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相続した不動産を売却すべきケース

2025-07-25

親や祖父母などの遺産として不動産を相続した場合、「その不動産をこのまま保有すべきか」「いっそ売却すべきか」と悩まれる方は少なくありません。相続した不動産は、たとえそこに住む予定がなくても「故人の思いがこもっている」「いずれ子どもに残したい」といった感情的な理由や、「将来値上がりするかもしれない」という期待などから、すぐに売却に踏み切れないこともあるでしょう。

しかし、相続した不動産には、維持費・固定資産税・老朽化による修繕義務といった「目に見えないコスト」がかかり続けます。特に空き家のまま放置していると、倒壊や雑草・害虫被害など近隣への迷惑にもつながり、自治体から行政指導を受けることもあります。さらに、2024年4月からは「相続登記の義務化」が施行され、放置していると10万円以下の過料の対象になる可能性もあります。

また、不動産を売却する場合には、譲渡所得税不動産取得税確定申告などの税務的な知識も必要になり、専門的な判断が求められます。

この記事では、「相続した不動産を売却すべきケースとはどんな場合か?」をはじめ、売却に伴う名義変更(相続登記)や税金のポイント(3,000万円控除など)、売却後の確定申告など、相続不動産の売却を検討している方が押さえておくべき情報を網羅的に解説していきます。

1.相続した不動産を売却すべき典型的なケース

不動産を相続したからといって、必ずしもそれを保有し続けることが最善とは限りません。実際には、売却したほうが経済的・法的に合理的なケースが多く存在します。ここでは、相続した不動産を売却すべき典型的なケースを4つ紹介します。

1. 誰も住む予定がない空き家の場合

被相続人が住んでいた住宅を相続したものの、自分や家族がそこに住む予定がなく、賃貸にも出さないまま空き家状態で放置されるケースは非常に多いです。
空き家のまま放置していると、次のようなリスクが発生します。

  • 固定資産税・都市計画税などの維持費が毎年発生する
  • 建物が老朽化して倒壊などの危険が生じる
  • 雑草・害虫被害・不法侵入などにより近隣トラブルに発展
  • 行政から「特定空き家」に指定されると固定資産税の優遇がなくなる

このような場合、売却によって資産を現金化し、維持コストや管理の負担から解放される方が得策といえるでしょう。

2. 相続人が複数いて不動産を共有している場合

相続人が複数いる場合、不動産を「共有」名義で相続することがあります。しかし、共有名義の不動産は以下のような問題を引き起こすことが少なくありません。

  • 長期の賃貸借・売却などにすべての共有者の同意が必要になる
  • 相続人間で意見が分かれると不動産の有効活用が困難
  • 将来的に相続が繰り返され、共有者が増え続け土地の利用・管理が困難になったり、意思決定が難しくなったりする

こうしたトラブルを未然に防ぐために、不動産を売却して現金化し、代金を法定相続分に応じて分配する「換価分割」も有効な手段です。

3. 相続税の納税資金が必要な場合

基礎控除額を超える場合、相続税が発生することがあります。現金で相続税を納めることが難しい場合には、不動産を売却して納税資金に充てるという選択肢があります。

  • 相続税の納付期限は相続開始(被相続人の死亡)から10か月以内
  • 納税のための「物納」や「延納」には厳格な条件がある

不動産を早めに売却して現金化すれば、納税準備に余裕が生まれます。

4. 利用価値がなく老朽化が進んでいる場合

古い建物で修繕費がかかる、または土地が狭小で再建築も困難な物件などは、保有していても資産価値が下がり続ける可能性があります。加えて、管理費・保険料・固定資産税などの支出がかさみ、「負動産(ふどうさん)」となることも。

売却によって資産としての価値を回収し、他の有効な資産運用に充てるのも合理的な選択です。

2.不動産売却にかかる税金と「3,000万円特別控除」

不動産を相続した後に売却すると、売却益(譲渡所得)が発生した場合に税金がかかります。ここでは、代表的な「譲渡所得税」や「不動産取得税」、そして節税に有効な「3,000万円特別控除」など、売却時に関係する税金について詳しく説明します。

1. 譲渡所得税とは?

譲渡所得税は、不動産を売って得た利益(譲渡所得)に対して課税される税金です。譲渡所得は、以下の計算式で求められます:

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費: 被相続人がその不動産を取得した際の購入金額や取得時の諸費用
  • 譲渡費用: 売却にかかった仲介手数料、登記費用など

※相続の場合、被相続人の取得費を引き継ぎます。

2. 短期・長期譲渡の区分

譲渡所得税率は、所有期間によって異なります。

  • 長期譲渡(所有期間5年超): 約20%(所得税15%+住民税5%)
  • 短期譲渡(所有期間5年以下): 約39%(所得税30%+住民税9%)

※相続による取得の場合は、被相続人の取得時期から計算するため、多くの場合「長期譲渡」に該当します。

3. 3,000万円特別控除の適用条件

相続した不動産が被相続人の「居住用財産(自宅)」であった場合、一定の条件を満たすと3,000万円の特別控除が受けられます。

適用の主な要件:(詳細は税務署または税理士にご確認ください)

  • 被相続人が死亡時点でその家に住んでいた
  • 相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること
  • 売却した相手が親族など一定の関係者でないこと など

この控除が適用されると、譲渡所得から3,000万円が差し引かれるため、課税額が大きく軽減される可能性があります。

3,000万円特別控除の適用を受けるには、翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告を行う必要があります。控除を適用して税金がゼロになった場合でも、確定申告必要です。

4. 相続税と譲渡所得税の関係

相続税を納付している場合、譲渡所得の計算上、その相続税の一部を「取得費に加算」できる特例もあります(取得費加算の特例)。この特例により、譲渡所得が減り、結果として譲渡所得税が軽減されるケースがあります。

ただし、この特例は令和5年度の税制改正により要件が一部見直されており、最新情報に注意する必要があります。

5. 不動産取得税

相続によって取得した不動産には、原則として不動産取得税は課されません。これは、不動産取得税が不動産の購入や贈与、建築等による「取得」に課税される地方税である一方、相続は被相続人の死亡に伴う所有権移転であり、取得者の意思によるものではないため課税対象外とされているためです

ただし、贈与や売買による取得の場合は、不動産取得税が課税されます

3.相続不動産を売却するまでの手続きと流れ

相続した不動産を売却するには、いくつかの重要なステップがあります。適切な順序で進めないと、売却契約を結べなかったり、思わぬトラブルが発生するおそれもあります。この章では、不動産売却に至るまでの流れを詳しくご紹介します。

1. 相続登記(名義変更)

まずは、被相続人の名義から相続人名義へと登記(名義変更)を行う必要があります。
相続登記が完了していない状態では、不動産を売却することはできません。

【ポイント】

  • 登記のためには、遺産分割協議書・戸籍謄本・固定資産評価証明書などの書類が必要
  • 2024年4月から相続登記が義務化されており、3年以内に登記を行わないと過料の対象(10万円以下)になる

司法書士に依頼すれば、煩雑な手続きや書類収集も含めて一括で対応してもらえます。

2. 不動産の査定と仲介業者の選定

登記が完了したら、不動産会社に査定を依頼して市場価値を把握します。査定は複数社に依頼し、信頼できる仲介業者を選びましょう。

【仲介業者選定のポイント】

  • 地元の相場に詳しいか
  • 過去の売却実績があるか
  • 売主側に立って交渉してくれるか

媒介契約を結ぶことで、仲介業者が買い手探しや交渉を行ってくれます。

3. 売却契約と手付金の受領

買い手が見つかれば、売買契約を締結します。契約書には以下のような内容が含まれます。

  • 売買価格
  • 引渡し時期
  • 手付金の額(通常、売買価格の5~10%)

契約締結時には手付金が支払われ、残代金は引渡し時に受け取る流れです。

4. 引渡しと登記移転

買主から残代金を受け取り、不動産を引き渡します。並行して、司法書士が所有権移転登記を行い、売却が正式に完了します。

【必要書類】

  • 登記識別情報(権利証)
  • 固定資産税評価証明書
  • 本人確認書類(免許証など)
  • 印鑑証明書

ここまでが、不動産売却に至るまでの一連の流れです。

4.相続不動産は“放置”せず、早めの判断と行動を

相続した不動産の取り扱いには、税金・登記・管理・法律・売却の可否など、さまざまな要素が複雑に絡み合います。特に以下のようなケースでは、売却を選択することが合理的であることが多いと言えます。

  • 相続した不動産を使用する予定がない
  • 他の相続人と共有状態になっており、活用・管理が難しい
  • 固定資産税などの維持コストが重くのしかかる
  • 老朽化や空き家リスクで将来の資産価値が下がりかねない
  • 売却益に対して「3,000万円特別控除」が使える可能性がある

一方で、売却には譲渡所得税や登記、確定申告、名義変更などの専門的な手続きが必要となり、個人で対応するには限界があります。

相続不動産を「資産」として次世代に繋げるためにも、登記や売却の手続きに詳しい司法書士や不動産の専門家への相談を早めに行うことが重要です。

高野司法書士事務所では、横浜市青葉区・緑区・都筑区・町田市を中心に、相続に伴う不動産の名義変更や売却サポートを数多く手がけております。不動産の扱いにお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

【相続登記義務化対応】相続登記の費用相場と無料でできる対策

2025-07-19

1.相続登記の義務化とは?

これまで相続登記は「義務」ではありませんでした。つまり、親や配偶者から不動産を相続した場合でも、登記(名義変更)をせずにそのまま放置しても、法律上の罰則はありませんでした。しかし、この曖昧さが全国的な問題を引き起こすようになりました。誰が所有しているか分からない土地や建物、いわゆる「所有者不明土地」が全国に広がり、公共事業や再開発の障害となっていたのです。

このような背景から、2024年4月1日より相続登記が義務化されました。これは、不動産を相続した場合、原則として3年以内に相続登記をしなければならないという制度です。義務を怠った場合、10万円以下の過料(罰金のようなもの)が科される可能性があります。

なぜ今、相続登記が義務化されたのか?

国土交通省の調査によれば、日本の所有者不明土地は、九州本島を上回る面積にも達しており、年々増加の一途をたどっています。相続登記をしないまま世代が交代すると、相続人の数が増えすぎて、連絡が取れない人が出たり、相続関係が複雑になったりして、もはや登記自体ができなくなってしまうケースも珍しくありません。

このような事態を防ぐため、政府は相続登記を放置することができないルールへと変更しました。

義務化の対象となるのはどんな人?

相続登記の義務化の対象になるのは、次のような方です。

  • 不動産の相続人となった人(配偶者、子ども、兄弟姉妹など)
  • 遺言によって不動産を取得した人
  • 相続によって不動産を取得した法人(宗教法人、法人格のある団体など)

また、義務化の対象となるのは、相続が「2024年4月1日以降に発生したもの」だけではありません。過去に発生した相続についても、まだ登記がされていなければ義務の対象となるため、今まで放置していたケースでも対応が必要です。

3年以内というルールの起算点は?

不動産を相続または遺贈で取得したことを「知った日」が起算点となり、そこから3年以内に相続登記の申請をしなければなりません

「知った日」とは、被相続人が亡くなり、かつ自分が不動産の所有権を取得したことを具体的に知った日を指します。

遺産分割協議による場合は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、その協議内容に基づく相続登記を申請する必要があります

2.相続登記をしないとどうなる?放置によるリスクと罰則

相続登記が義務化された現在、「まだ登記しなくても大丈夫」と軽く考えていると、思わぬ不利益を被る可能性があります。ここでは、相続登記を怠った場合のリスクと、法的な罰則について詳しく見ていきましょう。

1. 10万円以下の過料が科される可能性

2024年4月1日以降、相続登記を怠ると「正当な理由がない限り」10万円以下の過料が科される可能性があります。

この「過料」は刑罰とは異なりますが、行政上のペナルティとして位置づけられ、裁判所を通じて支払いを命じられる場合があります。過料の対象となるのは、以下のようなケースです。

  • 相続によって不動産を取得したにもかかわらず、3年を超えて登記しなかった
  • 遺産分割協議が成立したのに、正当な理由なく登記をしなかった
  • 故意に登記を先延ばしにしたり、放置したりしていた

ただし、以下のような「やむを得ない事情」がある場合には、過料が免除される可能性もあります。

  • 相続人が多数で資料収集に時間がかかる
  • 遺言の有効性や遺産の範囲を巡って争いがある
  • 申請義務を負う相続人に重病などの事情がある

このような場合でも、事情を証明する資料の提出などが求められることがあります。

2. 相続人が増えすぎて手続きができなくなるリスク

相続登記をせずに長年放置すると、相続人が次世代、さらにその次世代へと増えていき、「数次相続」という状態になります。こうなると、遺産分割協議には何十人もの関係者の同意が必要になり、実際上協議が不可能になることもあります。

例:

  • 被相続人Aが死亡(登記せず放置)
  • その子Bも死亡 → 孫C・Dが相続人に
  • さらに孫Cが死亡 → Cの配偶者・子がさらに登場

このように、「相続人の芋づる式増加」が発生し、登記が極めて困難になります。

3. 不動産の売却や担保設定ができない

登記がされていない不動産は、法律上の所有者が確定していない状態です。そのため、登記名義が故人のままでは、その土地や建物を売却することはできません。担保にして融資を受けることもできません。

また、相続人の一部が反対したり、連絡がつかなかったりすれば、手続きが完全にストップしてしまいます。

4. 固定資産税の請求先が変わらない

登記をしていないと、不動産の名義は故人のままですが、固定資産税の請求書は相続人の代表者に届きます。つまり、実際の登記はしないまま、税金だけは支払い続けるという状態になります。

これは一見問題なさそうですが、相続人間でのトラブルの火種になりやすく、

  • 「自分は登記してないから払わない」
  • 「支払いはしているけど、自分のものとは思っていない」

などといった意見の食い違いが生じ、親族間の争い(争族)に発展することもあります。

5. 所有者不明土地とみなされる恐れ

登記がされていない状態では、周囲から見ても「誰の土地か分からない」状態になります。これが長期間続くと、行政から「所有者不明土地」と認定される可能性があり、以下のような不利益を被ることもあります。

  • 公共事業で土地収用の対象になる
  • 管理義務を怠ったとして近隣住民から損害賠償を請求される
  • 建物の老朽化・倒壊などにより行政指導が入る

3.相続登記の費用相場とは?司法書士報酬・登録免許税・実費の内訳

相続登記を進めるうえで、多くの方が気になるのが「費用はどれくらいかかるのか?」という点です。ここでは、相続登記にかかる主な費用の内訳と、それぞれの相場感について詳しく解説します。

1. 登録免許税(固定費)

登録免許税とは、相続登記を法務局に申請する際に国に納める税金です。

計算方法:

不動産の固定資産税評価額 × 0.4%

たとえば、評価額が2,000万円の土地であれば、登録免許税は 2,000万円 × 0.004 = 8万円 となります。

注意点:

  • 不動産が複数ある場合は、それぞれに対して登録免許税が発生します。
  • 小規模宅地等の評価減や相続税の基礎控除とは無関係で、「固定資産税評価額」をベースに計算されます。

2. 司法書士報酬(専門家への報酬)

相続登記はご自身で申請することも可能ですが、戸籍収集や書類作成、法務局とのやりとりなど専門的な知識が必要なため、多くの方が司法書士に依頼しています。

報酬の目安(横浜市周辺の一般的な相場):

項目費用相場(税込)
相続登記基本報酬(1件)5万〜8万円程度
不動産1件追加ごと5,000円〜1万円
戸籍等の取得代行(1通)1,000円〜2,000円
法定相続情報一覧図作成(任意)1万〜3万円

※事務所ごとに報酬基準は異なります。報酬が明朗に表示されている司法書士事務所を選ぶのが安心です。

3. 実費(戸籍・証明書の取得など)

司法書士に依頼する場合や自分で手続きする場合でも、以下のような実費は必ず発生します。

内容目安費用
戸籍謄本(1通)約450円
除籍謄本・改製原戸籍(1通)約750円
住民票・除票約300円
評価証明書(1通)約300〜400円
登記簿謄本(登記事項証明書)約500円
郵送料・交通費など数百円〜数千円

相続人が多かったり、被相続人の戸籍が転籍を繰り返していた場合、戸籍の取得枚数が10通以上になることもあり、これらの実費だけで1万円以上かかることもあります。

4. 合計費用の一例

たとえば、次のようなケースの場合を想定してみます:

  • 相続する不動産:土地1筆+建物1棟(評価額合計1,800万円)
  • 相続人:配偶者と子ども2人
  • 司法書士に依頼(法定相続情報一覧図も作成)

概算費用内訳:

費目金額(税込)
登録免許税約72,000円(1,800万円×0.004)
司法書士報酬約70,000円
法定相続情報一覧図作成約15,000円
戸籍・住民票・評価証明書等約10,000円
合計約167,000円

※これはあくまで一例です。実際の費用は不動産の数や内容、相続人の状況によって大きく変わります。

4.無料または低コストでできる相続登記対策

相続登記の義務化に伴い、「費用をかけずに済ませたい」「できるだけ自分でやってみたい」という方も増えています。この章では、無料またはコストを抑えて相続登記を進めるための現実的な対策を解説します。

1. 自分で手続きする(相続登記の本人申請)

相続登記は本人申請(セルフ申請)が可能です。司法書士など専門家に依頼せず、自分で書類を準備して法務局に申請します。

主な流れ:

  1. 戸籍類・住民票・評価証明書など必要書類を自力で収集
  2. 相続関係説明図(法定相続情報一覧図)を作成
  3. 登記申請書を作成
  4. 法務局に書類を提出

メリット:

  • 専門家報酬がかからず、実費+登録免許税のみで済む

デメリット:

  • 書類の書き方が難しい
  • 登記申請が不備で却下される可能性
  • 平日に役所や法務局へ何度も足を運ぶ手間

ある程度の法律知識と時間がある方にはおすすめですが、不慣れな方にはハードルが高く、結局は専門家に相談し直すケースもあります。

2. 「法定相続情報一覧図」を活用して各種手続きを効率化

相続登記に限らず、銀行・証券会社・保険・不動産の名義変更など、多数の機関に提出が必要な戸籍一式は、法定相続情報一覧図(無料)で代替できます。

ポイント:

  • 取得は無料(手数料0円)
  • 戸籍一式を何度もコピー・提出しなくてよくなる
  • 相続登記以外の相続手続きも効率化できる

一覧図は1度申出をすれば、複数通を同時発行してもらえます。これにより、余分な戸籍の取得費用・郵送費などを削減できます。

3. 相続登記を支援する制度を活用する(地域差あり)

一部の自治体では、相続登記義務化を見据えて「無料相談窓口」や「書類作成サポート」を提供しています。

例:

  • 登記申請書のひな型を配布
  • 法務局による無料相談会(月1回など)
  • 相続登記の助成金制度(極めて限定的)

対応の有無は地域によるため、市区町村の公式サイトや広報誌、窓口で確認するのがおすすめです。

4. 相続人間で費用を「均等負担」する工夫

費用を誰が支払うかでもめることが多いため、相続人全員で均等に負担するルールを最初に取り決めておくと、トラブル回避にもなります。

  • 「登記費用は相続人3人で3等分する」
  • 「立替分は遺産から清算する」
  • 「不動産を相続する人が登記費用を負担する」

といった取り決めを口頭ではなく、簡単な覚書にしておくと安心です。

5. 法テラス・無料相談をうまく活用する

司法書士会・法テラス・自治体が提供する無料法律相談を利用すれば、費用をかけずに初回相談ができます。

  • 司法書士会の無料相談:主に相続・登記手続きに強い
  • 弁護士会・法テラスの相談:借金問題や相続トラブルも含め対応
  • 市民相談窓口(役所):相談日や予約方法に注意

「どこに相談すればいいかわからない」という方は、まず無料相談で全体像を把握し、その後必要な範囲だけ専門家に依頼するという使い方も可能です。

5.相続登記をするために必要な書類と手続きの流れ

相続登記を正しく進めるためには、必要書類を揃え、法務局へ適切な申請を行う必要があります。この章では、相続登記に必要な書類の一覧とその取得方法、具体的な手続きの流れについてわかりやすく解説します。

1. 相続登記に必要な書類一覧

以下は、一般的な「法定相続による単純承継登記」の場合に必要な書類です。

① 被相続人に関する書類

  1. 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
    • 改製原戸籍、除籍謄本、全部事項証明書などを含めて、連続性のあるものをすべて取得する必要があります。
  2. 住民票の除票(または戸籍の附票)
    • 被相続人の最終住所を確認するために使用します。

② 相続人に関する書類

  1. 相続人全員の戸籍謄本
    • 被相続人との関係を証明するための書類です。
    • 代襲相続が発生している場合は、被代襲者の出生~死亡までの戸籍、代襲者の現在戸籍も必要になります。
  2. 相続人の住民票
    • 不動産の登記名義人となる人物の住所を記載する際に必要です。

③ 不動産に関する書類

  1. 固定資産評価証明書(課税明細書でも可)※登記申請する年度のもの
    1. 相続登記の登録免許税の算出に必要です。
    2. 不動産所在地の市区町村役場で取得します。

④ その他の書類

  1. 遺産分割協議書(協議による分割の場合)
    • 相続人全員が署名・押印(実印)し、印鑑証明書を添付します。
  2. 登記申請書
    • 法務局へ提出する書類で、所定の様式に基づき作成します。
  3. 代理人に依頼する場合は委任状

2. 手続きの流れ

実際の相続登記は以下のような流れで進みます。

ステップ1:必要書類の収集

戸籍や住民票、固定資産評価証明書など、上記の書類を漏れなく揃えます。

ステップ2:遺産分割協議の実施(協議が必要な場合)

相続人全員で不動産を誰が相続するか話し合い、「遺産分割協議書」を作成します。印鑑証明書の添付も忘れずに行います。

ステップ3:登記申請書の作成

登記内容(相続人の情報、不動産の所在など)を記載した「登記申請書」を作成します。誤字や記載漏れがあると補正や却下の原因になるため注意が必要です。

ステップ4:法務局へ申請

不動産所在地を管轄する法務局へ申請書一式を提出します。窓口申請・郵送申請のほか、司法書士を通じてオンライン申請も可能です。

ステップ5:登記完了・登記識別情報の受領

法務局での審査が完了すると、登記識別情報(権利証)が発行され、正式に登記が完了します。

相続登記は一見すると単純な作業に見えますが、戸籍の取得が難航したり、代襲相続が絡んだり、協議がまとまらなかったりするケースも多々あります

6.司法書士に依頼するメリット

司法書士に依頼することで、以下のようなサポートを受けることができます。

  1. 戸籍・住民票・評価証明書などの収集代行
    • ご自身で行うと非常に時間がかかる戸籍収集も、プロが迅速に対応。
  2. 遺産分割協議書の作成
    • 法的に有効な協議書を作成。記載ミスによるトラブルを未然に防ぎます。
  3. 登記申請書の作成と代理提出
    • 煩雑な登記書類を正確に作成し、オンラインまたは法務局に代理提出。
  4. 法定相続情報一覧図の作成・取得
    • 相続手続き全般に活用できる一覧図の取得もワンストップで対応。
  5. 税理士や弁護士との連携
    • 相続税や争いのリスクがある場合も、他士業と連携して総合対応。

「何から始めればよいかわからない」「放置してしまっている不動産がある」
そんなときは、一人で悩まずにお気軽にご相談ください。

高野司法書士事務所では、相続登記に関する初回相談を無料で承っております。
横浜市青葉区を拠点に、都筑区・緑区・町田市などの地域からも多くのご相談をいただいており、複雑な相続案件にも多数対応してきた実績があります。

登記義務化により、相続登記はもはや任意の手続きではなく、法的な責務となりました。今後の不動産管理や相続対策において不要なリスクを回避するためにも、早期の対応が求められます。この機会に、適切な手続きを確実に行うための第一歩を踏み出すことを強くおすすめいたします。

相続人申告登記の概要について

2024-03-05

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。

さて、来月4月1日より、相続登記が申請義務化されますが、新しい制度である「相続人申告登記」の内容についてご説明したいと思います。

まず、相続登記の申請義務化のルールについて確認しておきましょう。

・基本的義務(不動産登記法第76条の2第1項)

相続や遺贈により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。

 

・遺産分割成立時の追加的義務(不動産登記法第76条の2第2項、第76条の3第4項)

遺産分割によって、不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、遺産分割協議の内容に即した相続登記を申請する義務を負う。

上記を踏まえ、相続登記の申請義務化に伴う具体的な対応は以下のようになります。

【ケース1】 相続開始後3年以内に遺産分割協議が成立しなかった場合

➡①3年以内に相続人申告登記の申出または法定相続分での相続登記の申請を行う。

➡①の後、遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議成立日から3年以内に、遺産分割協議の内容に即した相続登記の申請を行う。

➡①の後、遺産分割協議が成立しなければ、それ以上の登記申請義務は生じない。

【ケース2】 相続開始後3年以内に遺産分割協議が成立した場合

➡①3年以内に遺産分割協議の内容に即した相続登記の申請を行う。

➡①が難しい場合等は、3年以内に相続人申告登記の申出または法定相続分での相続登記の申請を行い、遺産分割協議成立日から3年以内に、遺産分割協議の内容に即した相続登記の申請を行う。

【ケース3】 遺言書があった場合

➡①遺言によって不動産の所有権を取得した相続人が取得を知った日から3年以内に遺言の内容に即した相続登記の申請を行う。

➡①が難しい場合等は、3年以内に相続人申告登記の申出または法定相続分での相続登記の申請を行う。

被相続人が遺言書を残していたというケースを除いては、3年以内に遺産分割協議を成立させ、その内容の相続登記を申請することを目指していくことになろうかと思います。しかし、実際のケースでは3年以内に遺産分割協議がまとまりそうにないという場合も多いでしょう。

そのような場合にひとまず「相続人申告登記」を行うか、「法定相続分による相続登記」を申請するかどちらかを選択することになります。

ただし、この場合は、第76条の2第1項の基本的義務を果たしたことにはなりますが、遺産分割協議が成立した場合は、その成立から3年以内の追加的義務も履行する必要が生じます。

では、「相続人申告登記」とはどのような制度なのでしょうか。その特徴をみてみましょう。

【相続人申告登記】

相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにするため新たに設けられた登記です。

①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内に登記官に対して申し出ることで、申請義務を履行したものとみなします。

➡相続人が複数存在する場合でも特定の相続人が単独で申し出ることが可能(他の相続人の分も含めて代理申出することも可能)

➡オンラインでの申出も可能(押印・電子署名が不要)

➡法定相続人の範囲及び法定相続分の割合の確定が不要

➡添付書面は、申出をする相続人自身が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることが分かる当該相続人の戸籍謄本を提出することで足りる

先ほどもご説明したとおり、3年以内の遺産分割協議の成立が難しい場合は、「相続人申告登記」または「法定相続分による相続登記」を申請することになりますが、「法定相続分による相続登記」は法定相続人の範囲や法定相続分の割合の確定(登記記録に公示されるため)が必要となり、被相続人の出生から死亡に至る一連の戸籍(除籍)謄本等の収集も必須となり、登記申請にあたって手続的な負担がどうしても大きくなってしまいます。

そのため、無理に「法定相続分による相続登記」を選択せずに、相続人にとって、より簡易に手続きできる「相続人申告登記」を申請し、とりあえずの基本的義務を履行しておけることは相続人にとって大きなメリットであると思います。

なお、相続人申告登記は、次のように付記登記で登記されることになります。

 権 利 部(甲区) (所有権に関する事項)
 順位番号  登記の目的 受付年月日・受付番号  権利者その他の事項
 1  所有権移転 平成●年●月●日第●号

原因 平成●年●月●日売買

所有者 ●市●町●番地

甲野太郎

 付記1号  相続人申告 令和●年●月●日第●号

原因 令和●年●月●日申出

相続開始年月日 令和●年●月●日

甲野太郎の相続人として申出があった者

●市●町●番地

乙野次郎

遺言書があっても相続登記申請を急ぐべき理由

2024-02-05

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。今回は、遺言書があっても相続登記申請を急ぐべき理由についてご説明したいと思います。

相続法の改正について

突然ですが、ここでクイズです。

被相続人: 父

相続人: 長男 二男

父が残した遺言書の内容: 私の所有する自宅不動産は長男に相続させる

上記のケースで、二男はAからお金を借りていました。Aは二男の債権者です。長男が自宅不動産の相続登記をする前に、借金をしていた二男の債権者Aが法定相続分(長男2分の1、二男2分の1)で相続したとする登記を申請してしまいました。

この場合、長男は、自分が自宅不動産の所有権すべてを相続したとAに主張することができるでしょうか。

答えは「No」です。しかし、以前は相続登記をしなくても自宅不動産は自分のものだと主張することができました。

どういうことかと言うと、令和元年(2019年)7月1日の改正相続法の施行により、遺言により法定相続分より多くの財産を相続した場合、登記、登録などの対抗要件を備えないと、第三者に対抗できなくなりました。法定相続分より多くの財産を取得した相続人は、他人に権利を奪われる可能性がありますので要注意です。

下記が改正された条文になります。

(共同相続における権利の承継の対抗要件)
第899条の2 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
 
2 前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

改正法の趣旨

なぜ、このような改正がされたのかというとAのような遺言の内容を知らない第三者を保護するためです。Aとしては、父に相続が発生したら二男が当然、法定相続分である自宅不動産の持分2分の1を相続するだろうから、二男が借金を返済できなくても、二男の不動産持分2分の1を差し押さえて、その売却代金から回収できると考えるでしょう。遺言の存在によって、Aの期待は一方的に裏切られてしまいます。

改正前

遺言があれば、相続登記をせずしてAのような債権者(第三者)に対して自分(二男)が所有者であることを主張できました。そのため、Aとしては、二男の持分を差し押さえてもその差し押さえは無効という結果になってしまいます。

改正後

遺言があっても、相続登記をしなければAのような債権者(第三者)に対して、自分(二男)の法定相続分を超える部分については、自分がその不動産の所有者であることを主張することができません。そのため、Aが先に二男の持分を差し押さえて売却換価することができます。

相続人の間では、改正前でも改正後でも登記なくして対抗することが可能です。すなわち、長男は二男に対して、自分が自宅不動産すべてを相続したと主張することが可能です。

対策は?

長男として対策方法はあるでしょうか。法定相続分を超えた部分につき、先に登記をした方が勝ちということになりますので、速やかに相続登記をすることが何より重要です。また、自筆証書遺言は、相続発生後に家庭裁判所での検認という手続きが必要になり、検認後相続登記の申請までに一定の時間がかかってしまいます。生前から遺言書作成などに関われるのであれば、検認の手続きが不要な公正証書遺言で作成してもらうことも検討すべきかと思います。

相続登記義務化についてのチラシを作成しました

2024-01-26

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。

いよいよ、本年度4月1日から相続登記が義務化されますが、認知度はまだまだ低いようです。
当事務所では、一般の方に広く知っていただくため、相続登記義務化についてのチラシを作成いたしました。
相続について少しでも疑問点・お困りごとがございましたら、当事務所までお気軽にお問合せください。

相続登記義務化チラシ

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