る実務対応のポイント

【ケース1】兄弟姉妹のうち一人が数十年音信不通である
⇒ まずは戸籍・附票をたどって所在調査。そのうえで不在者財産管理人の申立て。

【ケース2】相続開始時点ですでに失踪から7年以上が経過している
⇒ 家庭裁判所へ普通失踪の申立てを検討。失踪宣告が認められれば相続人の扱いは不要に。

【ケース3】相続人の一人が認知症・施設入所中など連絡不能
⇒ 行方不明とは異なり、後見人の選任が必要。成年後見制度の利用を検討。

6. 専門家への相談が確実な一歩

相続人に行方不明者がいるケースでは、通常の相続手続きが行えず、家庭裁判所を介した法的対応が不可欠になります。特に、不在者財産管理人の選任や失踪宣告の申立てなどは、専門的な書類作成と手続きが必要となるため、一般の方が独力で進めるのは難しいのが実情です。

お困りごとがあれば、横浜市青葉区の高野司法書士事務所までお気軽にご相談ください。司法書士がお客様の状況を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案いたします。

相続財産の調査方法その2(不動産、生命保険、負債)

2025-07-13

前回ご説明した現金、預貯金、株式・有価証券以外の主要な相続財産である不動産、生命保険、そして負債について、具体的な調査方法とその重要性について詳しくご説明します。

1. 不動産

不動産の有無を調べるには、まず毎年送られてくる固定資産税課税明細書を確認するのが一般的な方法です。この明細書には、故人が所有する不動産の一覧が記載されており、不動産調査の手がかりとなります。もし課税明細書が見当たらない場合や、固定資産税が非課税の不動産、あるいは共有名義の不動産(代表者以外には明細書が送付されないことがあります)の有無を確認したい場合は、注意が必要です。

不動産の調査において非常に有用なのが名寄帳(なよせちょう)です。名寄帳とは、特定の市町村内に故人が所有するすべての不動産(土地や家屋)について、その所有状況が一覧で記載された帳簿のことです。固定資産税を課税するために市町村が作成しているもので、故人がその市町村内にどのような不動産を所有しているかを網羅的に確認する際に役立ちます。これも、不動産が所在する市区町村役場で取得可能です。

しかし、名寄帳も万能ではありません。その限界も理解しておく必要があります。

特定の市町村内の情報のみ:名寄帳はあくまで発行している市区町村内の不動産情報しか記載されていません。故人が他の市町村にも不動産を所有していた場合、その情報は名寄帳には載っていないため、それぞれの市町村で個別に名寄帳や固定資産評価証明書を取得する必要があります。

課税対象外の不動産:固定資産税が課税されないような、極めて小さな私道や里道などの不動産は、名寄帳に記載されない場合や、記載されていても評価額が0円となっていることがあります。

直近の取得不動産:固定資産税の課税情報は1月1日時点の状況に基づいて作成されるため、故人がその年の1月2日以降に新たに取得した不動産については、その年の名寄帳には反映されていません。

相続財産に不動産が含まれる場合、「権利証」(登記済権利証または登記識別情報通知)を確認することも重要です。これは不動産の所有者であることを示す重要書類であり、登記簿上の名義人が被相続人であるかどうかを確認する手がかりとなります。特に複数の不動産を所有していた可能性がある場合、権利証を確認することで、見落としていた不動産の存在に気づくことがあります。また、権利証には固定資産税が課税されない物件(私道や山林など)も含まれている可能性があり、課税明細書だけでは把握できない不動産を確認できる点も大きなメリットです。相続登記の際にも、権利証があると手続きがスムーズに進む場合があるため、保管状況を必ず確認しておきましょう。

これらの点を踏まえ、不動産の調査は、様々な角度から、複数の情報を総合的に見て行うことが重要です。

2. 生命保険

生命保険契約は、故人が保険料を支払っていた場合、契約内容や受取人によっては相続財産として扱われることがあります。これを「みなし相続財産」と呼びます。生命保険の調査は、故人の自宅に保管されている保険証券保険会社からの通知、契約更新の案内などがないかを探すことから始めます。故人が複数の保険に加入していた可能性もあるため、注意深く確認することが重要です。

もし保険証券などが見つからない場合でも、2021年4月からは、日本生命保険協会が運営する「生命保険契約照会制度」を利用して、故人が生命保険に加入していたかどうかを調べることが可能です。この制度を利用することで、故人が契約していた可能性のある生命保険会社を一括で照会することができます。

3. 負債(借金など)

故人に借金がある可能性を調べることは、相続放棄を検討する上で非常に重要です。主な調査方法としては、信用情報機関への開示請求が挙げられます。個人の信用情報を取り扱う機関として、全国銀行個人信用情報センター、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)などがあります。これらの機関に故人の信用情報を請求することで、金融機関からの借入履歴やクレジットカードの利用状況などを確認できます。郵送で手続きが可能ですので、各団体のウェブサイトを確認すると良いでしょう。

ただし、個人間の貸し借りや、金融業者ではない法人からの借入などは、信用情報機関に情報が登録されないため、これらの負債は故人の残した書類や手帳、人間関係などから地道に調べていくしか方法がありません。そのため、相続開始後すぐに故人の書類を破棄することは避けるべきです。また、故人が他人の保証人になっていた場合、その保証債務も相続の対象となる可能性があるため、特に注意が必要です。保証債務の有無が疑われる場合は、故人の人間関係や残された資料を詳しく調査することが大切です。

専門家への相談が最も確実な方法です

相続に関する手続きは複雑で、期限管理や書類収集、登記や税務など多岐にわたります。誤った判断や遅延が後々トラブルを招く可能性もあるため、不安を感じたら早い段階で専門家へ相談することをおすすめします。

東急田園都市線「青葉台駅」近くの高野司法書士事務所では、相続手続きや相続財産調査のご相談を初回無料で承っております。平日夜間や土日祝日のご予約も可能で、お忙しい方でもご安心いただけます。また、オンライン相談(Zoom等)や出張対応も柔軟に行っておりますので、横浜市青葉区・緑区・都筑区周辺にお住まいの方だけでなく、遠方のご家族様もぜひお気軽にご相談ください。

相続財産の調査方法その1(現金、預貯金、株式、有価証券)

2025-07-12

相続手続きの中で、特に重要かつ最初に手をつけるべきなのが、「相続財産の調査」です。この調査は、故人(被相続人)が遺したプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含め、すべての遺産を正確に把握し、その価値を適正に評価するプロセスを指します。

相続財産調査がなぜこれほど大切なのでしょうか。その後の相続手続き、特に遺産の分割方法の選択や、相続放棄・限定承認の判断、さらには相続税の申告に大きく影響するからです。例えば、もし調査が不正確だったり漏れがあったりすると、後になって新たな財産や負債が発覚し、相続人同士の予期せぬトラブルにつながる可能性があります。また、相続放棄や限定承認を検討する場合、原則として故人の死亡を知った日から3ヶ月以内という短い期間で家庭裁判所に申し立てを行う必要があるため、この期間内に正確な財産状況を把握することが不可欠です。

ここでは、現金、預貯金、株式、有価証券といった相続財産について、種類ごとに具体的な調査方法と、その後の手続きを円滑に進めるためのポイントをご紹介します。

1. 現金の調査方法

自宅に保管されていた現金(いわゆるタンス預金など)は、金融機関の記録に残らないため、発見が難しい場合があります。故人の自宅や貴重品が保管されていた場所を丹念に探し、メモや家計簿などの記録がないか確認することが重要です。これらは、正式な記録とは異なりますが、財産の全体像を把握する上で役立つことがあります。

2. 預貯金の調査方法

故人が利用していた預貯金口座を特定することから始めます。

利用金融機関の特定: まず、故人の自宅に保管されていた通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物(通知書、ダイレクトメールなど)を探し、取引があった可能性のある金融機関を洗い出します。通帳を発行していないインターネット銀行の口座や、紛失した通帳の口座も考慮に入れるべきです。

残高証明書の発行依頼: 特定した金融機関には、故人の死亡日時点での残高証明書の発行を依頼します。この手続きは、相続人のうちの一人からでも請求可能ですが、故人の死亡が記録された戸籍謄本(除籍謄本)や、請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本など、必要な書類が金融機関によって異なるため、事前に確認することが望ましいです。

取引履歴の確認: 残高証明書と合わせて、過去の取引履歴の開示も依頼しましょう。通帳への記帳や取引明細を見ることで、定期的にお金が引き出されていた先や入金元が分かり、新たな財産(例えば貸金庫の利用料支払い履歴から貸金庫の存在が判明するケース)や負債の手がかりとなることがあります。

口座凍結への対応: 金融機関は、預金者の死亡を知るとその口座を凍結し、出金や振り込みができなくなります。凍結された預金を引き出すには、遺言書による指定、仮払い制度の利用、または遺産分割協議書(あるいは調停・審判書)に基づいて手続きを行う必要があります。また、相続人全員の協力が得られれば、金融機関所定の書式に署名捺印することで引き出しが可能になる場合もあります。

3. 株式・有価証券の調査方法

故人が所有していた株式、投資信託、債券などの有価証券も相続財産に含まれます。

証券会社の特定: まず、故人の自宅に保管されていた取引報告書、残高報告書、あるいは株券などの書類がないかを確認します。最近では多くの書類が電子交付されているため、紙の郵送物が届かないケースもあります。故人の生前の会話や行動、手帳のメモなどから、取引があった可能性のある証券会社を絞り込むことが重要です。

証券保管振替機構(ほふり)への照会: 2004年(平成16年)の商法改正により、株券は原則として発行されなくなり、株式等の情報は「証券保管振替機構(通称:ほふり)」という機関で一元的に管理されるようになりました。特定の証券会社が不明な場合でも、この証券保管振替機構に対して開示請求を行うことで、故人が保有していた株式や証券の情報を確認できる場合があります。これにより、故人が取引していた証券会社を特定する手がかりを得られることがあります。

各証券会社への問い合わせ: 特定できた証券会社、または証券保管振替機構から判明した証券会社には、故人名義の口座の有無や死亡日時点での残高について問い合わせを行い、残高証明書や取引履歴などの発行を依頼します。

その他の有価証券: 株式や投資信託以外にも、仮想通貨、ゴルフ会員権なども相続財産となり得るため、これらの有無も合わせて調査対象とすべきです。貸金庫の有無も確認し、中に有価証券や貴金属がないか確認することが重要です。

相続財産調査は専門家への依頼がスムーズ

相続財産調査は、上記の通り多岐にわたるため、ご自身で全て行うには多大な時間と労力、そして専門知識を要します。特に、期限が迫っている場合や、財産の種類が多岐にわたる場合は、精神的・肉体的負担も大きくなります。

このような場合、相続に強い専門家に依頼することが非常に有効です。司法書士は、戸籍謄本の収集による相続人の確定から始まり、財産目録の作成、不動産の名義変更(相続登記)、銀行や証券口座の解約手続きなど、相続財産調査からその後の手続きまでを一貫してサポートすることができます。また、相続人間での紛争が予想される場合は弁護士と、相続税の申告が必要な場合は税理士と連携するなど、幅広いネットワークを活かしたワンストップサービスを提供することで、お客様の負担を大幅に軽減することが可能です。

相続財産調査やその他の相続手続きでお困りの方は、横浜市青葉区の高野司法書士事務所までお気軽にご相談ください。当事務所では、初回のご相談を無料で承っており、平日夜間や土日祝日のご相談にも対応可能です(要事前予約)。お客様の状況に合わせた最適な解決策を、司法書士が責任を持って、分かりやすく丁寧にご案内いたします。

戸籍が最寄りの役所で取得できるようになります|広域交付制度を解説

2024-02-27

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。

令和6年3月1日から戸籍(除籍)謄本の広域交付が始まりました。この改正により、本籍地以外の最寄りの市区町村役場の窓口でも、相続手続きなどで必要な戸籍謄本が取得が可能となり、また、複数の本籍地の戸籍謄本が必要な場合でも、一か所の市区町村窓口でまとめて戸籍を請求することができるようになりました。

しかし、実際に運用が始まってみると、「すべての戸籍が即日で揃うわけではない」「窓口での待ち時間が長い」といった、利用にあたっての注意点も見えてきています。

1.本人以外の請求はできない

必ず請求者ご本人が市区町村役場の窓口にて手続きをする必要があります。郵送や代理人によって請求することは出来ません。窓口で手続きをされる請求者の方の身分証明書の提示が必要です。(運転免許証、マイナンバーカードなど顔写真つきのもの)

2.請求できる戸籍謄本等の範囲

この制度では、本人からみて下記の方の戸籍謄本等を取得できます。

・本人

・配偶者

・父母・祖父母などの直系尊属

・子・孫などの直系卑属

よって、兄弟や姉妹などの傍系の戸籍は取得できません。従来通り、本籍地のある市区町村役場で取得する必要があります。

3.請求できる戸籍謄本等の種類

この制度で、請求できる戸籍謄本等の種類は以下のとおりです。

・戸籍全部事項証明書

・除籍全部事項証明書

・除籍謄本(改製原戸籍謄本を含む)

よって、以下の証明書を請求することができません。本籍地の役所に請求する必要があります。また、コンピュータ化されていない一部の古い戸籍は交付対象外となります。

・戸籍一部事項証明書、戸籍個人事項証明書

・除籍一部事項証明書、除籍個人事項証明書

・除籍抄本など

・戸籍附票

 

4.【注意】即日発行されず、後日受け取りになる場合があります

広域交付制度は、最寄りの役所でまとめて請求できる便利な制度ですが、「その場ですぐに発行される」とは限りません。発行までに数日〜1週間程度かかる(後日再来庁が必要になる)場合があります。「一度の来庁で全て揃う」と思って行くと、二度手間になってしまう可能性があるため、スケジュールには余裕を持って動くことが大切です。

あわせて読みたい 戸籍が揃った後の、具体的な不動産名義変更(相続登記)の手続きの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

5.広域交付で揃わなかった戸籍も、当事務所が全国からスピーディーに収集します

「広域交付制度により、ご自身での収集は確かに便利になりました。しかし、『役所での待ち時間が長すぎる』『兄弟相続で結局すべての戸籍が揃わなかった』といったお声も多くいただいております。

当事務所では、横浜市青葉区の皆様の窓口として、またオンラインを活用した全国対応の専門家として、複雑な戸籍収集から不動産の名義変更(相続登記)までをワンストップでサポートいたします。少しでも不安を感じたら、お一人で悩まずにぜひ一度ご相談ください。

亡くなった後の手続きリスト(期限4か月以内のもの)

2024-02-19

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。今回は、亡くなった後の手続きリスト(期限4か月以内のもの)についてご説明したいと思います。

1.相続の放棄(3か月以内)

プラスの財産よりも、借金などのマイナスの財産の方が多いときは、相続の放棄について検討します。故人が亡くなってから3か月以内に手続きを行う必要があります。相続を放棄するという意思を家庭裁判所に申し出る必要があります。

相続放棄については下記のリンクをご参照ください。

相続放棄について

2.相続の限定承認(3か月以内)

故人の財産について、プラスの財産の方が多いのか、マイナスの財産の方が多いのか分からない時があります。このような場合に、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法を限定承認と言います。限定承認は、故人が亡くなってから3か月以内相続人全員で家庭裁判所に申し出る必要があります。

限定承認については下記のリンクをご参照ください。

限定承認について

3.所得税の準確定申告(4か月以内)

故人に事業所得や不動産所得があった場合は、相続人が代わりに確定申告をする必要があります。これを準確定申告といい、故人が亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内に行う必要があります。

準確定申告が必要な具体例

・自営業者だった方

・不動産賃貸業を行っていた方

・2か所以上から給与を得ていた方

・400万円以上の年金受給があった方

・2,000万円を超える給与所得があった方

・給与所得や退職所得以外に20万円を超える所得があった方

期限 亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内
申告者 相続人
申告先 故人の住所地を管轄する税務署
必要なもの(※事前に役所にご確認ください)

・確定申告書及び申告書付表

・申告する方の身分証明書

・源泉徴収票(給与や年金)

・控除証明書(生命保険及び損害保険)

・医療費の領収書

亡くなった後の手続きリスト(期限14日以内のもの)

2024-01-11

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。今回は、亡くなった後の手続きリスト(期限14日以内のもの)についてご説明したいと思います。

1.死亡届と死亡診断書の提出(7日以内)

死亡届と死亡診断書はA3用紙1枚で、左半分が死亡届、右半分が死亡診断書となっています。病院や自宅で亡くなった場合は、医師に死亡診断書を出してもらいます。

期限亡くなったことを知った日から7日以内(国外で亡くなったときは、亡くなったことを知った日から3か月以内)
提出先亡くなった方の本籍地、届出をする方の住所地、亡くなった場所の役所のいずれか
届出人(死亡届への署名や押印)親族、同居していた人、家主、地主、後見人など(提出すること自体は代理人でも可能)
注意点・火葬許可申請書と一緒に提出します。
・提出した死亡届の原本は返却されません。提出前に5部はコピーを取っておくようにしましょう。
・届出人の印鑑(認印)と身分証明書が必要な場合があります。準備しておきましょう。

2.火葬許可申請書の提出(7日以内)

火葬や埋葬をするには、火葬許可申請書を提出して、火葬許可証を受け取る必要があります。火葬が終わると、火葬許可証に火葬執行済の押印がされ、そのまま埋葬許可証として利用できます。

期限
亡くなったことを知った日から7日以内(国外で亡くなったときは、亡くなったことを知った日から3か月以内)
提出先
「死亡届」の提出先と同様
届出人
「死亡届」の届出人(提出すること自体は代理人でも可能)
注意点
・死亡届と一緒に提出します。
・万が一、紛失してしまった場合は、火葬許可証を発行してもらった役所で再発行の手続きをします。
・届出人の印鑑(認印)と身分証明書が必要な場合があります。準備しておきましょう。

3.健康保険の資格喪失手続き

病気やケガで病院を受診する際に、全国民がお金を出し合って、医療費の援助を受けることができるのが健康保険の制度です。健康保険の制度は、自営業者の方などが加入する「国民健康保険」、会社員の方などが加入する「健康保険」、75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療保険」の大きく3つに分けることができます。亡くなった場合は、援助を受けることができなくなるため、資格喪失の手続きを行います。

3-1 国民健康保険の場合(14日以内)

期限
亡くなった日から14日以内
提出先
亡くなった方が住んでいた市区町村の役所
届出人
世帯主、同一世帯の人など
必要なもの(※事前に役所にご確認ください)
・国民健康保険資格喪失届(役所で入手可能)
・国民健康保険の被保険者証
・亡くなったことを証する書面(戸籍謄本や死亡診断書の写しなど)
・印鑑(認印)
・窓口で手続きされる方の身分証明書
注意点
・世帯主が亡くなった場合は、世帯主の変更届とともに、世帯全員分の保険証(被保険者証)を返却する必要があります。

3-2 社会保険(健康保険)の場合(5日以内 )

期限
亡くなった日から5日以内
窓口
基本的に勤務していた会社の担当者
必要なもの(※事前に会社にご確認ください)
・健康保険・厚生年金保険の被保険者証(扶養されていた方の分を含む)
注意点
・亡くなった方の扶養に入っていた方は、別の家族の扶養に入るか、国民健康保険へ加入するか、どちらかの手続きが必要になります。

3-3 後期高齢者医療保険の場合(14日以内)

期限
亡くなった日から14日以内
提出先
亡くなった方が住んでいた市区町村の役所
届出人
世帯主、同一世帯の人など
必要なもの(※事前に会社にご確認ください)
・後期高齢者医療の資格喪失届(役所で入手可能)
・後期高齢者医療の被保険者証
・亡くなったことを証する書面(戸籍謄本や死亡診断書の写しなど)
・印鑑(認印)
・窓口で手続きされる方の身分証明書
 

4.公的介護保険の資格喪失手続き(14日以内)

40歳になると介護保険に加入することが義務付けられますが、実際に介護サービスを利用した場合に、サービスにかかった費用の一部を負担してもらえるのが介護保険制度です。①65歳以上の方、②40歳以上65歳未満で要介護・要支援の認定を受けていた方が亡くなった場合は、資格喪失の手続きを行います。
期限
亡くなった日から14日以内
提出先
亡くなった方が住んでいた市区町村の役所
届出人
世帯主、同一世帯の人など
必要なもの(※事前に役所にご確認ください)
・介護保険の資格喪失届(役所で入手可能)
・介護保険の被保険者証
・亡くなったことを証する書面(戸籍謄本や死亡診断書の写しなど)
・印鑑(認印)
・窓口で手続きされる方の身分証明書
注意点
 
・介護保険料を納めすぎていた場合は、役所からご遺族に対し、還付金が支払われます。

5.年金の受給停止手続き(14日または10日以内)

亡くなった方が年金を受け取っていた場合は、年金の受け取りを停止する手続きを行います。
期限
亡くなった日から14日以内(国民年金の場合)
亡くなった日から10日以内(厚生年金の場合)
提出先
最寄りの年金事務所または年金相談センター
必要なもの(※事前に年金事務所等にご確認ください)
・年金受給権者の死亡届(年金事務所で入手可能)
・亡くなった方の年金証書(紛失した場合は、理由を年金受給者の死亡届に記載する)
・亡くなったことを証する書面(戸籍謄本や死亡診断書の写しなど)
注意点
・手続きが遅れると、年金の支払いを止められず不正受給となりますのでご注意ください。
・亡くなった方が、日本年金機構にマイナンバーを登録していた場合は、手続き不要です。
・未支給の年金がある場合は、受給停止の手続きと併せて未支給年金の請求手続きを行うと便利です。ただし、請求権者が限定されていますのでご注意ください。

6.世帯主の変更手続き(14日以内)

世帯主の方がなくなり、残った世帯員が2名以上(15歳以上)の場合は、世帯主変更届を提出します。
期限
亡くなった日から14日以内
提出先
亡くなった方が住んでいた市区町村の役所
届出人
新しく世帯主になる方、または同じ世帯の方
必要なもの(※事前に役所にご確認ください)
・世帯主変更届(役所で入手可能)
・国民健康保険被保険者証など(加入していた場合)
・印鑑(認印)
・窓口で手続きされる方の身分証明書
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