1ヶ月かかる法務局も?新制度「所有不動産記録証明制度」を実際に使ってわかったこと

2026年2月にスタートした、相続手続きにおける注目の新制度「所有不動産記録証明制度」。特定の人が所有している全国の不動産(土地・建物)の一覧を、法務局で証明書として発行してもらえる画期的な仕組みです。

当事務所でも、ご依頼いただいた相続手続きの一環として、すでに何度かこの証明書を請求・取得いたしました。今回は、ニュースや概要だけではわからない、「実務で実際に使ってみてわかったリアルな感想」と、利用する際の注意点・落とし穴について、専門家の視点から詳しくお伝えします。

1.最大のメリットは「全国の物件を網羅できる安心感」

これまで、亡くなった方の不動産を調べるには、市区町村ごとに「名寄帳(なよせちょう)」を取得する必要がありました。しかし、これでは「他の市町村にある見知らぬ不動産」を見落としてしまうリスクがありました。

この証明書の最大のメリットは、やはり「全国の法務局データから一括でリストアップされる安心感」です。 絶対に物件を漏らしたくない、または亡くなった方がどこに不動産を持っていたか全く見当がつかないといったケースでは、非常に強力なツールであることは間違いありません。

2.実際に使って驚いた「3つの意外な事実」

しかし、実際に手続きを進めてみると、想定とは違った「意外な事実」やハードルがいくつも見えてきました。

① 窓口が違う!?発行までに「1ヶ月」かかったケースも

一番驚いたのは、対応する法務局の窓口です。 通常の登記事項証明書(登記簿謄本)のように「証明書発行窓口」ですぐに出してもらえるものだと思いがちですが、実は「不動産登記部門(登記の審査などを行う部署)」が対応窓口となっています。

つまり、権利の登記申請(名義変更など)と同じくらいの審査時間がかかる場合もあるということです。当事務所から郵送請求を行いましたが、ある法務局では発行までに1ヶ月ほどかかったケースもありました。

実はこの証明書、いつもの癖で証明対象の物件を管轄する法務局に請求してしまいがちですが、全国どこの法務局に請求しても構いません。 つまり、お急ぎの場合は、法務局のホームページで各局の「登記完了予定日」を確認し、空いていて処理が早い法務局を選んで請求するのが、早く取得するためのコツになりそうです。

② 相続人の「印鑑証明書」が必要(しかも原本は返ってこない!)

プライバシーに関わる重大な個人情報であるため、審査は極めて厳格です。 相続人が請求する場合、請求する相続人の「印鑑登録証明書(原本)」の提出まで求められます。

さらに厄介なのが、通常の相続登記などでは手続きが終われば戻ってくる(原本還付される)はずの印鑑証明書が、この証明書の請求においては「原本還付できない(使い捨てになる)」という点です。他の銀行の手続き等で印鑑証明書を使い回そうと考えている方は、この手続き用に余分に1通取得しておく必要があります。

③ 取得コストはやや高め。やみくもな申請は不要?

法務局への手数料(書面申請で1件1,600円、検索条件が増えるごとに手数料加算)を考えると、それなりのコストがかかります。 遺産の内容が明白な場合には無理に取る必要はなく、「親と疎遠で財産がわからない」「遠方にも不動産を持っていたはず」といった費用をかけてでも物件を漏らしたくないケースに絞って活用するのが賢明だと感じました。

3.証明書に「載ってこない」物件、または「他人の物件」がある!?

注意しなければならないのが、「この証明書を取れば、すべての調査が完了するわけではない」という事実です。法務局が公表している「システムの検索仕様」を読み解くと、以下のような限界があることがわかります。

  • そもそも登記されていない物件 未登記の古い家屋や、「表題登記(建物の種類や面積の登録)」のみで所有者の権利(保存登記)が登録されていない物件、ごく稀にある昔の紙の登記簿のままの物件は検索されません。
  • 住所の履歴が繋がらない物件 システムは、「氏名」と「住所(市区町村まで、または末尾5文字)」をセットで検索します。もし亡くなった方が何度も引っ越しをしていて、昔の住所のまま登記されている物件があった場合、戸籍の附票などで住所の繋がりを正確に証明できないとリストから漏れてしまいます。
  • 旧字体・異体字のワナ システムは「高」と「髙(はしごだか)」などをある程度同じ文字として認識しますが、法務局自身も「全ての異体字が変換されるわけではない」としており、珍しい漢字で登記されていると検索から漏れるリスクが残っています。
  • 同姓同名の「赤の他人」の物件が混ざる 固有のID番号ではなく「氏名と住所の文字」だけで検索する仕組みのため、たまたま同じ市区町村に住む同姓同名(同名異人)の物件が、誤ってリストに抽出されてしまう可能性がないとは言い切れません。

このように、「証明書に載っていないから財産はこれだけだ」と安心するのも、「リストに載っているから全て親のものだ」と鵜呑みにするのも危険です。

【財産を完全に把握するための対策】 証明書には「そもそも登記されていない物件は載らない」という大前提があるため、新制度だけに頼るのではなく、必要に応じて以下のような調査を組み合わせる必要があります。

  • 市区町村で「名寄帳(なよせちょう)」を取得し、未登記の家屋がないか確認する。
  • ご自宅に残されている「登記済権利証」の内容と、証明書のリストを照らし合わせる。
  • 証明書で判明した物件の登記事項証明書や公図を取得し、それをもとに周辺の道路(共有私道など)に持ち分がないか調査する。

4.面倒な不動産調査・相続手続きは丸ごとお任せください

「所有不動産記録証明制度」は、間違いなく相続手続きの助けとなる素晴らしい制度です。

高野司法書士事務所では、この「所有不動産記録証明書」の取得代行からその後の相続登記(名義変更)までをワンストップでサポートしております。

「親の不動産の全貌がわからなくて不安」 「法務局での面倒な手続きや、1ヶ月も待つようなやり取りを自分でやる自信がない」

そんな時は、ぜひ当事務所にご相談ください。 皆様の大切な財産をしっかりと次世代へ引き継ぐお手伝いをいたします。

初回のご相談は無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください!

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