Author Archive

相続税の基本知識

2025-07-07

相続税とは、相続により財産を受け継ぐ際に課税される税金です。相続が発生した場合、亡くなった方の遺産が相続人に引き継がれますが、引き継がれた財産に対して一定の税率が課されることになります。相続税は、日本の税法に基づき、受け継いだ遺産の価値に応じて税額が決定され、申告と納税が必要です。

相続税が課税される対象と範囲

相続税が課税されるのは、相続財産です。相続財産には以下が含まれます:

  1. 現金、預貯金
  2. 不動産(土地、建物)
  3. 株式、投資信託などの金融資産
  4. 自動車、宝石、骨董品などの動産
  5. 生命保険金(受取人が相続人の場合)

相続財産に含まれないもの

  • 債務(借金など):相続人は遺産と共に被相続人の債務も相続しますが、相続税の計算においては債務も控除の対象となります。
  • 不法行為に基づく損害賠償金:相続税の課税対象には含まれません。

相続税の課税対象となる財産の評価方法

相続税の計算は、相続財産の評価額に基づいて行われます。しかし、財産の種類によって評価方法が異なり、特に不動産や株式の評価は複雑です。

  1. 不動産の評価方法
    不動産は、相続税法で定められた基準に従って評価されます。例えば、土地の評価額は「路線価」を基準に算出されることが多く、これはその土地が位置する道路の価値をもとに決められます。家屋の評価は、固定資産税評価額を参考にします。
  2. 株式の評価方法
    上場株式は、通常その時点の市場価格で評価されます。一方、非上場株式は評価方法が異なり、企業の業績や資産状況を基に計算されます。特に、非上場株式の評価には専門的な知識が必要なため、評価額を正確に計算するためには専門家のアドバイスを受けることが重要です。
  3. 現金や預貯金の評価
    現金や預貯金は、そのままの額面通りに評価されます。これらは他の財産と異なり、評価方法に迷うことなく、相続税の計算に含めることができます。
  4. 動産(自動車、宝石、骨董品など)の評価方法
    動産の評価は、主に市場価格や査定額に基づいて行われます。例えば、宝石や美術品などは、専門家による鑑定が行われ、その価格が評価額として使われます。

相続税の計算方法

相続税の計算は、大きく分けて以下のステップで行います。

  1. 遺産総額の算出
    まず、故人が残したすべての財産(現金、不動産、株式、預貯金など)を評価し、その総額を算出します。財産の評価方法は、種類によって異なります。
  2. 基礎控除の適用
    相続税には基礎控除という、相続財産から差し引くことができる額があります。基礎控除額は、相続人の人数によって決まるので、まずこの控除を遺産総額から引きます。基礎控除後の残額が課税対象となります。

基礎控除額=3,000万円+600万円×相続人の数

  1. 課税遺産総額の計算
    基礎控除を差し引いた後の金額が、実際に課税される遺産額です。この金額に相続税の税率を適用して、最終的な税額を算出します。
  2. 相続税の分割
    課税対象の遺産が複数の相続人に分割される場合、各相続人の相続分に応じて税額が配分されます。配分された税額をそれぞれが支払います。

この流れで、相続税が計算されます。

相続税の申告と納税

相続税の申告は、相続が発生してから10ヶ月以内に行う必要があります。申告期限を守らないと、延滞税や加算税が課せられる可能性があります。

申告方法

相続税の申告書は、所轄税務署に提出します。申告書には、相続財産の詳細や相続人の情報、評価額などを記入する必要があります。また、相続財産の証明となる書類を添付することが求められます。

納税方法

納税は、通常現金で行われますが、一定の条件を満たす場合は物納(不動産などを納税の代わりに提供)や延納(分割納税)を選ぶことができます。

相続税の軽減措置

相続税にはいくつかの軽減措置が設けられています。代表的なものは以下です:

  1. 小規模宅地等の特例
    自宅や事業用土地に対して、一定の条件を満たすと評価額が減額されます。これにより、税負担を軽減することができます。
  2. 配偶者控除
    配偶者が相続する財産には、1億6000万円まで控除が適用されるため、配偶者が相続する際の税負担を軽減できます。
  3. 生命保険金の特例
    生命保険金が相続人に支払われる場合、一定額までは非課税となる特例があります。
  4. 未成年者控除や障害者控除
    未成年者や障害者が相続人となった場合、その相続税が控除される特例があります。

相続税の節税対策

相続税を節税するための方法としては、以下のような対策が有効です:

  1. 生前贈与
    生前に財産を贈与することで、相続財産を減らすことができます。贈与税がかかりますが、贈与税には基礎控除があるため、それをうまく活用することで相続税の負担を軽減できます。
  2. 不動産の評価額を下げる
    不動産の評価額を減らすための方法として、土地の利用方法や建物の活用方法を見直すことが考えられます。
  3. 生命保険の活用
    生命保険の死亡保険金を利用することで、相続税を軽減することができます。保険金は非課税枠があり、うまく活用することで負担を減らすことができます。

まとめ

相続税は、相続人が故人の財産を受け継ぐ際に発生する税金です。相続財産の評価額に基づいて税額が決まり、基礎控除を差し引いた後の金額に税率が適用されます。相続税の申告は10ヶ月以内に行う必要があり、適切な対策を講じることが求められます。生前贈与や不動産の評価額の調整など、相続税の節税対策を行うことで、相続税の負担を軽減することが可能です。

成年後見制度の解説:大切なご家族の未来を守るために

2025-07-07

超高齢化社会が進む現代において、ご家族が認知症や精神上の障がいなどにより判断能力が低下し、ご自身での財産管理や契約、医療・介護に関する意思決定が困難になるケースが増えています。このような状況に直面した際、ご本人の権利や財産を守り、安心して生活を送るための法的な支援が必要となります。そこで重要な役割を果たすのが「成年後見制度」です。

相続手続きにおいても、被相続人(亡くなった方)が認知症を患っていた場合や、相続人の中に判断能力が不十分な方がいる場合など、特別な対応が必要となることがあります。このような状況では、遺産分割協議を進めること自体が困難になったり、銀行預貯金の解約や不動産の名義変更(相続登記)などの手続きが滞る原因となります。

成年後見制度は、判断能力が不十分な方を法的に保護し、支援するための仕組みであり、ご本人の生活と財産を守る上で不可欠な制度です。

1.成年後見制度の目的

成年後見制度の最も重要な目的は、判断能力が不十分な方の権利と財産を法的に保護し、その生活を支援することにあります。具体的には、以下のような支援を行います。

財産管理:預貯金や不動産、株式などの財産を適切に管理し、ご本人の生活費や医療費、介護費用などに充当します。ご本人が不利益な契約を結んでしまわないよう保護する役割も担います。

身上保護:医療・介護サービスに関する契約の締結や、施設への入所契約、日常的な買い物など、ご本人の生活に関わる様々な法律行為を行います。ただし、医療行為への同意や、事実上の介護行為などは身上保護の範囲外となります。

この制度により、判断能力が低下したご本人が不当な契約の被害に遭ったり、財産を失ったりするリスクから守られます。

2.成年後見制度の種類:法定後見制度と任意後見制度の違い

法定後見制度(後見・保佐・補助)

法定後見制度は、既に判断能力が不十分な状態にある方のために利用される制度です。ご本人の判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があります。

後見:判断能力がほとんどない方に適用されます。家庭裁判所が「成年後見人」を選任し、成年後見人はご本人の財産管理や法律行為をすべて代理し、ご本人が行った不適切な法律行為を取り消すことができます。

保佐:判断能力が著しく不十分な方に適用されます。家庭裁判所が「保佐人」を選任し、保佐人は重要な法律行為について同意権や取消権を持ち、特定の法律行為について代理権を持つこともあります。

補助:判断能力が不十分な方に適用されます。家庭裁判所が「補助人」を選任し、補助人は特定の法律行為について同意権や代理権を持つことがあります。

この制度は、ご本人やその親族などの申立てに基づいて家庭裁判所が審判を行い、後見人等を選任します。家庭裁判所がご本人の状況や親族関係などを考慮し、最も適任と思われる人物を後見人等として選びます。

任意後見制度

任意後見制度は、ご本人がまだ十分な判断能力を持っているうちに、将来、判断能力が低下した場合に備えて準備する制度です。ご自身で信頼できる人(任意後見人)を選び、どのような支援をしてほしいか、どのような財産管理をしてほしいかなどを事前に契約(任意後見契約)で定めておきます。

特徴:ご本人の意思が最大限に尊重される点が大きな特徴です。将来の不安を解消し、ご自身の希望通りの支援を受けられるようにするための「生前対策」として非常に有効です。

手続き:任意後見契約は公正証書で作成することが義務付けられています。これにより、契約内容の信頼性が担保されます。ご本人の判断能力が低下した際に、任意後見契約の効力が発生し、任意後見人が支援を開始します。

当事務所のような司法書士事務所では、「任意後見契約公正証書の作成方法」に関するご相談やサポートも提供しており、生前対策として重要な選択肢となります。

法定後見と任意後見の比較法定後見制度任意後見制度
利用開始時期判断能力が不十分になった後判断能力があるうちに契約、能力低下後に開始
後見人の選任家庭裁判所が選任本人が自由に選任
柔軟性家庭裁判所の監督下で運用比較的本人の希望を反映しやすい
申立て・契約の主体本人・配偶者・親族・市区町村長など本人のみ
監督体制家庭裁判所が監督任意後見監督人が監督(家庭裁判所が選任)

3.成年後見制度のメリット・デメリット

成年後見制度には、ご本人とご家族にとって多くのメリットがある一方で、いくつかの考慮すべき点もあります。

【メリット】

ご本人の財産が守られる:成年後見人が選任されることで、判断能力が不十分なご本人の財産が適切に管理され、詐欺や悪質な商取引などから保護されます。

医療・介護契約などがスムーズに行える:ご本人が自分で契約を結べない場合でも、成年後見人が代理して必要な医療・介護サービスに関する契約を締結できるため、適切なケアを受けられるようになります。

家族間のトラブル回避:特に法定後見制度の場合、家庭裁判所が後見人を選任し、その職務を監督するため、親族間で財産管理を巡る争いが発生するリスクを軽減できます。また、認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議や銀行手続きも、後見人が代理することで法的に有効に進めることが可能になります。

計画的な生前対策:任意後見制度を利用すれば、ご本人が元気なうちに将来の不安を解消し、ご自身の希望に沿った形で財産管理や生活支援の準備を進めることができます。

【デメリット・考慮すべき点】

手続きの複雑さと費用:成年後見制度の利用には、家庭裁判所への申立てや必要書類の準備など、複雑な手続きが伴います。また、専門家を後見人として選任した場合や申立てを依頼した場合、費用が発生します。

家庭裁判所の監督:法定後見制度の場合、選任された後見人は定期的に家庭裁判所へ業務報告を行う義務があり、柔軟性に欠けると感じる場合もあります。

選任の柔軟性の制約:法定後見では、必ずしも申立てた希望通りの人物が後見人に選任されるとは限りません。家庭裁判所がご本人の利益を最優先して判断します。

財産の自由な運用が制限される:成年後見制度は「本人の財産を保護する」ための制度であるため、リスクのある投資や相続税対策のための贈与、不動産売却などを柔軟に行うことは困難です。後見人には本人の利益を守る義務があり、保守的な管理が求められます。

専門家によるサポートの必要性:制度の利用にあたっては、法的な知識が求められることが多く、ご自身だけで手続きを進めるには大きな負担が伴う可能性があります。複雑な手続きのため、専門家のアドバイスとサポートがあると安心です。

4.相続手続きにおける成年後見制度の役割

相続が発生した際、相続人の中に認知症などで判断能力が不十分な方がいると、遺産分割協議や各種手続きが通常の方法では進められなくなります。このようなケースにおいて、成年後見制度は重要な役割を果たします。

【遺産分割協議への対応】

相続手続きを進めるには、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、合意を得る必要があります。しかし、判断能力が不十分な相続人がいる場合、そのまま協議に参加させることはできません。この場合、成年後見人がその相続人の代理人として協議に参加し、意思決定を行うことができます。

成年後見人は、ご本人にとって不利益とならないよう、適切に協議を進める責任を負っています。

【銀行預金の解約・払い戻し】

被相続人の死亡により銀行口座が凍結された場合、相続人全員の合意がなければ預金の解約や払い戻しを受けることはできません。相続人の中に判断能力が不十分な方が含まれている場合、その方が単独で手続きを行うことはできません。

このような場合も、成年後見人が代理人として手続きを行うことにより、他の相続人と協力して必要な相続手続きを進めることが可能になります。

【不動産の名義変更(相続登記)】

相続によって取得した不動産については、名義変更の登記(相続登記)を行う必要があります。

しかし、相続人の一人が認知症などで登記申請に必要な書類に署名・押印できない場合、そのままでは登記手続きを進めることができません。このような場面でも、成年後見人が後見人として必要書類に署名・押印し、登記申請を行うことで、円滑な手続きが可能となります。

【注意点】

成年後見人が代理で遺産分割協議や相続手続きを行う場合、家庭裁判所への相談や許可が必要となることがあります。特に、特定の相続人に有利または不利となるような分割内容については、後見人の判断のみでは決定できないことがあります。

また、被後見人の利益を最優先に考える必要があるため、後見人自身も相続人であり利害関係がある場合は、家庭裁判所に特別代理人の選任を求めることもあります。

このように、成年後見制度は、判断能力が不十分な相続人の権利を守りつつ、相続手続きを円滑に進めるための重要な法的枠組みです。

5.さいごに

成年後見制度は、ご本人やご家族の生活と財産を守るための大切な制度です。しかし、制度の種類や手続きの内容は複雑で、どのようなケースでどの制度を選べばよいのか判断に迷う方も少なくありません。また、申立てや必要書類の準備などに時間と労力がかかるため、ご自身だけで対応しようとすると大きな負担となる場合があります。

当事務所では、成年後見制度に関するご相談を多数お受けしています。ご家族の状況やご希望を丁寧に伺いながら、最適な制度のご提案から申立て手続きまで一貫してサポートいたします。

「手続きが難しそうで不安」「後見制度について詳しく知りたい」「認知症対策として備えておきたい」など、どのようなお悩みでもお気軽にご相談ください。司法書士が分かりやすく丁寧にご説明し、安心して制度を利用できるよう全力でサポートいたします。

年末年始休業のお知らせ

2024-12-26

平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

誠に勝手ながら、当事務所では以下の期間を年末年始休業とさせていただきます。

令和6年12月28日(土)~令和7年1月5日(日)

ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

相続人申告登記の概要について

2024-03-05

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。

さて、来月4月1日より、相続登記が申請義務化されますが、新しい制度である「相続人申告登記」の内容についてご説明したいと思います。

まず、相続登記の申請義務化のルールについて確認しておきましょう。

・基本的義務(不動産登記法第76条の2第1項)

相続や遺贈により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。

 

・遺産分割成立時の追加的義務(不動産登記法第76条の2第2項、第76条の3第4項)

遺産分割によって、不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、遺産分割協議の内容に即した相続登記を申請する義務を負う。

上記を踏まえ、相続登記の申請義務化に伴う具体的な対応は以下のようになります。

【ケース1】 相続開始後3年以内に遺産分割協議が成立しなかった場合

➡①3年以内に相続人申告登記の申出または法定相続分での相続登記の申請を行う。

➡①の後、遺産分割協議が成立したら、遺産分割協議成立日から3年以内に、遺産分割協議の内容に即した相続登記の申請を行う。

➡①の後、遺産分割協議が成立しなければ、それ以上の登記申請義務は生じない。

【ケース2】 相続開始後3年以内に遺産分割協議が成立した場合

➡①3年以内に遺産分割協議の内容に即した相続登記の申請を行う。

➡①が難しい場合等は、3年以内に相続人申告登記の申出または法定相続分での相続登記の申請を行い、遺産分割協議成立日から3年以内に、遺産分割協議の内容に即した相続登記の申請を行う。

【ケース3】 遺言書があった場合

➡①遺言によって不動産の所有権を取得した相続人が取得を知った日から3年以内に遺言の内容に即した相続登記の申請を行う。

➡①が難しい場合等は、3年以内に相続人申告登記の申出または法定相続分での相続登記の申請を行う。

被相続人が遺言書を残していたというケースを除いては、3年以内に遺産分割協議を成立させ、その内容の相続登記を申請することを目指していくことになろうかと思います。しかし、実際のケースでは3年以内に遺産分割協議がまとまりそうにないという場合も多いでしょう。

そのような場合にひとまず「相続人申告登記」を行うか、「法定相続分による相続登記」を申請するかどちらかを選択することになります。

ただし、この場合は、第76条の2第1項の基本的義務を果たしたことにはなりますが、遺産分割協議が成立した場合は、その成立から3年以内の追加的義務も履行する必要が生じます。

では、「相続人申告登記」とはどのような制度なのでしょうか。その特徴をみてみましょう。

【相続人申告登記】

相続人が申請義務を簡易に履行することができるようにするため新たに設けられた登記です。

①所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、②自らがその相続人である旨を申請義務の履行期間内に登記官に対して申し出ることで、申請義務を履行したものとみなします。

➡相続人が複数存在する場合でも特定の相続人が単独で申し出ることが可能(他の相続人の分も含めて代理申出することも可能)

➡オンラインでの申出も可能(押印・電子署名が不要)

➡法定相続人の範囲及び法定相続分の割合の確定が不要

➡添付書面は、申出をする相続人自身が被相続人(所有権の登記名義人)の相続人であることが分かる当該相続人の戸籍謄本を提出することで足りる

先ほどもご説明したとおり、3年以内の遺産分割協議の成立が難しい場合は、「相続人申告登記」または「法定相続分による相続登記」を申請することになりますが、「法定相続分による相続登記」は法定相続人の範囲や法定相続分の割合の確定(登記記録に公示されるため)が必要となり、被相続人の出生から死亡に至る一連の戸籍(除籍)謄本等の収集も必須となり、登記申請にあたって手続的な負担がどうしても大きくなってしまいます。

そのため、無理に「法定相続分による相続登記」を選択せずに、相続人にとって、より簡易に手続きできる「相続人申告登記」を申請し、とりあえずの基本的義務を履行しておけることは相続人にとって大きなメリットであると思います。

なお、相続人申告登記は、次のように付記登記で登記されることになります。

 権 利 部(甲区) (所有権に関する事項)
 順位番号  登記の目的 受付年月日・受付番号  権利者その他の事項
 1  所有権移転 平成●年●月●日第●号

原因 平成●年●月●日売買

所有者 ●市●町●番地

甲野太郎

 付記1号  相続人申告 令和●年●月●日第●号

原因 令和●年●月●日申出

相続開始年月日 令和●年●月●日

甲野太郎の相続人として申出があった者

●市●町●番地

乙野次郎

戸籍が最寄りの役所で取得できるようになります|広域交付制度を解説

2024-02-27

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。

令和6年3月1日から戸籍(除籍)謄本の広域交付が始まりました。この改正により、本籍地以外の最寄りの市区町村役場の窓口でも、相続手続きなどで必要な戸籍謄本が取得が可能となり、また、複数の本籍地の戸籍謄本が必要な場合でも、一か所の市区町村窓口でまとめて戸籍を請求することができるようになりました。

しかし、実際に運用が始まってみると、「すべての戸籍が即日で揃うわけではない」「窓口での待ち時間が長い」といった、利用にあたっての注意点も見えてきています。

1.本人以外の請求はできない

必ず請求者ご本人が市区町村役場の窓口にて手続きをする必要があります。郵送や代理人によって請求することは出来ません。窓口で手続きをされる請求者の方の身分証明書の提示が必要です。(運転免許証、マイナンバーカードなど顔写真つきのもの)

2.請求できる戸籍謄本等の範囲

この制度では、本人からみて下記の方の戸籍謄本等を取得できます。

・本人

・配偶者

・父母・祖父母などの直系尊属

・子・孫などの直系卑属

よって、兄弟や姉妹などの傍系の戸籍は取得できません。従来通り、本籍地のある市区町村役場で取得する必要があります。

3.請求できる戸籍謄本等の種類

この制度で、請求できる戸籍謄本等の種類は以下のとおりです。

・戸籍全部事項証明書

・除籍全部事項証明書

・除籍謄本(改製原戸籍謄本を含む)

よって、以下の証明書を請求することができません。本籍地の役所に請求する必要があります。また、コンピュータ化されていない一部の古い戸籍は交付対象外となります。

・戸籍一部事項証明書、戸籍個人事項証明書

・除籍一部事項証明書、除籍個人事項証明書

・除籍抄本など

・戸籍附票

 

4.【注意】即日発行されず、後日受け取りになる場合があります

広域交付制度は、最寄りの役所でまとめて請求できる便利な制度ですが、「その場ですぐに発行される」とは限りません。発行までに数日〜1週間程度かかる(後日再来庁が必要になる)場合があります。「一度の来庁で全て揃う」と思って行くと、二度手間になってしまう可能性があるため、スケジュールには余裕を持って動くことが大切です。

あわせて読みたい 戸籍が揃った後の、具体的な不動産名義変更(相続登記)の手続きの流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

5.広域交付で揃わなかった戸籍も、当事務所が全国からスピーディーに収集します

「広域交付制度により、ご自身での収集は確かに便利になりました。しかし、『役所での待ち時間が長すぎる』『兄弟相続で結局すべての戸籍が揃わなかった』といったお声も多くいただいております。

当事務所では、横浜市青葉区の皆様の窓口として、またオンラインを活用した全国対応の専門家として、複雑な戸籍収集から不動産の名義変更(相続登記)までをワンストップでサポートいたします。少しでも不安を感じたら、お一人で悩まずにぜひ一度ご相談ください。

亡くなった後の手続きリスト(期限4か月以内のもの)

2024-02-19

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。今回は、亡くなった後の手続きリスト(期限4か月以内のもの)についてご説明したいと思います。

1.相続の放棄(3か月以内)

プラスの財産よりも、借金などのマイナスの財産の方が多いときは、相続の放棄について検討します。故人が亡くなってから3か月以内に手続きを行う必要があります。相続を放棄するという意思を家庭裁判所に申し出る必要があります。

相続放棄については下記のリンクをご参照ください。

相続放棄について

2.相続の限定承認(3か月以内)

故人の財産について、プラスの財産の方が多いのか、マイナスの財産の方が多いのか分からない時があります。このような場合に、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法を限定承認と言います。限定承認は、故人が亡くなってから3か月以内相続人全員で家庭裁判所に申し出る必要があります。

限定承認については下記のリンクをご参照ください。

限定承認について

3.所得税の準確定申告(4か月以内)

故人に事業所得や不動産所得があった場合は、相続人が代わりに確定申告をする必要があります。これを準確定申告といい、故人が亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内に行う必要があります。

準確定申告が必要な具体例

・自営業者だった方

・不動産賃貸業を行っていた方

・2か所以上から給与を得ていた方

・400万円以上の年金受給があった方

・2,000万円を超える給与所得があった方

・給与所得や退職所得以外に20万円を超える所得があった方

期限 亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内
申告者 相続人
申告先 故人の住所地を管轄する税務署
必要なもの(※事前に役所にご確認ください)

・確定申告書及び申告書付表

・申告する方の身分証明書

・源泉徴収票(給与や年金)

・控除証明書(生命保険及び損害保険)

・医療費の領収書

当事務所のリーフレットを作成しました

2024-02-12

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。

当事務所では、遺産整理業務(遺産承継業務)、遺言書作成サポート、相続放棄サポートを中心に業務を行っております。お客様に配布するためのリーフレットを作成いたしましたのでご紹介させていただきます。相続登記義務化に関するQ&Aも記載しております。

リーフレット表

リーフレット裏

遺言書があっても相続登記申請を急ぐべき理由

2024-02-05

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。今回は、遺言書があっても相続登記申請を急ぐべき理由についてご説明したいと思います。

相続法の改正について

突然ですが、ここでクイズです。

被相続人: 父

相続人: 長男 二男

父が残した遺言書の内容: 私の所有する自宅不動産は長男に相続させる

上記のケースで、二男はAからお金を借りていました。Aは二男の債権者です。長男が自宅不動産の相続登記をする前に、借金をしていた二男の債権者Aが法定相続分(長男2分の1、二男2分の1)で相続したとする登記を申請してしまいました。

この場合、長男は、自分が自宅不動産の所有権すべてを相続したとAに主張することができるでしょうか。

答えは「No」です。しかし、以前は相続登記をしなくても自宅不動産は自分のものだと主張することができました。

どういうことかと言うと、令和元年(2019年)7月1日の改正相続法の施行により、遺言により法定相続分より多くの財産を相続した場合、登記、登録などの対抗要件を備えないと、第三者に対抗できなくなりました。法定相続分より多くの財産を取得した相続人は、他人に権利を奪われる可能性がありますので要注意です。

下記が改正された条文になります。

(共同相続における権利の承継の対抗要件)
第899条の2 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
 
2 前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

改正法の趣旨

なぜ、このような改正がされたのかというとAのような遺言の内容を知らない第三者を保護するためです。Aとしては、父に相続が発生したら二男が当然、法定相続分である自宅不動産の持分2分の1を相続するだろうから、二男が借金を返済できなくても、二男の不動産持分2分の1を差し押さえて、その売却代金から回収できると考えるでしょう。遺言の存在によって、Aの期待は一方的に裏切られてしまいます。

改正前

遺言があれば、相続登記をせずしてAのような債権者(第三者)に対して自分(二男)が所有者であることを主張できました。そのため、Aとしては、二男の持分を差し押さえてもその差し押さえは無効という結果になってしまいます。

改正後

遺言があっても、相続登記をしなければAのような債権者(第三者)に対して、自分(二男)の法定相続分を超える部分については、自分がその不動産の所有者であることを主張することができません。そのため、Aが先に二男の持分を差し押さえて売却換価することができます。

相続人の間では、改正前でも改正後でも登記なくして対抗することが可能です。すなわち、長男は二男に対して、自分が自宅不動産すべてを相続したと主張することが可能です。

対策は?

長男として対策方法はあるでしょうか。法定相続分を超えた部分につき、先に登記をした方が勝ちということになりますので、速やかに相続登記をすることが何より重要です。また、自筆証書遺言は、相続発生後に家庭裁判所での検認という手続きが必要になり、検認後相続登記の申請までに一定の時間がかかってしまいます。生前から遺言書作成などに関われるのであれば、検認の手続きが不要な公正証書遺言で作成してもらうことも検討すべきかと思います。

相続登記義務化についてのチラシを作成しました

2024-01-26

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。

いよいよ、本年度4月1日から相続登記が義務化されますが、認知度はまだまだ低いようです。
当事務所では、一般の方に広く知っていただくため、相続登記義務化についてのチラシを作成いたしました。
相続について少しでも疑問点・お困りごとがございましたら、当事務所までお気軽にお問合せください。

相続登記義務化チラシ

住所変更登記と氏名変更登記の義務化

2024-01-19

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。

不動産の登記簿には、所有者の住所・氏名が記載されています。
所有者の方が住所や氏名を変更された場合は、市役所などで変更の手続きをされると思いますが、登記簿上の住所・氏名を変更するためには、別途法務局に住所や氏名の変更登記を申請する必要があります。

今までは、この登記申請を行うことが任意であり、罰則もありませんでしたので、住所や氏名を変更してもその変更登記を申請しないケースも多く見受けられました。

しかし、不動産所有者(登記名義人)の住所と氏名の変更登記が2026年(令和8年)4月1日から義務化されることになりました。

なぜ義務化されるのか?

登記簿の「権利部(甲区)」というところに、不動産所有者の住所や氏名が記載されています。住所や氏名を変更したら登記簿上の権利部(甲区)の所有者の住所・氏名を現在のものに更新することが重要です。この手続きを怠ると、登記簿上の所有者の住所・氏名と現住所・現在の氏名が一致せず、自分が所有者であることを証明できなくなってしまいます。

権利部(甲区)サンプル

順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
所有権移転 平成〇年〇月〇日第〇号

原因 平成〇年〇月〇日売買

所有者 A市〇町〇番地〇

甲野太郎

付記1号 1番登記名義人表示変更 令和〇年〇月〇日第〇号

原因 令和〇年〇月〇日住所移転

住所 B市〇町〇番地〇

住所・氏名を変更しても、住所・氏名の変更登記を申請せず、結果として、登記簿をみても所有者が誰だか分からない土地(所有者不明土地)が大量に増えてしまいました。その結果、土砂崩れなどの防災対策の工事が必要な土地であっても工事を進められなかったり、公共事業や市街地開発のための土地の利活用が妨げられてしまうなどの弊害が出ています。その対策として、相続登記の義務化とともに、住所・氏名の変更登記が義務化されることになったのです。

住所・氏名変更登記の申請期限

住所・氏名の変更登記の申請期限は以下のとおりです。

施行日(2026年4月1日)より前に不動産の登記名義人の住所・氏名(法人の場合は、本店・商号)に変更があった場合は、施行日(2026年4月1日)から2年以内

施行日(2026年4月1日)以降に不動産の登記名義人の住所・氏名(法人の場合は、本店・商号)に変更があった場合は、その変更があった日から2年以内

罰則はあるのか?

正当な理由なく期限内に住所・氏名変更登記の申請義務を怠った場合、5万円以下の過料(罰則)の対象となります。

住所・氏名変更登記の職権登記制度

様々な事情により、住所・氏名を変更しても、登記申請義務を果たすことが難しい場合もあります。そこで、法務局の登記官が職権で変更登記を行う新制度が設けられることになりました。(2026年4月1日以降)

・個人の場合

法務局が登記名義人から事前に氏名・住所・生年月日等の「検索用情報」の提供を受けておき、その検索用情報を基に法務局が住基ネットに照会をして、当該登記名義人の住所・氏名に変更がないかを確認します。変更がある場合は、当該登記名義人の了承を得て、法務局が職権で住所・氏名の変更登記を行います。

・法人の場合

登記名義人が法人の場合は、会社法人等番号が登記事項となります。また、法務省や法務局の内部でシステムが連携されるため、法人の本店や商号の変更登記(法人登記)を申請すると、会社法人等番号を基に本店や商号の変更を把握できるようになり、法務局(不動産登記)が職権で本店・商号の変更登記を行います。(法人の了承不要)

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0455077744 問い合わせバナー 無料相談について