被相続人(亡くなった方)が不動産(土地や建物)を所有していた場合、相続人の名義に変更する手続きが必要です。これを相続登記といい、不動産を相続する相続人が、不動産の所在地を管轄する法務局に対し不動産登記申請書に添付書類などの必要書類を添えて申請します。
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1.相続登記を早めにすべき理由
相続登記は手続きが煩雑であったり、令和6年4月1日より前であれば相続登記を申請するかどうかは任意である(義務ではない)ため、どうしても後回しにしてしまいがちです。しかし、以下の理由から相続登記の手続きは早めに行うべきです。
第三者に対抗できない
令和元年7月に改正された相続法が施行されました。この法律改正後に発生した相続については、法定相続分(自己の相続分)を超える部分については相続登記をしなければ第三者に対抗することが出来ないものとされました。
例えば、法定相続人がAとBの2名で法定相続分が各2分の1である場合に、被相続人が「不動産はAに相続させる」という遺言書を残していたとします。
Aは相続登記をしなければ、法定相続分2分の1を超える、残りの2分の1の権利について第三者に対抗することが出来ません。
例えば、Aが単独名義の相続登記をする前に、AとBが法定相続分で相続したものとして、Bの債権者が、A持分2分の1、B持分2分の1として相続登記を入れてしまうと(代位登記)、Aは自己の法定相続分を超える部分(B持分2分の1)について、自分が権利者(遺言書によって所有権を取得したこと)であることを主張することが極めて難しくなります。
これは、遺言書によって不動産を取得した場合も、遺産分割によって不動産を取得した場合も、双方に当てはまります。
この改正によって、すぐに相続登記を申請しないと、自分の所有権が脅かされる事態が生じやすくなったといえます。
相続登記義務化
令和6年4月1日より相続法が改正され、相続登記の申請が義務化されます。不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内、遺産分割協議が成立した日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
正当な理由なく申請しなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。
相続登記をしないと売却できない
親が亡くなって、空き家になった実家を売却したいというご相談を受けることがあります。この場合、親の名義のままで実家を売却出来ると思われる方がいらっしゃいますが、これは間違いです。被相続人の名義のままでは売却出来ません。
実家を売却するには、まず相続人の名義に相続登記をし、その後、不動産を相続した相続人が売主となり売買による所有権移転登記を申請し買主名義に変更します。
また、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに相続した不動産を売却すると譲渡所得税が節税になる特例がありますので、特例の適用を考えている場合は早めに相続登記の手続きに着手する必要があります。
2.相続登記(名義変更)に必要な書類
相続登記(名義変更)の際に、基本的に必要になる書類は以下のとおりです。
①遺言書がある場合(相続による所有権移転登記)
遺言書がある場合は、不動産を引き継ぐ相続人のみで手続きを行うことが出来ます。
- 被相続人の死亡の記載がある除籍謄本
- 被相続人の住民票の除票または戸籍除附票
- 不動産を取得する方の戸籍謄本
- 不動産を取得する方の住民票
②遺産分割協議書を作成する場合
遺言書がなく、法定相続分とは異なる割合で相続登記を行う場合です。
- 被相続人の出生から死亡までのすべての除戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票または戸籍除附票
- 不動産を相続する方の住民票
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
③法定相続分で相続登記をする場合
遺言書がなく、法定相続分で相続登記を行う場合です。
- 被相続人の出生から死亡までのすべての除戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票または戸籍除附票
- 不動産を相続する方の住民票
3.当事務所の相続登記(不動産登記)サービス
- 遺言書の有無の確認
- 相続人の確定
戸籍謄本等を取得して相続人を確定します。 - 相続登記が必要な不動産の確認
登記済権利証、固定資産税課税明細書、名寄帳などを取得して相続登記が必要な不動産を漏れがないように確認します。 - 遺産分割協議書の作成
遺言書がなく、法定相続分とは異なる割合で相続登記をする場合に作成します。 - 相続登記の申請
管轄の法務局に相続登記を申請します。
相続登記を放置している間に相続人の誰かが亡くなって次の相続が発生すると、さらに相続人の数が増え、手続きはさらに煩雑になります。
相続登記の手続きは複雑ですので、専門家である司法書士にご依頼ください。司法書士は登記の専門家です。なかでも当事務所では、年間120件以上の相続登記を受任してきた実績があります。安心してご相談ください。