住所変更登記と氏名変更登記の義務化

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。

不動産の登記簿には、所有者の住所・氏名が記載されています。
所有者の方が住所や氏名を変更された場合は、市役所などで変更の手続きをされると思いますが、登記簿上の住所・氏名を変更するためには、別途法務局に住所や氏名の変更登記を申請する必要があります。

今までは、この登記申請を行うことが任意であり、罰則もありませんでしたので、住所や氏名を変更してもその変更登記を申請しないケースも多く見受けられました。

しかし、不動産所有者(登記名義人)の住所と氏名の変更登記が2026年(令和8年)4月1日から義務化されることになりました。

なぜ義務化されるのか?

登記簿の「権利部(甲区)」というところに、不動産所有者の住所や氏名が記載されています。住所や氏名を変更したら登記簿上の権利部(甲区)の所有者の住所・氏名を現在のものに更新することが重要です。この手続きを怠ると、登記簿上の所有者の住所・氏名と現住所・現在の氏名が一致せず、自分が所有者であることを証明できなくなってしまいます。

権利部(甲区)サンプル

順位番号 登記の目的 受付年月日・受付番号 権利者その他の事項
所有権移転 平成〇年〇月〇日第〇号

原因 平成〇年〇月〇日売買

所有者 A市〇町〇番地〇

甲野太郎

付記1号 1番登記名義人表示変更 令和〇年〇月〇日第〇号

原因 令和〇年〇月〇日住所移転

住所 B市〇町〇番地〇

住所・氏名を変更しても、住所・氏名の変更登記を申請せず、結果として、登記簿をみても所有者が誰だか分からない土地(所有者不明土地)が大量に増えてしまいました。その結果、土砂崩れなどの防災対策の工事が必要な土地であっても工事を進められなかったり、公共事業や市街地開発のための土地の利活用が妨げられてしまうなどの弊害が出ています。その対策として、相続登記の義務化とともに、住所・氏名の変更登記が義務化されることになったのです。

住所・氏名変更登記の申請期限

住所・氏名の変更登記の申請期限は以下のとおりです。

施行日(2026年4月1日)より前に不動産の登記名義人の住所・氏名(法人の場合は、本店・商号)に変更があった場合は、施行日(2026年4月1日)から2年以内

施行日(2026年4月1日)以降に不動産の登記名義人の住所・氏名(法人の場合は、本店・商号)に変更があった場合は、その変更があった日から2年以内

罰則はあるのか?

正当な理由なく期限内に住所・氏名変更登記の申請義務を怠った場合、5万円以下の過料(罰則)の対象となります。

住所・氏名変更登記の職権登記制度

様々な事情により、住所・氏名を変更しても、登記申請義務を果たすことが難しい場合もあります。そこで、法務局の登記官が職権で変更登記を行う新制度が設けられることになりました。(2026年4月1日以降)

・個人の場合

法務局が登記名義人から事前に氏名・住所・生年月日等の「検索用情報」の提供を受けておき、その検索用情報を基に法務局が住基ネットに照会をして、当該登記名義人の住所・氏名に変更がないかを確認します。変更がある場合は、当該登記名義人の了承を得て、法務局が職権で住所・氏名の変更登記を行います。

・法人の場合

登記名義人が法人の場合は、会社法人等番号が登記事項となります。また、法務省や法務局の内部でシステムが連携されるため、法人の本店や商号の変更登記(法人登記)を申請すると、会社法人等番号を基に本店や商号の変更を把握できるようになり、法務局(不動産登記)が職権で本店・商号の変更登記を行います。(法人の了承不要)

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