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自筆証書遺言はどう保管する?法務局利用のススメ
「遺言書は自分で簡単に書きたいけれど、本当に見つけてもらえるか不安」「紛失したり、誰かに勝手に書き換えられたりしたらどうしよう」――自筆証書遺言を作成する多くの方が、その「保管」に頭を悩ませてきました。
従来の自筆証書遺言は、手軽に作成できて費用がかからないというメリットがある反面、自宅などで保管することが多いため、紛失・破棄・隠匿・改ざん(偽造や変造)のリスクがつきものでした。さらに、相続手続きで利用する際には、原則として家庭裁判所での検認手続きが必要であり、相続人にとって大きな負担となっていました。
こうした自筆証書遺言のデメリットを解消し、その利便性を高めるために創設されたのが、法務局における自筆証書遺言書保管制度です。この制度を利用することで、遺言者の最終的な意思をより安全かつ確実に守り、後の相続手続きをスムーズに進めることが可能となりました。
1.法務局の遺言書保管制度とは?
法務局における自筆証書遺言書保管制度は、令和2年(2020年)7月10日からスタートした比較的新しい制度です。この制度は、遺言者が作成した自筆証書遺言を、法務局(遺言書保管所)が公的に預かり、画像データ化して厳重に保管するものです。
法務局に保管する大きなメリット
法務局を利用することで、従来の自筆証書遺言の持つ様々な問題点、特に保管に関するデメリットが解消されます。
1. 遺言書の紛失や改ざんのリスクがない
法務局が遺言書原本とデータ化した画像を長期間(遺言者の死亡日から50年間、情報は120年間)にわたって保管するため、自宅保管で懸念されていた紛失や、利害関係者による破棄・隠匿・改ざんの心配がなくなります。法務局による厳重な保管は、自筆証書遺言の弱点をカバーする最大の効果と言えます。
2. 家庭裁判所の検認手続きが不要になる
法務局に保管された自筆証書遺言は、公正証書遺言と同様に、家庭裁判所による検認手続きが不要となります。検認とは、遺言書の形状や内容を明確にし、偽造・変造を防止するための手続きで、通常、申立てから完了までに時間と手間がかかります。これが省略されることで、相続人は迅速に預金の解約や不動産の名義変更といった相続手続きを進めることができるようになります。
3. 遺言書の存在を確実に相続人に知らせる仕組み(通知)がある
法務局には、遺言者の死亡後に遺言書の存在を知らせる通知制度が設けられています。
• 関係遺言書保管通知:遺言者の死亡後に相続人や受遺者などが遺言書の閲覧や証明書の交付を請求した場合、法務局はその他の相続人等に対して、遺言書が保管されている事実を通知します。
• 死亡時の通知(指定者通知):遺言者があらかじめ希望し、通知対象者(最大3名)を指定しておけば、法務局が遺言者の死亡の事実を確認した際に、指定された人に対して遺言書が保管されている旨を通知してくれます。
この通知制度によって、せっかく作成した遺言書が相続人に発見されないというリスクを防ぐことができます。
4. 遺言書の形式不備による無効リスクが減る
保管の申請時、法務局の職員(遺言書保管官)が、遺言書が民法や法務省令で定められた形式的なルール(外形的な要件)を満たしているかチェックしてくれます。形式的な不備があると遺言は無効になってしまう可能性があるため、この点を確認してもらえるのは大きなメリットです。
制度利用にかかる費用
法務局での保管制度は、公正証書遺言と比べて費用が比較的安価であることも大きな魅力です。
遺言者が保管申請時に支払う費用は、遺言書1件につき3,900円です(収入印紙で納付)。これは保管手数料であり、保管期間や内容に関わらず一律です。
その他の手続きにかかる費用は以下の通りです。
| 手続き | 申請・請求できる人 | 手数料 |
| 遺言書の保管申請 | 遺言者 | 3,900円/1件 |
| 遺言書の閲覧請求(モニター) | 遺言者、死亡後は相続人等も | 1,400円/1回 |
| 遺言書情報証明書(写し)の交付請求 | 死亡後の相続人等 | 1,400円/1通 |
| 遺言書保管事実証明書の交付請求 | 死亡後の相続人等 | 800円/1通 |
なお、遺言書の保管の申請を撤回したり、住所等の変更を届け出たりする際には、手数料はかかりません。
2.法務局保管制度の注意点とデメリット
多くのメリットがある一方で、法務局の保管制度を利用する際には、いくつかの注意点(デメリット)も理解しておく必要があります。
1. 遺言者本人が法務局に出頭する必要がある
保管制度を利用するための申請手続きは、必ず遺言者本人が、事前に予約した上で、法務局(遺言書保管所)へ出向いて行わなければなりません。代理人による申請や郵送による申請は認められていません。そのため、病気や怪我などで法務局へ行くことが困難な場合は、事実上、この制度を利用できません。
2. 遺言書の内容に関するチェックは受けられない
法務局の職員は、遺言書の形式的な要件は確認しますが、遺言書の内容について、法的な有効性や、遺留分侵害など相続争いの種となる要素がないかといった実質的な審査やアドバイスは一切行いません。遺言の内容については遺言者の自己責任となり、内容に矛盾や間違いがあった場合、後に遺言を執行する際に問題が発生するリスクは残されています。
3. 遺言書の様式に細かいルールがある
保管制度を利用する場合、遺言書の様式等について、法務省令で定められた所定のルールを守って作成する必要があります。通常の自筆証書遺言とは異なり、以下の条件があります。
• 全文の自書が必要:財産目録を除き、遺言書の全文、日付、氏名は遺言者が自書(手書き)しなければなりません。
• 用紙のサイズと様式:A4サイズの片面のみに記載し、所定の余白を確保する必要があります。
• 無封で提出:遺言書は封筒に入れず、封印されていない状態で提出しなければなりません。
• 綴じ合わせない:複数ページある場合でも、ホチキスなどで綴じないでバラバラのまま提出します。
これらの様式ルールを満たさない場合、法務局に保管してもらえません。
3.保管制度利用の流れと必要書類
遺言書を法務局に保管してもらうまでの一般的な流れと、必要書類を確認しておきましょう。
1. 遺言書の作成と申請先の決定
まず、定められた様式や要件に従って自筆証書遺言を作成します。その上で、申請する法務局(遺言書保管所)を以下のいずれかから選択します。
- 遺言者の住所地を管轄する法務局
- 遺言者の本籍地を管轄する法務局
- 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局
2. 申請書の準備と予約
法務局のホームページなどから「保管申請書」を入手し、必要事項を記入します。この際、通知を希望する場合は、「死亡時の通知の対象者欄」に、指定する人の情報を記載します。
申請は事前予約制です。法務局の手続き案内予約サービス専用HP、電話、または窓口で予約を行います。
3. 法務局での申請手続き
予約した日時に、遺言者本人が必要書類と費用(手数料3,900円分の収入印紙)を持参して法務局に出頭します。
【保管申請に必要な主な書類】(必要書類)
1. 自筆証書遺言書(無封、ホチキス止めをしないもの)
2. 保管申請書
3. 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付きの公的証明書)
4. 本籍と戸籍の筆頭者の記載がある住民票の写し等
5. 3,900円分の収入印紙(保管手数料として)
6. (遺言書が外国語で作成された場合)日本語による翻訳文
申請が完了すると、遺言者の氏名や保管番号が記載された保管証が交付され、大切に保管することになります。
4.公正証書遺言との比較:確実性を高める選択肢
法務局保管制度は自筆証書遺言の欠点を補いますが、遺言の作成方法には、公証人が作成する公正証書遺言という、確実性が高い方法もあります。
法務局保管制度と公正証書遺言は、どちらも検認手続きが不要であり、遺言の執行を速やかに行えるという点で共通しています。
しかし、公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が遺言の内容を整理し、有効性を慎重にチェックします。そのため、遺言書の内容に矛盾や法的な不備が生じるリスクが極めて低く、遺言の実現の確実性においては公正証書遺言が優勢であると言えます。
| 項目 | 自筆証書遺言(法務局保管) | 公正証書遺言 |
| 作成時のチェック | 形式要件のみ | 内容・形式双方(公証人・証人) |
| 遺言者出頭 | 必須(代理不可) | 原則公証役場へ。出張も可能 |
| 費用 | 保管申請費用3,900円 | 財産額に応じて変動(数万円以上) |
| 遺言者本人が手書きする部分 | 財産目録以外すべて | 署名のみ(病気等で困難な場合は代筆も可) |
| 死後の通知 | あり(指定者通知) | なし |
費用を抑えたい、または通知による確実な遺言の存在の伝達を重視するなら法務局保管制度が有利です。一方、遺言者が病気などで動けない場合 や、内容面での法的有効性を最大限に担保したい場合は、費用はかかっても公正証書遺言を選ぶ方が確実です。
この制度を賢く利用することで、手軽な自筆証書遺言の利点を活かしつつ、遺言者の「想い」を大切なご家族に確実に届けることができるでしょう。
5.相続・遺言手続きの専門家へご相談ください
自筆証書遺言の法務局保管制度は便利な一方、遺言書の内容の有効性や、相続税対策など、専門的な検討が必要な領域については、法務局ではサポートを受けることができません。遺言が有効であっても、その内容が原因で家族間に争いが生まれてしまっては、元も子もありません。
私たち高野司法書士事務所は、相続・遺言手続きを専門としており、お客様の状況に合わせた最適な遺言書作成と保管方法をご提案いたします。
遺言書を作成する際の形式的な不備を防ぐことはもちろん、遺留分を考慮した内容となっているか、財産が漏れなく記載されているか、さらには、ご家族が円滑に手続きを進められるよう、法的・実務的な視点から遺言内容をチェックいたします。
「法務局に預けたいけれど、書き方に不安がある」「公正証書遺言とどちらが良いか迷っている」「相続手続きが面倒そうで何から手を付けていいか分からない」—–そうしたお悩みは、経験豊富な専門家にご相談ください。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
相続人がいない場合の遺産はどうなる?
近年、生涯独身の方の増加や少子高齢化の進展に伴い、亡くなった方に法定の相続人が一人もいない「相続人不存在」のケースが増加しています。身寄りがなく、亡くなった後に遺産が宙に浮いた状態になってしまうという問題は、社会的な課題となりつつあります。
「もし自分に相続人がいなかったら、財産は全て国に取られてしまうのだろうか?」 「お世話になった人や団体に財産を残したいけれど、どうすればよいのだろうか?」
このような不安を抱える方も少なくありません。実際に、相続人不存在によって最終的に国庫に帰属する遺産の額は、年々増加傾向にあるとされています。
本記事では、相続人不存在とはどのような状況を指すのか、遺された財産は最終的にどこへ行くのか、そして、ご自身の意思を反映させるために生前にできる相続対策(特に遺言書の作成)について、法律を専門としない方にも分かりやすく徹底的に解説します。
1.相続人不存在とは?その定義と3つのパターン
相続人不存在とは、民法が定める「法定相続人」に該当する人が、亡くなった方(被相続人)の死亡時に一人もいない状態を指します。
法定相続人とは、法律によって定められた相続権を持つ人で、その範囲と順位は以下の通りです。
配偶者:常に相続人となる。
第1順位:子(子が亡くなっていれば孫、ひ孫などの直系卑属)。
第2順位:父母(父母が亡くなっていれば祖父母などの直系尊属)。
第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっていれば甥姪)。
この法定相続人(および代襲相続人)が誰もいない場合に相続人不存在となります。なお、いとこや叔父叔母、甥姪の子どもなどは法定相続人ではありません。
相続人不存在になる具体的なケースは、主に次の3つのパターンが考えられます。
(1) 家族構成的に法定相続人がいないケース
被相続人が独身で子どもがおらず、両親などの直系尊属も兄弟姉妹(および甥姪)も既に亡くなっている、いわゆる「天涯孤独」の状態です。
(2) 法定相続人全員が相続放棄したケース
戸籍上は相続人がいるものの、その全員が家庭裁判所に相続放棄の申述を行い、それが受理された場合です。相続放棄をすると、その人は初めから相続人ではなかったものとみなされます。被相続人に多額の借金(負債)があった場合に、借金を引き継がないために全員で放棄するケースが多く見られます。
(3) 相続欠格・相続廃除により相続権を失ったケース
法定相続人に相続の意思があっても、被相続人に対して重大な不正行為や虐待行為があった場合、「相続欠格」や「相続廃除」によって相続権を失うことがあります。この結果、他に相続人がいなければ相続人不存在となります。ただし、欠格や廃除の場合、第1順位や第3順位では代襲相続が認められるため、その子(孫など)が相続人になる可能性があります。
誤解されやすい「相続人がいない」ケース
相続人が行方不明または音信不通である場合は、その人が法律上の相続人である限り、相続人不存在とは扱われません。一方、内縁の配偶者は法律上の相続人ではないため、他に法定相続人がいなければ相続人不存在として扱われます。
• 行方不明の場合:戸籍から抹消されていない限り、法律上は相続人が「いる」ものとして扱われます。遺産分割を進めるためには、不在者財産管理人の選任や失踪宣告の手続きが必要です。
• 内縁の配偶者:法律上の婚姻関係がないため、内縁の配偶者には法定相続権はありません。財産を確実に残すには、遺言書を作成するか、後述の特別縁故者として財産分与を求める必要があります。
2.相続人不存在の場合、遺産はどこへ行く?
相続人不存在の状態が確定した場合、遺産はすぐに国のものになるわけではなく、以下の優先順位に従って清算・処分されていきます。
(1) 遺言書で指定された人(受遺者)や債権者
まず、遺言書が残されていれば、そこに指定された人や団体(受遺者)に財産が渡されます。遺言書は法定相続人がいない場合でも、被相続人の意思を実現する上で非常に強力な手段です。
また、被相続人に対して金銭を貸していた人や、未払いの家賃などの支払いを受ける権利を持つ債権者がいる場合は、遺産から支払いがなされます。
(2) 特別縁故者への財産分与
債権者や受遺者への支払い・遺贈を終えてもなお財産が残っている場合、次に財産を受け取る可能性があるのが「特別縁故者」です。
特別縁故者とは、被相続人と特別に緊密な関係にあったと家庭裁判所に認められた人や団体を指します。例としては、内縁の配偶者、事実上の養子、生前に献身的に療養看護に努めた人などが挙げられます。
特別縁故者が財産を受け取るためには、相続人不存在が確定してから3か月以内に、家庭裁判所に「財産分与の申立て」を行う必要があります。家庭裁判所は、故人との関係性や貢献度などを総合的に考慮し、分与の可否や金額を決定します。
なお、特別縁故者への財産分与は、遺贈とみなされ相続税の課税対象となり、原則として2割加算の対象となります。
(3) 最終的な国庫帰属
上記(1)と(2)の手続きを経てもなお残った財産、あるいは遺言書も特別縁故者も存在しない場合は、その残余財産は最終的に国庫に帰属し、国のものとなります(民法959条)。2022年度の段階で国庫に帰属した金額は768億円にのぼるとされており、このケースは増加傾向にあります。
3.相続人不存在の場合の複雑な手続きの流れ
相続人不存在となった場合、遺産は勝手に処分できず、法的な清算手続きを進めるために、家庭裁判所に相続財産清算人(令和5年4月1日以前は「相続財産管理人」)の選任を申し立てる必要があります。
この申立ては、被相続人の債権者や受遺者、特別縁故者などの利害関係人、または検察官が行います。相続財産清算人には、通常、弁護士や司法書士などの専門家が選任され、中立的な立場で財産の調査・管理・清算を担います。
(1) 相続財産清算人の選任と公告
家庭裁判所が相続財産清算人を選任すると、その旨と、相続人がいる場合に名乗り出るよう求める「相続人捜索の公告」を官報で行います。この公告期間は6か月以上と定められています。
(2) 債権者・受遺者の申出の公告
上記と並行して、相続財産清算人は、債権者や受遺者に対して、2か月以上の期間を定めて請求を申し出るよう公告します。期間満了後、申出のあった債権者や受遺者には、遺産から支払いや遺贈が行われます。
(3) 相続人不存在の確定と財産分与
相続財産清算人の選任後、家庭裁判所による相続人捜索の公告期間(6か月以上)が満了し、相続人が現れなかった場合、相続人不存在が確定します。
法改正(令和5年4月1日施行)前は、各公告を段階的に行う必要があったため、確定までに最低10ヶ月以上を要していました。しかし、改正後は相続財産清算人の選任公告、債権者・受遺者の申出の公告、相続人捜索の公告の3つの公告を同時期に並行して行うことができるようになったため、相続人不存在が確定するまでの期間は最短6ヶ月に短縮されました。
確定後3か月以内に特別縁故者から申立てがあれば、家庭裁判所の審判を経て財産が分与されます。
(4) 国庫帰属と期間・費用
相続人不存在の確定自体は最短6ヶ月で可能となりましたが、その後の特別縁故者への財産分与申立て期間(3ヶ月以内)を経る必要があり、さらに債権者への弁済や不動産などの財産処分の手続きにかかる期間も含めると、この一連の清算手続き全体が完了し、最終的に国庫に帰属するまでには、依然として最低でも10ヶ月以上かかることが一般的です。
また、相続財産清算人の報酬や公告費用などを賄うための予納金(数十万円から100万円程度)を、申立人が家庭裁判所に納める必要があるケースもあります。これは、残された関係者にとって経済的・時間的に大きな負担となります。
4.知っておきたい相続人不存在の注意点
不動産の共有者と特別縁故者の優先順位
もし亡くなった方が共有不動産の持分を持っていた場合、民法には相続人がいないときその持分は他の共有者に帰属する旨の規定がありますが、最高裁判所の判断により、特別縁故者への財産分与が共有者への帰属よりも優先されます。つまり、特別縁故者が財産を分与された後に残った持分があれば、それが他の共有者に帰属するという順番になります。
遺産の勝手な処分は禁止
相続人不存在のケースで、親族や知人であっても、遺された財産(家財、預貯金、不動産など)を勝手に処分したり、解約したりすることは許されません。すべての財産は相続財産清算人が管理・清算する対象となります。
5.大切な財産を活かすための生前対策
相続人不存在の場合、手続きは複雑で時間がかかり、最終的に財産が国庫に帰属してしまうリスクがあります。
自分の意思を反映させ、残された方々の負担を減らすためには、生前対策が不可欠です。
(1) 遺言書の作成で遺産の行き先を明確に
最も確実で重要な対策は、遺言書を作成しておくことです。
遺言書があれば、法定相続人がいない場合でも、財産の承継先を自由に指定し、意図しない国庫帰属を避けることができます。例えば、内縁の配偶者やお世話になった人へ財産を遺贈したり、社会貢献のために特定の団体に寄付したりする、といった意思を実現できます。
遺言書があれば、相続財産清算人の選任手続きが不要になり、残された関係者の負担が大きく軽減されます。
特に、形式不備や紛失のリスクが低い公正証書遺言を作成し、遺言書の内容を確実に実現させる遺言執行者(司法書士などの専門家を指定可能)を決めておくことが推奨されます。
(2) その他の生前対策
• 死後事務委任契約:葬儀の手配や行政手続き、医療費の精算など、ご逝去後の事務処理を第三者に委任する契約です。相続人不存在の場合には、財産管理とは別に、これらの事務を担う人がいないため、遺言書と併せて検討することが重要です。
• 生前贈与:生きている間に財産を贈与する方法です。贈与者は財産の使い道を見届けることができ、贈与を受けた側も確実に財産を取得できます。
6.専門家からのメッセージ
相続人不存在の問題や、大切な方へ確実に財産を引き継ぐための遺言書作成は、多くの方にとって初めて直面する複雑な課題です。
私たち高野司法書士事務所は、相続・遺言手続きを専門としており、お客様一人ひとりの想いを実現し、未来に不安を残さないためのサポートを提供しています。
相続人不存在の懸念がある方には、公正証書遺言の作成を全面的に支援いたします。法的に有効で、ご依頼者様の明確な意思が反映された遺言書を作成し、大切な財産が意図しない形で国庫に帰属してしまうことを防ぎます。
相続や遺言に関するご不安、疑問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの想いを未来へつなぐお手伝いを、責任をもって務めさせていただきます。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
遺贈と相続って何が違うの?
「遺贈」と「相続」は、どちらも亡くなった方の財産を特定の人に引き継がせるという意味合いで使われますが、法律上の性質や手続き、そして税金面において決定的な違いがあります。
特に、遺言書を作成する際にこの二つの言葉を誤って使用すると、受け取る側が不利益を被ったり、手続きが複雑になったりする可能性があります。
この記事では、法律を専門としない方にもわかりやすく、遺贈と相続の基本的な違いから、手続き上の注意点、そして相続税に関する重要な留意点までを詳しく解説します。大切な財産をご自身の意志通りに、そして円滑に次世代へ引き継ぐための参考にしてください。
1.相続と遺贈の基本的な違い
相続と遺贈の最も大きな違いは、「誰が財産を受け取るのか」という財産を受け取る相手の範囲です。
1. 相続は法定相続人が対象
「相続」とは、民法で定められた法定相続人(配偶者、子、父母、兄弟姉妹など)が、亡くなった方(被相続人)の財産を包括的に承継することを指します。
相続においては、財産の権利だけでなく、借金などの負債(マイナスの財産)も原則として承継されます。遺言書がない場合でも、法定相続人が法律で定められた相続分に従って財産を引き継ぐことが可能です。
遺言書で法定相続人に対して財産を引き継がせる場合、「相続させる」という文言が使われます。この「相続させる」という表現は、遺産分割の方法を指定する法的意味合いを持ちます。
2. 遺贈は誰にでも財産を譲れる
「遺贈(いぞう)」とは、亡くなった方(遺言者)が遺言書によって、財産の一部または全てを無償で譲ることを意味します。遺贈を受ける人や団体を受遺者(じゅいしゃ)と呼びます。
遺贈の最大のポイントは、法定相続人以外の人や法人・団体にも財産を譲渡できる点です。
例えば、婚姻関係がない内縁の配偶者、養子縁組をしていない連れ子、法定相続人ではない孫や子の配偶者(長男の妻など)、あるいは、お世話になった友人、NPO法人、学校、地方自治体などに財産を遺したい場合に利用されます。
また、遺言書で法定相続人に対して財産を引き継がせる場合にも、「遺贈する」という言葉を使うことは可能です。ただし、後述する手続き上の煩雑さから、相続人に対しては「相続させる」という表現を使うことが推奨されています。遺贈は、法的には財産の無償譲渡とみなされます。
2.遺贈の2つの種類:包括遺贈と特定遺贈
遺贈には、財産の渡し方によって「包括遺贈(ほうかついぞう)」と「特定遺贈(とくていいぞう)」の2種類があります。この違いは、負債の承継や手続きに大きく影響するため、非常に重要です。
1. 包括遺贈(割合を指定する方法)
包括遺贈とは、遺産の全体または(遺産全体に対して)割合を指定して財産を譲る方法です。例として、「全財産の半分(2分の1)をAに遺贈する」といった指定が該当します。
包括受遺者は、その割合に応じて相続人と同一の権利と義務を持つことになります。したがって、借金やローンなどの負債(マイナスの財産)も割合に応じて承継する必要があるため、注意が必要です。
また、包括遺贈の場合、受遺者は他の相続人に交じって遺産分割協議に参加し、具体的にどの財産を取得するかを決める必要があります。
2. 特定遺贈(特定の財産を指定する方法)
特定遺贈とは、遺産の中から特定の財産を指定して譲る方法です。例として、「〇〇銀行の預金100万円をBさんに遺贈する」「甲土地をC団体に遺贈する」といった指定が該当します。
特定遺贈では、指定された財産のみを取得するため、原則として負債を引き継ぐ必要はありません。そのため、福祉団体やNPO法人など、法人が遺贈を受け入れる場合は、リスクを抑えられる特定遺贈として受け入れるケースがほとんどです。
3.手続き上の大きな違い(不動産登記を中心に)
遺贈と相続では、特に不動産(土地や建物)の名義変更を行う際の不動産登記手続きにおいて大きな違いが生じます。
1. 相続人に「相続させる」場合
遺言書で法定相続人に「相続させる」と記載されている場合、その財産を取得する相続人は単独で相続登記(所有権移転登記)を申請することができます。これにより、他の相続人全員の協力や署名・押印、印鑑証明書が不要となり、手続きをスムーズに進められます。
2. 相続人に「遺贈する」場合
かつては、相続人に「遺贈する」と記載されている場合、受遺者である相続人が単独で登記をすることができず、他の相続人全員との共同で手続きを進める必要がありました。しかし、令和5年4月1日の不動産登記法改正により、相続人に対する遺贈であれば、受遺者である相続人が単独で登記申請を行うことが可能になりました。
3. 相続人以外に「遺贈する」場合
遺言書で相続人ではない第三者や団体に「遺贈する」と記載されている場合は、原則として、受遺者(財産を取得する人)と法定相続人全員が共同で登記申請を行う必要があります。
ただし、遺言書で遺言執行者が指定されている場合は、受遺者と遺言執行者が共同で登記申請を行うことができます。このため、相続人以外へ遺贈する場合は、トラブルや手続きの煩雑さを避けるために、遺言執行者を指定しておくことが推奨されます。
4. 農地や借地権の承継
特定の権利を承継する際にも、相続と遺贈では違いがあります。
• 農地取得:農地を取得する際、通常は農業委員会(市町村に設置されている行政委員会)の許可が必要ですが、相続人が相続または遺言(相続させる/遺贈するのどちらでも)で取得する場合、許可は不要です。ただし、相続人以外への特定遺贈の場合は、原則として農業委員会の許可が必要となります。
• 借地権・借家権:借地権や借家権を承継する場合、地主や大家(賃貸人)の承諾が必要です。しかし、「相続させる遺言」による承継の場合は、包括的な権利承継とみなされるため、賃貸人の承諾は不要です。一方、遺贈の場合は、原則として賃貸人の承諾が必要となり、承諾料を請求されることもあります。
4.相続税と遺贈:税制面での注意点
遺贈も相続も、亡くなった方の財産を原因として財産を取得するため、原則として相続税の課税対象となります。ただし、遺贈の場合、特に受遺者が法定相続人以外であると、税制面で不利になる点がいくつかあります。
1. 基礎控除額の計算における違い
相続税には非課税枠である基礎控除が設けられています。基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」という計算式で算出されます。
この計算において、遺贈によって財産を受け取った人(受遺者)が法定相続人ではない場合、その受遺者は「法定相続人の数」には含まれません。
法定相続人以外の受遺者がいる場合、財産を受け取る人数が増えても基礎控除額は増えないため、結果的に課税対象となる遺産総額が大きくなる可能性があります。
2. 相続税の2割加算
遺贈によって財産を取得した人が、亡くなった方の配偶者や一親等の血族(子や父母)および代襲相続人となった孫以外である場合、その人が納めるべき相続税額が2割加算されます。
この2割加算は、祖父母や兄弟姉妹が相続人となる場合にも適用されます。例えば、長男の配偶者(お嫁さん)や、法定相続人ではないお孫さん、お世話になった友人などが遺贈を受けた場合、相続税が2割増しになるため、受遺者の税負担が大きくなることに注意が必要です。
3. その他の税金負担(不動産関連)
不動産を遺贈する場合、相続と比較して税負担が増加する可能性があります。
• 不動産取得税:相続で不動産を取得した場合は非課税ですが、相続人ではない人への特定遺贈によって不動産を取得した場合、地方税である不動産取得税が課税されます。
• 登録免許税:不動産の名義変更(登記)にかかる登録免許税の税率も異なります。相続の場合や法定相続人への遺贈の場合、不動産評価額の0.4%ですが、法定相続人以外への遺贈の場合、税率は2.0%と高くなります。
5.遺贈と相続放棄:負債を避けるための選択肢
包括遺贈の場合、受遺者は負債も承継するリスクがあるため、財産の受け取りを拒否する相続放棄(または遺贈の放棄)の選択肢も重要になります。
1. 包括遺贈の放棄
包括遺贈の受遺者は相続人と同じ権利義務を持つため、遺贈を放棄したい場合は、包括遺贈があったことを知った日から3か月以内に、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して遺贈放棄の申述書を提出しなければなりません。
この3か月の期間を過ぎてしまうと、原則として遺贈を承認したものとみなされます。負債が多い場合に包括遺贈を放棄することは、受遺者にとってのリスク回避手段となります。
2. 特定遺贈の放棄
特定遺贈の場合、財産を受け取らない意思を、遺言執行者や他の相続人などの遺贈義務者に対して意思表示すればよく、家庭裁判所での手続き(相続放棄の申述)は不要です。また、原則として放棄の期限も定められていません。ただし、利害関係者から催告を受けた場合、指定期間内に回答しないと承認したものとみなされるため、速やかな意思表示が求められます。
6.トラブルを避けるための最重要ポイント
遺贈は自由度の高い制度ですが、遺言者が亡くなった後に親族間で「争族」を招かないよう、細心の注意を払う必要があります。
1. 遺留分への配慮
遺留分とは、亡くなった方の兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者、子、父母など)に、法律上最低限保障されている遺産の取得分のことです。
遺言書の内容がこの遺留分を侵害している場合でも、その遺言自体が無効になるわけではありません。しかし、遺留分を侵害された相続人(遺留分権利者)は、遺贈を受けた受遺者に対して遺留分侵害額請求(金銭の請求)を行うことができます。これにより、受遺者と相続人の間でトラブルが発生し、遺言者の意思が完全に実現されない可能性があります。
トラブルを避けるためには、遺言書を作成する際に、遺留分権利者に遺留分相当額を相続させるなど、遺留分を侵害しないよう十分配慮することが重要です。
2. 遺言執行者の指定
遺贈を行う場合、遺言書の内容を確実に実行するために、遺言執行者を指定しておくことが強く推奨されます。
遺言執行者は、相続人全員の代理人として、遺贈された財産の登記や名義変更、預貯金の引き出しなどの手続きを単独で行う権限と義務を持ちます。遺言執行者を指定することで、相続人や受遺者の負担を軽減し、手続きの円滑化を図ることができます。
7.相続・遺言手続きでお悩みなら高野司法書士事務所へ
相続や遺贈に関する手続きは、非常に専門性が高く、一般の方がご自身で全てを円滑に進めるのは難しいのが現状です。
高野司法書士事務所は、相続・遺言手続きを専門としており、お客様の想いを汲み取り、法的に有効かつ将来のトラブルを未然に防ぐための遺言書作成サポートを得意としております。
• 煩雑な手続きをすべて代行:不動産の名義変更(相続登記)、遺言執行者のサポート、複雑な戸籍収集など、専門知識が必要な手続きを一貫してサポートいたします。
• トラブル回避の設計:遺留分を考慮した遺言内容の設計や、相続人への説明方法など、長年の経験に基づいた円満な承継を実現するためのアドバイスを提供します。
• 確実な遺言の実現:公正証書遺言の作成支援を推奨し、お客様の遺言の意思を法的に最も確実な形で実現できるよう尽力します。
「自分の想いを確実に残したい」「家族間の争いを避けたい」「遺言の手続きで何をすべきか分からない」といった不安をお持ちであれば、ぜひ一度、高野司法書士事務所にご相談ください。私たちは、お客様の大切な財産と想いを未来へつなぐお手伝いをさせていただきます。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
遺言書に残す「付言」とは?あなたの想いを伝える方法
遺言書を作成する際、財産の分け方だけでなく、ご家族への想いや感謝の気持ちを伝えたいとお考えの方は多いのではないでしょうか。そんな想いを形にするのが「付言(ふげん)」です。今回は、遺言書における付言の役割や書き方、具体的な例文についてご説明します。
1.付言とは何か
付言とは、遺言書の末尾に記載する、法的効力を持たない自由なメッセージのことです。財産の分配方法や相続人の指定といった法的な事項とは異なり、遺言者の想いや考え、家族への感謝の言葉などを自由に表現できる部分となります。
法的拘束力はありませんが、遺言者の真意や財産分配の理由を説明することで、相続人同士のトラブルを防ぐ効果が期待できます。また、残されたご家族にとって、故人の想いを知ることができる大切な部分となるのです。
2.付言を書くメリット
相続トラブルの予防
遺産分割の内容について、なぜそのような配分にしたのか理由を説明することで、相続人の理解を得やすくなります。特に、法定相続分と異なる分配をする場合や、特定の相続人に多くの財産を残す場合には、その理由を付言で説明しておくことで、不公平感を和らげる効果があります。
家族への想いを伝える
日頃は照れくさくて言えない感謝の気持ちや、家族への願いを伝えることができます。付言は、あなたの最後のラブレターとも言えるでしょう。
相続人以外へのメッセージ
法定相続人ではない方への感謝の言葉や、お世話になった方へのメッセージを残すこともできます。
3.付言の書き方のポイント
1. 前向きな表現を心がける
できるだけ前向きで温かい表現を使い、家族の絆を深めるような内容にしましょう。批判的な言葉や否定的な表現は避けることをおすすめします。
2. 配分の理由を丁寧に説明する
特定の相続人に多く財産を残す場合は、その理由を具体的に説明することで、他の相続人の理解を得やすくなります。「長男には事業を継いでもらうため」「長女には介護をしてもらったことへの感謝として」など、客観的な理由を記載しましょう。
3. 感謝の気持ちを具体的に
「ありがとう」だけでなく、何に対して感謝しているのか具体的に書くことで、より想いが伝わります。
4. 将来への希望を込める
残された家族に対して、幸せを願う気持ちや、仲良く暮らしてほしいという願いを伝えましょう。
4.付言の例文
例文1:家族への感謝を伝える場合
「妻の花子へ。長年にわたり、私を支えてくれて本当にありがとう。あなたと過ごした日々は、私の人生で最も幸せな時間でした。これからは、自分のために時間を使い、健康で楽しい毎日を送ってください。子どもたちへ。立派に成長してくれて、父として誇りに思っています。これからもお母さんを大切にし、兄弟仲良く助け合って生きていってください。皆の幸せを心から願っています。」
例文2:財産分配の理由を説明する場合
「長男の太郎には、先代から続く家業を継いでもらうため、自宅と事業用資産を相続させることにしました。長女の美咲には、これまで私たち夫婦の介護に献身的に尽くしてくれたことへの感謝の気持ちとして、預貯金を多めに相続させます。次男の健一は既に独立して事業で成功しているため、今回の配分としましたが、お前の頑張りを誇りに思っています。この分配方法に兄弟で理解し合い、これからも互いに助け合って生きていってください。」
例文3:シンプルに想いを伝える場合
「家族みんなへ。私は幸せな人生を送ることができました。それは、あなたたちがいてくれたからです。心から感謝しています。これからも、家族みんなが健康で幸せに暮らせることを祈っています。喧嘩することもあるでしょうが、最後は必ず仲直りして、支え合ってください。本当にありがとう。」
例文4:相続人以外へのメッセージを含める場合
「相続人である子どもたちへ。遺産の分配については遺言書に記載した通りです。お母さんを最後まで大切にしてください。また、長年お世話になった友人の山田さんには、法的な相続はできませんが、私の蔵書を形見として受け取っていただければ幸いです。家族みんなが幸せに暮らすことが、私の一番の願いです。
5.付言を書く際の注意点
法的効力はない
付言には法的拘束力がありません。「○○には財産を渡さないでほしい」といった内容を付言に書いても、遺言書の本文で相続人として指定されていれば、その効力が優先されます。法的に効力を持たせたい事項は、必ず遺言書の本文に記載する必要があります。
誤解を招く表現は避ける
曖昧な表現や、解釈によって複数の意味に取れる表現は避けましょう。明確で分かりやすい言葉を選ぶことが大切です。
特定の人を傷つける内容は避ける
批判や悪口、特定の相続人を貶めるような内容は、かえって家族間のトラブルを招く原因となります。どうしても伝えたいことがある場合でも、表現には十分配慮しましょう。
公正証書遺言でも付言は書ける
自筆証書遺言だけでなく、公正証書遺言でも付言を記載することができます。公証人に作成してもらう際に、付言も含めて口述すれば、遺言書に盛り込んでもらえます。
付言は、法的効力はないものの、遺言者の想いを家族に伝え、相続トラブルを未然に防ぐ重要な役割を果たします。財産の分配理由を説明したり、家族への感謝や愛情を表現したりすることで、円満な相続の実現につながります。
遺言書は、単なる財産分配の書類ではなく、あなたの人生の集大成とも言える大切な文書です。付言を通じて、ご家族への想いをしっかりと伝えることで、より意味のある遺言書となるでしょう。
6.遺言書作成は高野司法書士事務所にお任せください
遺言書の作成には、法的要件を満たすことはもちろん、ご家族の状況に応じた適切な内容にすることが重要です。付言の書き方一つで、ご家族の受け止め方も大きく変わってきます。
高野司法書士事務所では、遺言書作成の豊富な経験を活かし、お客様のご希望やご家族の状況を丁寧にお伺いしながら、最適な遺言書作成をサポートいたします。付言の文面についても、想いが伝わる表現になるようアドバイスさせていただきます。
初回相談は無料ですので、遺言書の作成をお考えの方は、ぜひお気軽に高野司法書士事務所までご相談ください。あなたの大切な想いを、確実にご家族に届けるお手伝いをさせていただきます。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
遺言書の検認期日、欠席しても大丈夫?
家庭裁判所から「遺言書検認期日通知書」が突然届くと、驚かれる方も少なくありません。特に、通知の中で特定の日時に裁判所への来所が求められている場合、仕事や家庭の事情で都合がつかないケースもあるでしょう。
この検認期日に欠席した場合、「相続権を失うのではないか?」「何らかの罰則を受けるのではないか?」といった不安を抱く方もいますが、申立人以外の相続人については、基本的には心配する必要はありません。
本記事では、遺言書の検認とは何かを解説するとともに、その手続きの流れや、検認期日に欠席した場合の影響について詳しく解説します。
1.遺言書の検認とは?
検認とは?
遺言書の検認とは、家庭裁判所において、遺言書の存在と内容を相続人に対して知らせ、同時に偽造や変造を防止することを目的とした手続きです。
検認の期日には、裁判官が遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などを確認し、その時点での遺言書の内容を明確に記録します。これは、遺言書を公的な機関でチェックし、その証拠を保全する役割を果たします。
検認が必要な遺言書は、主に公的機関以外で保管されていた自筆証書遺言(法務局の保管制度を利用していないもの)と秘密証書遺言です。
検認が不要な遺言書
ただし、すべての遺言書に検認が必要なわけではありません。公正証書遺言や、自筆証書遺言書保管制度を利用して法務局に保管されている自筆証書遺言は、公的な管理がされているため、検認は不要とされています。
検認を怠った場合の罰則(期限)
遺言書の保管者や発見した相続人は、遺言者が亡くなったことを知った後、遅滞なく(期限に注意)家庭裁判所に遺言書を提出して検認を申立てる手続きが義務付けられています。
もし検認を怠ったり、検認を経ないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で遺言書を開封したりすると、5万円以下の過料に処せられる罰則が適用される可能性があるため、注意が必要です。勝手に遺言書を開封した場合、他の相続人から偽造や変造の疑いをかけられ、後の相続トラブルに発展するリスクもあります。
2.検認手続きの概要と流れ
検認手続きの流れは以下の通りです。
1. 申立て:遺言書の保管者または発見した相続人が、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に検認を申立てます。
2. 検認期日の通知:家庭裁判所は申立人と日程調整を行った後、検認期日を決定し、相続人全員に対して通知書を郵送します。期日は申立日から数週間~1ヶ月後が目安で、平日の日中に行われます。
3. 裁判所での検認:期日には、申立人が遺言書を持参し提出します。裁判官が、出席した相続人などの立ち会いのもと、遺言書を開封し、内容や状態を確認・記録します。
4. 検認済証明書の申請・発行:検認後、検認済証明書の申請を行い、発行を受けます。この証明書は、金融機関での手続きや不動産の相続登記など、その後の相続手続きで必要書類となります。
検認の必要書類
検認の申立てには、主に以下の必要書類が必要となります。
- 家事審判申立書(または検認申立書)
- 遺言書(申立人が期日に持参)
- 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
- 収入印紙(遺言書1通につき800円)
- 連絡用の郵便切手
3.検認期日への出欠の可否
申立人は必ず出席が必要
遺言書の検認を申立てた本人(申立人)は、検認期日に必ず出席しなければなりません。これは、申立人が期日に遺言書原本を家庭裁判所に持参し提出する役割を担っているためであり、欠席すると検認自体が不可能になってしまいます。申立人が欠席した場合、他の出席者に迷惑をかけ、検認を怠ったとして罰則の適用を受ける危険性もあります。
申立人が確実に期日に出頭できるように、申立て前に裁判所と日程調整をする際は、確実に出席できる日を選ぶことが重要です。また、やむを得ない事情で出席が難しい場合は、弁護士を代理人として出席させることも検討できます。
申立人以外の相続人は欠席が可能
申立人以外の相続人については、検認期日に出席する法的な義務はなく、欠席しても罰則やペナルティが科せられることはありません。出席するかどうかは、各相続人の自由な判断に委ねられており、欠席する旨を裁判所に連絡する必要も特にありません。相続人全員が揃わなくても検認の手続きは進められます。
4.検認の「効力」と欠席によるデメリット
検認は遺言書の効力を決定しない
検認手続きは、あくまで遺言書の状態を形式的に確認し、偽造・変造を防ぐための手続きであり、遺言書が有効か無効かを判断するものではないという点に注意が必要です。検認が完了したからといって、その遺言書が法的に有効であると確定するわけではありません。
もし遺言書の内容に疑問がある場合や、無効であると考える場合は、検認後に別途、遺言の無効を争う手続きを行うことになります。無効を主張する流れとしては、まず家庭裁判所に遺言無効確認の調停を申立て、調停で解決しない場合には訴訟へと移行します。
欠席によるデメリット
申立人以外の相続人が検認期日に欠席しても罰則はありませんが、いくつかのデメリットがあります。
1. 遺言の内容を確認するタイミングが遅れる:検認期日に立ち会わないと、遺言書の内容を知るのが一歩遅れます。遺言書の内容を早く知りたい場合は、出席が推奨されます。
2. 当日のやり取りを直接見聞きできない:期日では、裁判官から申立人などに対して遺言書の保管状況などの質問がされることがありますが、欠席するとそのやり取りや雰囲気を直接知ることができません。ただし、これらの内容は、後日家庭裁判所に検認調書の閲覧や謄写を申立てることで確認は可能です。
3. 期限のある手続きへの影響:遺言書の内容が不明な間は、相続に関する対応が難しくなることがあり、特に相続放棄のように「相続開始を知った時から3ヵ月以内」という期限が設けられている重要な手続きの判断に影響が出る可能性もあります。
5.まとめ
遺言書の検認は、自筆証書遺言や秘密証書遺言を発見した際に遅滞なく行わなければならない重要な手続きです。申立人は、申立書と必要書類を揃え、期日には必ず出席する必要がありますが、その他の相続人は欠席が可能です。欠席しても相続人の権利を失うことも、罰則が科せられることもありません。
ただし、検認は遺言書の効力を確定するものではなく、検認後の相続手続きやトラブル対応を見据えると、専門的な知識を持った者(弁護士など)に手続きをサポートしてもらうことは、その後の流れをスムーズに進める上で非常に有効な手段と言えるでしょう。
検認手続きやその後の相続問題についてご不安がある場合は、専門家にご相談いただくことをおすすめします。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
生前に遺留分放棄をする方法
相続は、時に複雑な人間関係や財産の問題を引き起こします。特に、ご自身の死後に特定の人物に財産を集中させたい、あるいは将来の相続トラブルを避けたいと考える場合、相続人予定者による「遺留分の放棄」を家庭裁判所で申し立てることが有効な手段となり得ます。本記事では、遺留分放棄の基本的な概念から、その手続き、メリット、そして注意点について詳しく解説します。
1.遺留分とは何か
まず、遺留分について理解を深めましょう。遺留分とは、法律によって一部の相続人に対して最低限保障されている遺産の取得割合のことです。これは、故人の遺言によって財産が特定の相続人に集中させられたとしても、残された家族の生活保障や相続への期待を保護するために認められている強い権利です。
遺留分が認められるのは、配偶者、子(代襲相続人を含む孫など)、および直系尊属(父母や祖父母)です。一方で、故人の兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
遺留分が侵害された場合、遺留分権利者は「遺留分侵害額請求」を行うことで、侵害された遺留分に相当する金銭を取り戻すことができます。
2.遺留分放棄とは
遺留分放棄とは、遺留分を持つ相続人が、自身の遺留分の権利を自ら手放すことを指します。この放棄により、その相続人は遺留分侵害額請求を行うことができなくなります。遺留分放棄は、被相続人の生前でも死後でも行うことが可能です。
3.遺留分放棄と相続放棄の違い
「放棄」という言葉が含まれるため混同されがちですが、遺留分放棄と相続放棄は全く異なる制度です。主な違いは以下の通りです。
放棄の対象:
◦ 相続放棄は、相続人が相続人としての地位そのものを放棄し、故人の資産も債務も一切承継しないことを表明します。これにより、最初から相続人ではなかったものとみなされます。
◦ 遺留分放棄は、あくまで遺留分を請求する権利を手放す行為であり、相続権そのものを失うわけではありません。遺留分を放棄しても、相続人としての地位は維持され、遺言や遺産分割協議によって財産を相続する可能性が残ります。
手続きの時期:
◦ 相続放棄は、故人の死後、「自己のために相続があったことを知ったとき」から原則3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。生前の相続放棄は法律上認められていません。
◦ 遺留分放棄は、故人の生前でも死後でも可能です。ただし、生前に行う場合は家庭裁判所の許可が必須となります。
他の相続人への影響:
◦ 相続放棄があった場合、放棄した相続人の相続分は他の相続人に割り振られるため、他の相続人の法定相続分が増加する可能性があります。
◦ 遺留分放棄は、他の共同相続人の遺留分に影響を及ぼしません。放棄によって生じた部分は、被相続人が自由に処分できる財産に組み込まれます。
4.生前に遺留分放棄をする方法(手続きと必要書類)
故人の生前に遺留分を放棄する場合、家庭裁判所の許可が必須です(民法1049条1項)。家族間での私的な合意書や念書だけでは、法的な効力は生じません。これは、相続人になる方が不当な圧力により意思に反して権利を放棄することを防ぐための措置です。
手続きの流れ
1. 申立人の準備: 遺留分を放棄する相続人自身が申立人となります。
2. 申立先の家庭裁判所: 故人となる予定の人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。
3. 必要書類の提出: 以下の必要書類を揃えて提出します。
- 遺留分放棄の許可申立書
- 故人となる人の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 財産目録(不動産、現金、預貯金、株式など)
- 申立手数料として収入印紙800円分
- 連絡用郵便切手(金額は裁判所によって異なります)
4. 家庭裁判所による審査(審問): 申立書が受理されると、まず裁判所から「照会書」が送付されるのが一般的です。申立人は、遺留分放棄に至った経緯や相続財産の状況、放棄が真意によるものかなどについて、書面で回答します。その内容を確認したうえで、裁判所がさらに詳しい事情を把握する必要があると判断した場合には、審問期日が指定され、裁判官との面談が行われます。
5.遺留分放棄の許可基準
家庭裁判所が遺留分放棄を許可するにあたっては、以下の点が重視されます。
• 申立人の自由意思に基づくこと: 他者からの不当な干渉や強要がないか。
• 放棄理由の合理性・必要性: 財産の散逸防止、不動産の細分化回避、遺産紛争の回避、事業承継など、合理的な理由があるか。
• 代償の有無: 遺留分放棄の代償として、相当な財産の生前贈与や特別な利益が申立人に与えられているか。
これらの基準を満たさない場合、申し立ては却下される可能性があります。
6.念書(合意書)の書き方
故人の生前における遺留分放棄については、前述の通り、家庭裁判所の許可が必須であり、念書や合意書に法的効力はありません。
一方で、故人の死後に遺留分を放棄する場合は、家庭裁判所の許可は不要です。この場合、遺留分侵害額請求を行わない意思を相手方に伝えることで放棄したことになります。口頭でも有効ですが、後々のトラブルを防ぐために、遺留分放棄の念書や合意書を作成し、書面で意思表示をすることが一般的です。
念書を作成する際は、以下の点を明確に記載しましょう。
- 念書の内容: 遺留分を放棄する旨と、対象となる被相続人を特定する情報(氏名など)を明記します。
- 作成年月日: 念書を作成した日付を記載します。
- 作成者の情報: 遺留分を放棄する遺留分権利者本人の氏名、住所、署名捺印が必要です。
念書の書式は、パソコンで作成したものを利用し、日付や署名捺印を自筆で行う方法でも構いませんし、全文を手書きで作成しても問題ありません。
7.遺留分放棄のメリット
生前に遺留分放棄を行うことには、いくつかのメリットがあります。
• 遺言通りの円滑な相続を実現できる: 特定の人物に財産を集中させたい場合、他の相続人に遺留分放棄をしてもらえれば、故人の希望通りの遺言をトラブルなく実現できます。特に、事業承継で会社の株式や不動産を後継者に集中させたい場合などに有効です。
• 相続トラブルを未然に防げる: 遺言の内容に不満を持つ相続人が遺留分侵害額請求を行うことで、親族間で深刻な争いが生じることがあります。事前に遺留分放棄が合意されていれば、これらのトラブルを回避し、円満な相続に繋がります。
8.遺留分放棄の注意点
遺留分放棄は重要な権利を放棄する行為であるため、いくつかの注意点があります。
• 原則として撤回が難しい: 一度家庭裁判所の許可を得て遺留分放棄が認められると、原則として撤回や取り消しはできません。例外的に、許可審判当時の事情が大きく変化し、客観的に放棄を継続させることが不合理と認められる場合のみ、取り消しが認められることがあります。
• 負債の相続は回避できない: 遺留分を放棄しても、相続人としての地位を失うわけではないため、故人に借金などの負債があった場合、その債務を相続する義務は残ります。負債の承継を免れたい場合は、別途相続放棄の手続きが必要です。
• 他の相続人の遺留分は増えない: 共同相続人の一人が遺留分を放棄しても、他の相続人の遺留分が増加することはありません。放棄された部分は、故人が自由に処分できる財産となります。
• 代償の検討: 生前に遺留分放棄をしてもらう場合、家庭裁判所の許可を得るには、放棄する相続人の自由意思が尊重されていることが大前提となります。そのうえで、代償として生前贈与や借金の肩代わりなどが行われているかどうかは、裁判所が許可を判断する際の重要な要素とされています。
• 遺言書の重要性: 遺留分放棄が行われても、遺言書がなければ、放棄した相続人は依然として法定相続分に基づいて遺産分割協議に参加する権利を持ちます。故人の意図通りの財産配分を実現するためには、遺留分放棄と合わせて公正証書遺言などの遺言書を作成しておくことが強く推奨されます。
• 未成年者の放棄: 未成年者が遺留分を放棄する場合、法定代理人(親権者など)の同意が必要です。もし未成年者と法定代理人との間で利益が相反する状況であれば、特別代理人の選任が必要となります。
9.遺留分放棄した相続人に財産を残す方法
遺留分を放棄した相続人に対しても、故人が何らかの財産を残したいと考える場合があるでしょう。そのような時には、以下の方法が考えられます。
• 遺言書を活用する: 遺言書によって、遺留分を放棄した相続人に対しても財産を指定して残すことが可能です。特に公正証書遺言は、その確実性から推奨されます。
• 生命保険を活用する: 生命保険の死亡保険金は、原則として相続財産に含まれないため、指定された受取人が全額を受け取ることができます。遺留分を放棄した相続人を受取人に指定すれば、確実に財産を渡すことが可能です。
• 生前贈与を行う: 故人が亡くなる前に、相続人へ財産を贈与しておく方法です。贈与税の基礎控除などを活用することで、計画的に財産を移転することができます。
10.専門家にご相談ください
生前における遺留分放棄は、故人の意思を尊重した円滑な相続を実現し、将来の相続トラブルを避けるための有効な手段です。しかし、家庭裁判所の厳格な手続きと許可が必要であり、一度放棄すると原則として撤回できないなど、慎重な検討が求められます。
遺留分放棄を検討する際は、ご自身の財産状況や家族関係を総合的に考慮し、後悔のない選択をすることが大切です。特に複雑な事情がある場合などは、相続問題に詳しい専門家にご相談いただくことをお勧めします。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
遺言書は作成するべき?そのメリットとデメリット
相続に関するトラブルを未然に防ぐための手段として、遺言書の作成が注目されています。高齢化の進展により、財産の承継に対する関心が高まる一方で、実際に遺言書を準備している方はそれほど多くありません。この記事では、遺言書についてその基本的な説明、そのメリットとデメリットについて、分かりやすく解説します。
1.遺言書とは
遺言書とは、自分が亡くなった後に財産をどのように分配するか、誰に何を相続させるかを明記する文書です。民法に定められた手続きに従って作成することで、法的な効力を持ちます。遺言は被相続人の最終意思として尊重され、相続人の間で争いを避ける手段として極めて重要です。
遺言書の種類
日本の法律では、主に以下の3つの形式の遺言書が認められています。
- 自筆証書遺言
本人が全文、日付、氏名を自書して作成する最も手軽な形式です。2020年から法務局での保管制度も始まり、紛失や改ざんのリスクを低減できるようになりました。 - 公正証書遺言
公証人の関与のもと、公証役場で作成される遺言書です。法的な不備が起こりにくく、原本も公証役場に保管されるため、安全性・確実性が高いとされています。 - 秘密証書遺言
内容を秘密にしたまま、公証人に存在だけを確認してもらう形式ですが、現在は利用されることが少なくなっています。
遺言書の法的効力
適法な形式で作成された遺言書は、法定相続分に優先して効力を持ちます。たとえば「長男にすべての財産を相続させる」といった指定がある場合、他の相続人の同意がなくても、その内容が尊重されるのが原則です(ただし遺留分に関する配慮が必要です)。
2.遺言書を作成するメリット
遺言書の作成には一定の手間と費用がかかりますが、それを上回る数多くのメリットがあります。特に、相続をめぐるトラブルを防ぐ「最も有効な手段」として、多くの専門家が遺言書の作成を推奨しています。ここでは、遺言書を作成することによって得られる具体的な利点を整理してみましょう。
1. 相続争いを未然に防げる
遺言書を作成する最大の目的は、「争族(そうぞく)」の予防です。
遺言がなければ、相続人全員で遺産分割協議を行わなければならず、意見が合わなければ手続きが滞ってしまいます。兄弟間で口論や絶縁に至る例も少なくありません。
遺言書があれば、被相続人の意思が明確に示されており、法律的にも強く保護されます。これにより、相続人間の無用な争いを避けることができます。
2. 特定の人に財産を確実に渡せる
遺言書を活用すれば、法定相続人でない人や団体にも財産を遺すことが可能です。
例:
- 長年介護をしてくれた長女に多めの財産を遺したい
- 内縁の配偶者に財産を遺したい
- お世話になった知人や福祉団体に寄付したい
これらの希望は、遺言書でなければ実現できません。法定相続だけでは対応できない思いを形にすることが可能です。
3. 不動産の分配方針を明示できる
遺言書がない場合、不動産は原則として相続人全員の共有になります。これにより「誰が管理するのか」「売却するかどうか」で対立が生じやすくなります。
一方、遺言書があれば「長男に自宅を相続させる」などと明記でき、不動産の取り扱いが明確になり、トラブルを防止できます。
4. 相続手続きがスムーズに進む
遺言書があることで、遺産分割協議を省略して相続登記や銀行手続きを進めることができます。
特に不動産や金融資産が複数ある場合、遺言書によって「誰が、何を、どのように受け取るか」が明確になっていれば、相続手続きの負担が大幅に軽減されます。
5. 家族への思いや感謝を伝えられる
法的効力のある内容に加えて、遺言書には「付言事項(ふげんじこう)」として、ご家族への感謝や思いを綴ることができます。
「ありがとう」「これからも仲良く暮らしてほしい」といったメッセージは、残された家族にとって心の支えになることがあります。単なる財産の分配ではなく、「想いを託す手紙」としての役割も果たすのが遺言書です。
3.遺言書を作成する際のデメリットと注意点
遺言書には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。遺言書の内容によっては、かえって相続人同士の対立を招く可能性があるため、作成にあたっては十分な配慮と専門家のサポートが必要です。ここでは遺言書作成における主なリスクや誤解されがちな点について詳しくご紹介します。
1. 不適切な内容だと無効になる可能性がある
遺言書は法的に厳格な形式が求められます。たとえば自筆証書遺言であれば、全文・日付・署名を自筆で書かなければならず、パソコンで作成したものや日付が曖昧なものは無効になります。
また、「長男にすべての財産を相続させる」とだけ書いても、遺留分を侵害していれば法的トラブルが生じることも。内容や書き方に誤りがあると、せっかくの遺言が無効となる可能性があるため、注意が必要です。
2. 遺留分による争いが起こることがある
法定相続人には「遺留分」と呼ばれる最低限の取り分が法律で保証されています。たとえば、配偶者や子どもをすべて排除して第三者に全財産を遺すような遺言を作成すると、遺留分を侵害された相続人が「遺留分侵害額請求」を行う可能性があります。
これは民法で認められた正当な請求であり、たとえ遺言書が有効であっても、相続人間の争いを完全に防ぐことはできない点に注意が必要です。
3. 内容の変更や取り消しの手間がかかる
遺言書は何度でも書き直すことができますが、変更のたびに法的な形式を整える必要があり、負担に感じる方もいらっしゃいます。
特に毎回公正証書遺言を利用する場合は、変更・撤回のたびに公証人役場での手続きが必要で、その都度費用も発生します。「内容を変えるかもしれないから」と作成をためらう方もいます。
4. 相続人の感情を傷つける可能性がある
内容によっては、遺言書が相続人の感情的な衝突の引き金となることもあります。
たとえば「長女だけに財産を遺す」という内容に他の兄弟が不満を抱き、「差別された」と感じることで、感情的な対立が生じる可能性があります。これは相続の争いを防ぐはずの遺言書が、かえって「争族」を引き起こしてしまう典型例です。
5. 保管や発見されないリスクがある(特に自筆証書遺言)
自筆証書遺言の場合、誰にも知られずに作成され、相続人がその存在を知らないまま手続きを進めてしまうことがあります。結果的に遺言書の存在に気づかれず遺言の内容が実現されないケースも。
こうした事態を防ぐため、2020年からは自筆証書遺言を法務局で保管する制度も始まりましたが、それでも確実に見つけてもらうための対策が必要です。
4.遺言書の種類と選び方
遺言書にはいくつかの形式があり、それぞれ作成方法や効力、保管・運用において異なる特徴を持っています。ここでは代表的な3種類の遺言書について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを整理し、自分にとって最適な遺言書の形式を選ぶためのポイントをご紹介します。
1. 自筆証書遺言
概要:
全文を自書(手書き)で作成し、署名・押印をした遺言書です。2020年の法改正により、財産目録についてはパソコン作成や通帳のコピーの添付も認められるようになりました。
メリット:
- 費用をかけずに自分で作成できる。
- 誰にも知られずに作れるため、プライバシーが保たれる。
- 思い立った時にすぐに書ける。
デメリット:
- 法的要件を満たしていないと無効になる恐れがある。
- 紛失や改ざん、隠匿のリスクがある。
- 家庭裁判所の「検認」が必要(相続手続きに時間がかかる)。
おすすめする方:
- 費用をかけたくない方
- 比較的シンプルな財産と相続関係の方
- 手軽に意思を残したい方
2. 公正証書遺言
概要:
公証人が遺言者から内容を聞き取り、公証人が文書を作成して公証役場で公証する遺言書です。原本は公証役場で保管されます。
メリット:
- 公証人が関与するため、形式的な不備による無効リスクがない。
- 原本が公証役場に保管されるため、紛失・改ざんの心配がない。
- 家庭裁判所の検認手続きが不要で、すぐに相続手続きに使える。
デメリット:
- 作成に費用がかかる(内容や財産額により異なる)。
- 証人2名の立会いが必要。
- 公証役場に出向く必要がある(出張対応も可能)。
おすすめする方:
- 相続財産が多い方や不動産がある方
- 相続関係が複雑な方
- 確実な法的効力を求める方
- トラブル防止を第一に考える方
3. 秘密証書遺言
概要:
内容を他人に知られたくない場合に用いられる形式。遺言書を封印し、公証役場で公証人と証人の前でその存在を証明してもらう方法です。
メリット:
- 内容を誰にも知られずに遺言を残すことができる。
- 手書きでなくてもよい(パソコン等で作成可能)。
デメリット:
- 公証人が内容を確認しないため、法的不備があっても気づかれない。
- 家庭裁判所の検認が必要。
- 実務ではあまり利用されていない。
おすすめする方:
- 秘密を厳重に保ちたいが、公証役場で証明はしておきたい方
4. 選び方のポイント
遺言書の種類を選ぶ際は、次のようなポイントを考慮してください。
- 法的な有効性を最優先したいか?
→ 公正証書遺言がおすすめ - 費用をかけずに作成したいか?
→ 自筆証書遺言がおすすめ(法務局での保管制度と併用) - 遺言の存在や内容を秘密にしたいか?
→ 秘密証書遺言の選択も一案
また、近年では「自筆証書遺言書保管制度」(法務局での保管)を利用することで、紛失や改ざんのリスクを避け、かつ検認手続きも不要になるメリットがあります。
5.遺言書の作成手順と保管方法
遺言書を作成する際には、単に思いつくまま書けばよいというわけではありません。形式に則った正しい作成方法を理解し、相続人や関係者にとっても分かりやすく、トラブルになりにくい内容であることが重要です。この章では、遺言書作成の基本的なステップと、作成後の保管・活用の方法について解説します。
1. 作成前に整理すべきこと
① 財産の内容を把握する
まずは、自分の財産の全体像を把握することが大切です。預貯金、不動産、有価証券、生命保険、借入金など、プラスの財産もマイナスの財産も整理しておきましょう。
② 相続人の確認
誰が法定相続人となるかを確認します。戸籍謄本を取り寄せておくと、漏れがなく確実です。
③ 分け方のイメージを考える
「長男に不動産を残したい」「配偶者に生活費の確保を」「世話をしてくれた子に多めに」など、気持ちと公平感のバランスを考慮することが重要です。
2. 遺言書の作成ステップ
① 種類の選定(自筆 or 公正証書など)
前章で紹介したそれぞれのメリット・デメリットを踏まえて、自分に合った形式を選びましょう。
② 内容の検討
遺言書に記載すべき代表的な事項は以下の通りです:
- 誰にどの財産を相続・遺贈するか
- 遺言執行者の指定(推奨)
- 付言事項(家族への思いなど)
③ 作成
自筆証書遺言の場合は、必ず全文を自分で書き、日付・署名・押印を忘れずに。
公正証書遺言の場合は、公証役場に相談のうえ予約を取り、必要書類を準備して作成します。
3. 作成後の保管と管理
① 自筆証書遺言の保管
自宅保管の場合は、火災や紛失、第三者による隠匿などのリスクがあります。
近年では、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を活用することで、以下のメリットが得られます:
- 検認不要(すぐに相続手続きが可能)
- 紛失・改ざんのリスクなし
- 相続人による閲覧が可能(遺言者の死後に限る)
② 公正証書遺言の保管
原本は公証役場で保管され、正本と謄本を本人が持ちます。公証人連合会のデータベースで全国の公証役場から検索可能です。
4. 定期的な見直しも重要
一度作成した遺言書も、状況の変化(例:家族構成の変化、財産の増減、相続税法の改正など)によって、内容の見直しが必要になる場合があります。
また、古い遺言書と新しい遺言書の内容が矛盾する場合、日付の新しいものが優先されるため、内容を明確に記しておくことが望ましいです。
6.遺言書作成をためらう理由とその対策
遺言書は、相続を円満に進めるために非常に有効な手段ですが、実際には「遺言を作ろう」と考えながらも、そのまま手を付けないまま時間が過ぎてしまうケースが少なくありません。ここでは、多くの人が遺言書の作成をためらう主な理由と、それを乗り越えるための具体的な対策をご紹介します。
1. 「まだ元気だから大丈夫」と思っている
もっとも多い理由の一つが、「まだ自分は元気だから、今すぐ遺言書を作る必要はない」という考え方です。確かに健康なうちは深刻に考えにくいものですが、万が一、急な事故や病気によって意思表示ができなくなった場合、遺言書がないことで家族が混乱し、争いに発展することもあります。
対策:
遺言書は「死の準備」ではなく、「家族への思いやりの表明」です。早めに作成しておけば、将来的に気持ちや状況が変わったときに書き直すこともできます。元気なうちにこそ、冷静に判断しやすく、家族とも相談しながら準備ができます。
2. 何から始めたらよいかわからない
遺言書には自筆証書、公正証書、秘密証書などの種類があり、それぞれ手続きや費用、リスクが異なります。そのため、「調べるのが面倒」「自分には無理そう」と感じて、行動に移せない方も多くいらっしゃいます。
対策:
司法書士などの専門家に相談することで、どの方法が自分に合っているかを簡単に把握できます。また、必要な財産目録や家系図の作成もサポートを受けることでスムーズに進められます。「一人で抱え込まないこと」が何よりの解決策です。
3. 誰に何を遺すか決めきれない
「公平にしたい」「一部の家族と疎遠」「感情的に難しい事情がある」など、財産の分け方を決めることに悩み、結局作成が進まないという方も多く見られます。
対策:
遺言書は、最終的に納得のいく内容にするまで何度でも修正できます。はじめは「仮の案」でも構いません。専門家に相談しながら考えを整理していくことで、最終的に自分らしい遺言を完成させることができます。
4. 家族に遺言のことをどう伝えるか不安
「遺言を書くと、かえって家族が不安がるのではないか」「自分の考えを理解してもらえないのではないか」といった懸念も、遺言作成を躊躇する原因になります。
対策:
公正証書遺言の場合は、公証人が関与するため内容に誤解が生じにくく、トラブル予防にもなります。また、付言事項(自由記載欄)を活用して「なぜこのような内容にしたのか」「家族への感謝の気持ち」などを記しておくと、遺されたご家族の心理的な負担を軽減することができます。
5. 費用がかかりそうで躊躇する
「遺言なんてお金持ちの人がやること」と思っている方もいます。また、公正証書遺言にそれなりの費用がかかることを知って、ためらう方もいます。
対策:
確かに一定の費用はかかりますが、相続トラブルが起こった場合にかかる弁護士費用や裁判費用、家族間の関係悪化などに比べれば、遺言作成にかかる費用は決して高くはありません。「この程度の出費で家族の平穏が守れる」と考えれば、将来への安心材料になります。
6. 「財産が少ないから必要ないと思っている」
「遺産があまりないから遺言なんて必要ない」と思われる方も多いですが、実は相続で揉めるケースの多くは“少額の遺産”の家庭です。例えば、自宅や預貯金だけでも相続人が複数いれば争いの種になることも。
対策:
金額の多寡ではなく、「誰が・何を・どう相続するか」を明確にすることが重要です。特に不動産がある場合、名義変更や共有の問題でトラブルになりやすいため、明確な遺言で方向性を示しておくと安心です。
7. 「手続きが面倒そう」
遺言書の作成には一定の手間がかかりますが、正しく作れば将来の手続きが大幅に簡略化されます。特に公正証書遺言を利用すれば、形式ミスによる無効リスクも低減します。
対策:
「今少し手間をかけることで、将来の家族の手間を減らす」と考えるのがポイントです。また、司法書士などに依頼すれば、作成から保管方法の選択までワンストップで支援を受けられます。
7.遺言書が“ある”場合と“ない”場合の比較事例
遺言書の有無は、相続発生後の手続きや相続人同士の関係に大きな影響を与えます。この章では、実際に起こりうるケースをもとに、遺言書がある場合とない場合でどのような違いがあるのかを具体的に見ていきましょう。
ケース1:長男と次男が不仲な場合
遺言書がある場合:
父親が「長男には自宅、次男には預貯金を全額相続させる」という内容の公正証書遺言を作成していたことで、相続開始後はそれに従って手続きが行われた。相続人間の協議は不要で、手続きは迅速かつ円満に完了。
遺言書がない場合:
法定相続に基づき遺産分割協議が必要となったが、自宅を誰が相続するかで長男と次男が対立。協議がまとまらず、不動産の名義変更も預貯金の解約も長期にわたって滞る。最終的に調停に発展し、精神的・経済的コストがかさんだ。
ケース2:内縁の妻がいた場合
遺言書がある場合:
夫が「内縁の妻に○○銀行の預金を遺贈する」と記載した公正証書遺言を遺していた。これにより、内縁の妻は相続人ではないが、遺贈によって財産を受け取ることができた。
遺言書がない場合:
内縁の妻は法定相続人ではないため、一切の財産を相続できず、夫の子どもたちとの関係も悪化。生活基盤も失った。
ケース3:障がいのある子どもがいた場合
遺言書がある場合:
両親が、長男には生活資金として多めに預貯金を相続させ、他の子どもたちには不動産を分け与えるという内容の遺言を作成。長男が将来的に生活に困らないよう配慮した内容で、他の相続人も合意済みだったため、相続手続きは円満に終了。
遺言書がない場合:
全員が法定相続分で財産を取得することになり、障がいのある長男には十分な生活資金が残らなかった。
これらの事例からわかるとおり、遺言書の有無は「相続手続きのスムーズさ」と「家族間のトラブル回避」の両面に大きな違いをもたらします。
8.遺言書は「備え」から「安心」へ
遺言書は、単なる「財産の分け方の指示」ではなく、遺されるご家族にとっての「安心」そのものです。
相続を巡るトラブルは、家族関係に深い傷を残すことがあります。遺言書があれば、ご自身の想いや希望を形にし、残された家族に迷いのない相続を実現することができます。
一方で、遺言書の作成には、法律上のルールや手続きの正確性が求められます。不備があると、せっかくの遺言も無効となり、かえってトラブルの原因になることもあるため、専門家のサポートを受けることが非常に大切です。
高野司法書士事務所では、相続・遺言に関する豊富な実務経験をもとに、初めての方でも安心してご相談いただける体制を整えております。横浜市青葉区を中心に、緑区・都筑区・町田市などからも多数のご相談をいただいており、公正証書遺言や自筆証書遺言の作成支援はもちろん、家庭の状況に応じた最適なご提案をいたします。
将来の不安を「いま」の行動で解消し、安心して人生を歩んでいけるよう、遺言書の作成を前向きにご検討ください。
ご相談は随時承っておりますので、どうぞお気軽にご連絡ください。

神奈川県横浜市青葉区にある高野司法書士事務所の高野直人です。遺言書作成や相続登記、相続放棄など、相続に関する手続きを中心にお手伝いしています。令和6年4月から相続登記が義務化されたこともあり、不安や疑問をお持ちの方も多いかと思います。当事務所では、平日夜間や土日祝日の無料相談も行っており、お一人おひとりに丁寧に対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。
