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相続財産の調査方法1:現金、預貯金、株式、有価証券

2025-07-12

相続手続きの中で、特に重要かつ最初に手をつけるべきなのが、「相続財産の調査」です。この調査は、故人(被相続人)が遺したプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含め、すべての遺産を正確に把握し、その価値を適正に評価するプロセスを指します。

相続財産調査がなぜこれほど大切なのでしょうか。その後の相続手続き、特に遺産の分割方法の選択や、相続放棄・限定承認の判断、さらには相続税の申告に大きく影響するからです。例えば、もし調査が不正確だったり漏れがあったりすると、後になって新たな財産や負債が発覚し、相続人同士の予期せぬトラブルにつながる可能性があります。また、相続放棄や限定承認を検討する場合、原則として故人の死亡を知った日から3ヶ月以内という短い期間で家庭裁判所に申し立てを行う必要があるため、この期間内に正確な財産状況を把握することが不可欠です。

ここでは、現金、預貯金、株式、有価証券といった相続財産について、種類ごとに具体的な調査方法と、その後の手続きを円滑に進めるためのポイントをご紹介します。

1. 現金の調査方法

自宅に保管されていた現金(いわゆるタンス預金など)は、金融機関の記録に残らないため、発見が難しい場合があります。故人の自宅や貴重品が保管されていた場所を丹念に探し、メモや家計簿などの記録がないか確認することが重要です。これらは、正式な記録とは異なりますが、財産の全体像を把握する上で役立つことがあります。

2. 預貯金の調査方法

故人が利用していた預貯金口座を特定することから始めます。

利用金融機関の特定: まず、故人の自宅に保管されていた通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物(通知書、ダイレクトメールなど)を探し、取引があった可能性のある金融機関を洗い出します。通帳を発行していないインターネット銀行の口座や、紛失した通帳の口座も考慮に入れるべきです。

残高証明書の発行依頼: 特定した金融機関には、故人の死亡日時点での残高証明書の発行を依頼します。この手続きは、相続人のうちの一人からでも請求可能ですが、故人の死亡が記録された戸籍謄本(除籍謄本)や、請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本など、必要な書類が金融機関によって異なるため、事前に確認することが望ましいです。

取引履歴の確認: 残高証明書と合わせて、過去の取引履歴の開示も依頼しましょう。通帳への記帳や取引明細を見ることで、定期的にお金が引き出されていた先や入金元が分かり、新たな財産(例えば貸金庫の利用料支払い履歴から貸金庫の存在が判明するケース)や負債の手がかりとなることがあります。

口座凍結への対応: 金融機関は、預金者の死亡を知るとその口座を凍結し、出金や振り込みができなくなります。凍結された預金を引き出すには、遺言書による指定、仮払い制度の利用、または遺産分割協議書(あるいは調停・審判書)に基づいて手続きを行う必要があります。また、相続人全員の協力が得られれば、金融機関所定の書式に署名捺印することで引き出しが可能になる場合もあります。

3. 株式・有価証券の調査方法

故人が所有していた株式、投資信託、債券などの有価証券も相続財産に含まれます。

証券会社の特定: まず、故人の自宅に保管されていた取引報告書、残高報告書、あるいは株券などの書類がないかを確認します。最近では多くの書類が電子交付されているため、紙の郵送物が届かないケースもあります。故人の生前の会話や行動、手帳のメモなどから、取引があった可能性のある証券会社を絞り込むことが重要です。

証券保管振替機構(ほふり)への照会: 2004年(平成16年)の商法改正により、株券は原則として発行されなくなり、株式等の情報は「証券保管振替機構(通称:ほふり)」という機関で一元的に管理されるようになりました。特定の証券会社が不明な場合でも、この証券保管振替機構に対して開示請求を行うことで、故人が保有していた株式や証券の情報を確認できる場合があります。これにより、故人が取引していた証券会社を特定する手がかりを得られることがあります。

各証券会社への問い合わせ: 特定できた証券会社、または証券保管振替機構から判明した証券会社には、故人名義の口座の有無や死亡日時点での残高について問い合わせを行い、残高証明書や取引履歴などの発行を依頼します。

その他の有価証券: 株式や投資信託以外にも、仮想通貨、ゴルフ会員権なども相続財産となり得るため、これらの有無も合わせて調査対象とすべきです。貸金庫の有無も確認し、中に有価証券や貴金属がないか確認することが重要です。

相続財産調査は専門家への依頼がスムーズ

相続財産調査は、上記の通り多岐にわたるため、ご自身で全て行うには多大な時間と労力、そして専門知識を要します。特に、期限が迫っている場合や、財産の種類が多岐にわたる場合は、精神的・肉体的負担も大きくなります。

このような場合、相続に強い専門家に依頼することが非常に有効です。司法書士は、戸籍謄本の収集による相続人の確定から始まり、財産目録の作成、不動産の名義変更(相続登記)、銀行や証券口座の解約手続きなど、相続財産調査からその後の手続きまでを一貫してサポートすることができます。また、相続人間での紛争が予想される場合は弁護士と、相続税の申告が必要な場合は税理士と連携するなど、幅広いネットワークを活かしたワンストップサービスを提供することで、お客様の負担を大幅に軽減することが可能です。

相続財産調査やその他の相続手続きでお困りの方は、横浜市青葉区の高野司法書士事務所までお気軽にご相談ください。当事務所では、初回のご相談を無料で承っており、平日夜間や土日祝日のご相談にも対応可能です(要事前予約)。お客様の状況に合わせた最適な解決策を、司法書士が責任を持って、分かりやすく丁寧にご案内いたします。

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