Archive for the ‘相続’ Category

遺言書があっても相続登記申請を急ぐべき理由

2024-02-05

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。今回は、遺言書があっても相続登記申請を急ぐべき理由についてご説明したいと思います。

相続法の改正について

突然ですが、ここでクイズです。

被相続人: 父

相続人: 長男 二男

父が残した遺言書の内容: 私の所有する自宅不動産は長男に相続させる

上記のケースで、二男はAからお金を借りていました。Aは二男の債権者です。長男が自宅不動産の相続登記をする前に、借金をしていた二男の債権者Aが法定相続分(長男2分の1、二男2分の1)で相続したとする登記を申請してしまいました。

この場合、長男は、自分が自宅不動産の所有権すべてを相続したとAに主張することができるでしょうか。

答えは「No」です。しかし、以前は相続登記をしなくても自宅不動産は自分のものだと主張することができました。

どういうことかと言うと、令和元年(2019年)7月1日の改正相続法の施行により、遺言により法定相続分より多くの財産を相続した場合、登記、登録などの対抗要件を備えないと、第三者に対抗できなくなりました。法定相続分より多くの財産を取得した相続人は、他人に権利を奪われる可能性がありますので要注意です。

下記が改正された条文になります。

(共同相続における権利の承継の対抗要件)
第899条の2 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
 
2 前項の権利が債権である場合において、次条及び第九百一条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

改正法の趣旨

なぜ、このような改正がされたのかというとAのような遺言の内容を知らない第三者を保護するためです。Aとしては、父に相続が発生したら二男が当然、法定相続分である自宅不動産の持分2分の1を相続するだろうから、二男が借金を返済できなくても、二男の不動産持分2分の1を差し押さえて、その売却代金から回収できると考えるでしょう。遺言の存在によって、Aの期待は一方的に裏切られてしまいます。

改正前

遺言があれば、相続登記をせずしてAのような債権者(第三者)に対して自分(二男)が所有者であることを主張できました。そのため、Aとしては、二男の持分を差し押さえてもその差し押さえは無効という結果になってしまいます。

改正後

遺言があっても、相続登記をしなければAのような債権者(第三者)に対して、自分(二男)の法定相続分を超える部分については、自分がその不動産の所有者であることを主張することができません。そのため、Aが先に二男の持分を差し押さえて売却換価することができます。

相続人の間では、改正前でも改正後でも登記なくして対抗することが可能です。すなわち、長男は二男に対して、自分が自宅不動産すべてを相続したと主張することが可能です。

対策は?

長男として対策方法はあるでしょうか。法定相続分を超えた部分につき、先に登記をした方が勝ちということになりますので、速やかに相続登記をすることが何より重要です。また、自筆証書遺言は、相続発生後に家庭裁判所での検認という手続きが必要になり、検認後相続登記の申請までに一定の時間がかかってしまいます。生前から遺言書作成などに関われるのであれば、検認の手続きが不要な公正証書遺言で作成してもらうことも検討すべきかと思います。

相続登記義務化についてのチラシを作成しました

2024-01-26

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。

いよいよ、本年度4月1日から相続登記が義務化されますが、認知度はまだまだ低いようです。
当事務所では、一般の方に広く知っていただくため、相続登記義務化についてのチラシを作成いたしました。
相続について少しでも疑問点・お困りごとがございましたら、当事務所までお気軽にお問合せください。

相続登記義務化チラシ

亡くなった後の手続きリスト(期限14日以内のもの)

2024-01-11

横浜市青葉区の青葉台にある高野司法書士事務所でございます。今回は、亡くなった後の手続きリスト(期限14日以内のもの)についてご説明したいと思います。

1.死亡届と死亡診断書の提出(7日以内)

死亡届と死亡診断書はA3用紙1枚で、左半分が死亡届、右半分が死亡診断書となっています。病院や自宅で亡くなった場合は、医師に死亡診断書を出してもらいます。

期限亡くなったことを知った日から7日以内(国外で亡くなったときは、亡くなったことを知った日から3か月以内)
提出先亡くなった方の本籍地、届出をする方の住所地、亡くなった場所の役所のいずれか
届出人(死亡届への署名や押印)親族、同居していた人、家主、地主、後見人など(提出すること自体は代理人でも可能)
注意点・火葬許可申請書と一緒に提出します。
・提出した死亡届の原本は返却されません。提出前に5部はコピーを取っておくようにしましょう。
・届出人の印鑑(認印)と身分証明書が必要な場合があります。準備しておきましょう。

2.火葬許可申請書の提出(7日以内)

火葬や埋葬をするには、火葬許可申請書を提出して、火葬許可証を受け取る必要があります。火葬が終わると、火葬許可証に火葬執行済の押印がされ、そのまま埋葬許可証として利用できます。

期限
亡くなったことを知った日から7日以内(国外で亡くなったときは、亡くなったことを知った日から3か月以内)
提出先
「死亡届」の提出先と同様
届出人
「死亡届」の届出人(提出すること自体は代理人でも可能)
注意点
・死亡届と一緒に提出します。
・万が一、紛失してしまった場合は、火葬許可証を発行してもらった役所で再発行の手続きをします。
・届出人の印鑑(認印)と身分証明書が必要な場合があります。準備しておきましょう。

3.健康保険の資格喪失手続き

病気やケガで病院を受診する際に、全国民がお金を出し合って、医療費の援助を受けることができるのが健康保険の制度です。健康保険の制度は、自営業者の方などが加入する「国民健康保険」、会社員の方などが加入する「健康保険」、75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療保険」の大きく3つに分けることができます。亡くなった場合は、援助を受けることができなくなるため、資格喪失の手続きを行います。

3-1 国民健康保険の場合(14日以内)

期限
亡くなった日から14日以内
提出先
亡くなった方が住んでいた市区町村の役所
届出人
世帯主、同一世帯の人など
必要なもの(※事前に役所にご確認ください)
・国民健康保険資格喪失届(役所で入手可能)
・国民健康保険の被保険者証
・亡くなったことを証する書面(戸籍謄本や死亡診断書の写しなど)
・印鑑(認印)
・窓口で手続きされる方の身分証明書
注意点
・世帯主が亡くなった場合は、世帯主の変更届とともに、世帯全員分の保険証(被保険者証)を返却する必要があります。

3-2 社会保険(健康保険)の場合(5日以内 )

期限
亡くなった日から5日以内
窓口
基本的に勤務していた会社の担当者
必要なもの(※事前に会社にご確認ください)
・健康保険・厚生年金保険の被保険者証(扶養されていた方の分を含む)
注意点
・亡くなった方の扶養に入っていた方は、別の家族の扶養に入るか、国民健康保険へ加入するか、どちらかの手続きが必要になります。

3-3 後期高齢者医療保険の場合(14日以内)

期限
亡くなった日から14日以内
提出先
亡くなった方が住んでいた市区町村の役所
届出人
世帯主、同一世帯の人など
必要なもの(※事前に会社にご確認ください)
・後期高齢者医療の資格喪失届(役所で入手可能)
・後期高齢者医療の被保険者証
・亡くなったことを証する書面(戸籍謄本や死亡診断書の写しなど)
・印鑑(認印)
・窓口で手続きされる方の身分証明書
 

4.公的介護保険の資格喪失手続き(14日以内)

40歳になると介護保険に加入することが義務付けられますが、実際に介護サービスを利用した場合に、サービスにかかった費用の一部を負担してもらえるのが介護保険制度です。①65歳以上の方、②40歳以上65歳未満で要介護・要支援の認定を受けていた方が亡くなった場合は、資格喪失の手続きを行います。
期限
亡くなった日から14日以内
提出先
亡くなった方が住んでいた市区町村の役所
届出人
世帯主、同一世帯の人など
必要なもの(※事前に役所にご確認ください)
・介護保険の資格喪失届(役所で入手可能)
・介護保険の被保険者証
・亡くなったことを証する書面(戸籍謄本や死亡診断書の写しなど)
・印鑑(認印)
・窓口で手続きされる方の身分証明書
注意点
 
・介護保険料を納めすぎていた場合は、役所からご遺族に対し、還付金が支払われます。

5.年金の受給停止手続き(14日または10日以内)

亡くなった方が年金を受け取っていた場合は、年金の受け取りを停止する手続きを行います。
期限
亡くなった日から14日以内(国民年金の場合)
亡くなった日から10日以内(厚生年金の場合)
提出先
最寄りの年金事務所または年金相談センター
必要なもの(※事前に年金事務所等にご確認ください)
・年金受給権者の死亡届(年金事務所で入手可能)
・亡くなった方の年金証書(紛失した場合は、理由を年金受給者の死亡届に記載する)
・亡くなったことを証する書面(戸籍謄本や死亡診断書の写しなど)
注意点
・手続きが遅れると、年金の支払いを止められず不正受給となりますのでご注意ください。
・亡くなった方が、日本年金機構にマイナンバーを登録していた場合は、手続き不要です。
・未支給の年金がある場合は、受給停止の手続きと併せて未支給年金の請求手続きを行うと便利です。ただし、請求権者が限定されていますのでご注意ください。

6.世帯主の変更手続き(14日以内)

世帯主の方がなくなり、残った世帯員が2名以上(15歳以上)の場合は、世帯主変更届を提出します。
期限
亡くなった日から14日以内
提出先
亡くなった方が住んでいた市区町村の役所
届出人
新しく世帯主になる方、または同じ世帯の方
必要なもの(※事前に役所にご確認ください)
・世帯主変更届(役所で入手可能)
・国民健康保険被保険者証など(加入していた場合)
・印鑑(認印)
・窓口で手続きされる方の身分証明書
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