相続手続きを進める上で大まかな流れを把握しておく必要があります。相続手続きにはやるべきことが沢山あります。期限がある手続きもありますので、優先順位を考えどのように手続きをしていくのか流れを確認しておくことが重要です。
このページの目次
1.相続の開始(被相続人の死亡)
相続は人の死亡によって開始します。亡くなった人のことを「被相続人」といいます。相続手続きとは、被相続人名義の財産を、相続人の名義に変更する手続きということが出来ます。
2.遺言書の調査
まず、被相続人が遺言書を残していないかを調査します。遺言書の有無によって、その後の相続手続きの流れが大きく変わってくるためです。良く利用される遺言方法に、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言は、自宅に保管されている場合が多いですが、銀行の貸金庫に預けられていたり、銀行に保管されている可能性もあります(銀行の遺言信託サービス利用の場合)。
また、自筆証書遺言書保管制度を利用している場合、法務局に保管されている可能性がありますので調査が必要です。公正証書遺言は、公証役場で被相続人が遺言書を残していないか検索することが出来ます。
遺言書がある場合
被相続人が自筆証書遺言を残していた場合は、その場で開封してはいけません。家庭裁判所に検認手続きを申し立て、他の相続人立会のもとで、遺言書を開封する必要があります。(公正証書遺言の場合は検認手続きは不要です。)
遺言書がある場合は、原則として遺言書に記載された通りに相続財産を分配しなければなりません。
⇨遺言書がある場合は、7(遺産分割協議)の手続きが不要になります。
遺言書がない場合
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続人の誰がどの財産を取得するのかを決めることになります。
⇨7(遺産分割協議)の手続き
3.相続人の調査
誰が相続人になるのか調査を行います。具体的には、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの(除)戸籍謄本、相続人の戸籍謄(抄)本等を本籍地のある役所で収集します。被相続人の胎児や前妻との子供、認知された婚外子(非嫡出子)も相続人になります。
一人でも相続人を欠いた遺産分割協議は無効になりますので、相続人の把握は正確に行う必要があります。
4.相続財産の調査
相続財産には、現金、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などの債務や負債といったマイナスの財産も含まれます。被相続人の財産の全体像を正確に把握していないと、相続税の計算を誤ってしまいますし、誰がどれだけの財産を取得するかを検討することが出来ず、遺産分割協議を行うことも出来ません。
財産調査の結果、債務などマイナスの財産の方が多い場合は、相続放棄や限定承認などの手続きも検討しなければなりません。
下記の通り、相続放棄や限定承認の手続きには、原則3ヶ月の期間制限がありますので、相続財産の調査に早めに着手することが重要です。
5.相続放棄・限定承認の判断~3ヶ月以内~
財産調査の結果、プラスの相続財産よりもマイナスの相続財産の方が多い場合は、相続放棄や限定承認の手続きを検討します。
どちらの手続きも「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てなければなりません。相続放棄とは、被相続人の財産について、相続する権利を放棄する、相続しないという選択をすることです。
相続人ではなくなるので、被相続人の財産一切を受けとりません。
限定承認とは、相続によって得たプラスの財産の範囲内で借金等のマイナスの財産を支払い、プラスの財産が残っていればそれを引き継ぐ方法です。
相続放棄を選択した場合は、ここまでで手続き終了です。
6.準確定申告~4ヶ月以内~
被相続人が、不動産の賃料収入を得ていたり、個人で事業を行っていた場合、準確定申告が必要になることがあります。準確定申告とは、被相続人の生前の所得税に対する確定申告で、相続人が被相続人に代わって、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に行う必要があります。
準確定申告が必要な場合は、提携の税理士をご紹介可能です。
7.遺産分割協議
遺産分割協議とは、被相続人の相続財産について、相続人の誰がどの財産を取得するか、財産の分け方について話し合いを行うことです。
話し合いがまとまったら、協議の内容を遺産分割協議書という文書にして残します。遺産分割協議には、相続人全員が参加する必要があります。
遺産分割協議は相続手続きの中でトラブルを生じやすいので、慎重に進める必要があります。
8.相続税の申告~10ヶ月以内~
被相続人の相続財産の総額が基礎控除額を超える場合や、相続税を減らす特例を利用する場合に税務署への申告が必要になります。相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
相続税の申告が必要な場合は、提携の税理士をご紹介可能です。
9.相続財産の名義変更
遺言書や遺産分割協議書の内容に従って、相続財産の名義変更手続きを行います。具体的には、預貯金の解約・払い戻し手続き、不動産の名義変更(相続登記)などを行います。