財産目録とは、被相続人(亡くなった方)が亡くなった時点で有していた財産の内容を一覧にしたものです。現金、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などの債務や負債といったマイナスの財産も記載されます。
次に挙げるような場合を除いて財産目録の作成は法律上義務付けられているわけではありません。
- 家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てる場合
- 家庭裁判所へ限定承認の手続きを行う場合
- 遺言書で遺言執行者が選任されている場合
(遺言執行者が財産目録を作成する義務があります。)
しかし、以下に掲げる理由から財産目録を作成することをおススメ致します。
このページの目次
1.財産目録を作成したほうが良い理由
相続手続きをスムーズに行うため
相続人は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月の熟慮期間内に相続するのか、相続放棄するのかを選択しなければなりません。
また、相続するにしても、プラスの財産よりもマイナスの財産の方が多くなりそうな場合は限定承認を選択するかも知れません。そのためには、被相続人の相続財産の全体像を財産目録という形で一覧にしておくと分かりやすく、相続人が相続方法(単純承認、相続放棄、限定承認)を決定する際の重要な資料となります。
また、相続人間で遺産分割協議を行う際に、財産目録を作成しておけば、被相続人の全ての財産が目に見える形で確認出来るので、話し合いをスムーズに進めることが出来ます。相続トラブルの一つの原因として、相続財産がどれだけあるのか相続人が把握していないことがあげられます。
相続税の申告が必要かどうかの判断のため
被相続人の相続財産が基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。財産目録を作成して相続財産の総額が把握できていれば、相続税がかかるかどうか、かかるとして納税額はいくらかを判断することが可能です。
基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。
2.財産目録の書式(記載すべき事項)
財産目録には決まった書式があるわけではありませんが、財産の種類によって記載した方が良い事項があります。相続財産が特定出来る情報を記載することが大切です。少し具体例を見てみましょう。
不動産の場合
土地であれば所在や地番、建物であれば所在や家屋番号などを記載します。不動産登記事項証明書や固定資産税の課税明細書に記載されている情報が必要です。
不動産を評価するにはいくつか方法がありますので、評価額を記載する場合は、時価、路線価、固定資産税評価額などの評価方法からどの方法を選択するのか相続人同士で話し合って決定することが必要です。
預貯金の場合
銀行名、支店名、預金種目、口座番号などの情報を記載します。被相続人死亡時点の残高証明書を確認しながら記載します。評価額を記載する場合は、残高証明書に記載されている残高を記載します。
上場株式の場合
銘柄、証券会社、数量などの情報を記載します。証券会社に発行してもらった残高証明書を確認しながら記載するようにします。
3.当事務所の財産目録作成サービス
①財産調査(残高証明書や名寄帳の取得)
財産目録にはすべての財産を記載する必要がありますので、プラスの財産もマイナスの財産もすべて調査しなければなりません。
不動産の場合は名寄帳を取得します。名寄帳とは、土地と家屋の固定資産課税台帳を所有者ごとにまとめたもので、市区町村ごとに個人が所有している不動産を一覧にして確認することが出来ます。預貯金や上場株式であれば、残高証明書を取得して内容を確認します。
また、ご依頼者からのヒアリングや被相続人の銀行通帳の記録、保管していた重要書類から相続人が把握していなかった相続財産が判明することもあります。
②財産目録の作成
相続財産のすべての調査が完了したら、財産目録を作成します。財産目録作成の過程で、財産評価のため税務的なアドバイスが必要だったり、相続税の申告についてご不明点があれば、提携先の税理士と連携して対応させていただくことも可能です。
当事務所にご依頼いただければ、客観的な資料に基づいて正確な財産目録を作成することが出来ます。相続人の一人が財産目録を作成すると、他の相続人から相続財産の一部を隠しているのではないかと思われることも少なくありません。
後から財産目録に記載していない相続財産が見つかって相続トラブルになってしまうケースもあります。専門家が公平な立場で作成しますので、相続手続きで問題なく利用できる正確な財産目録をご提供させていただきます。